蓮花の「すみからすみまでずずずひ」と口上述ぶもたのもしきかな　丹人 レンコンの一大...

縄文のむらの水辺のいろどりを見たる心地す　この赤米に　丹人 頭低れ故郷おもふやコシ...

野分去るも残る風雨にさらされてナラの枝葉の横たはりをり　丹人 ドングリの親はわが子...

忘れ得ぬ人にささげん日だまりに咲くうすべにのコスモスの花　丹人 コスモスも届かぬ思ひ...

霞浦(かほ)近き蓮田の沼の沢潟(おもだか)の花の白さの潔さかな　丹人 その形　人字にも見...

泉より流れて濁り行く水に心あへなし秋の夕暮　丹人 我こそが正義と鼻息荒げゐる野のどす...

春に藤が根元に芽出したるケヤキ　葉を秋の日にほの泳がせつ　丹人 折り目深き葉はほの紅...

磯崎ゆ打ち出でて見れば赤き灯に横雲の空あをき夕暮　丹人 三日月の光すがしも磯崎の港に...

稲架(おだかけ)の横一線に並び立つ瑞穂の國のありがたきかな　丹人 刈りし穂をただ黙々と...

しろさとの丘の真白きサルスベリ風とたはむれ空にうたへる　丹人 白亜紀の黒き巌に寄する...