ばたばたと過ぎし七月振り払ひ八朔に咲く花の清けさ　丹人 ばたばたと　すぎししちがつ　ふり...

北山の水辺の緑に光射して蜻蛉の翅にとまる夏の日　丹人 きたやまの　みずべのみどりに　かげ...

わが屋戸に天女の舞へり擬宝珠の茎に羽衣一つ掛かれば　丹人 わがやどに　てんにょのまへり　...

わが屋戸のこの夏初の朝顔の花の色こそ薄くありけれ　丹人 わがやどの　このなつはつの　あさ...

夏の陽の傾きゆけば東の横雲の上を月の漂ふ　丹人 なつのひの　かたぶきゆけば　ひんがしの...

一寸の身を真直に夏茜みどりが中に引く一文字　丹人 いっすんの　みをまっすぐに　なつあかね...

秋立ちてなを梅雨空けぬ空を包み静かに閉ぢる朝顔の花　丹人 あきたちて　なをつゆあけぬ　そ...

わが屋戸の車のナンバープレートにしじみとまりて盆に入るかな　丹人 わがやどの　くるまのな...

秋初めの陽の眩しかる軽井沢に靡きて涼し浅間山かな　丹人 あきそめの　ひのまぶしかる　かる...

鬼押出しの見晴し台に登れれば鬼押し出せる白き雲見ゆ　丹人 おにおしだしの　みはらしだいに...