筆四度巻き上げ翔びて勢ひの紙背に徹す鉄舟の「濁」 鉄舟の残す萬(よろず)の書の中の「清濁」の額に吾(あ)の縁(えにし)あり 清のみの人無く 濁のみの人なし 清と濁を併せもちて人なり 世もまさにさやふなり 清と濁を併せもちてこそ世なり いずれか一方に偏したれば 必ずや異変を生ず 肝要なるは清と濁との均衡なり 昨今 さやふなるおもひ高まり来たる予なれば 山岡鉄舟筆なる清濁の額の 予が庵に縁ありて来たることは いと嬉しく 有難きことなり