"BLACK DEVIL Rose Flavour"

　先日の記事で、新発売の煙草を二銘柄買ったという話をした。先程、早速その内の一つを試した故、アナウンス通り紹介記事を書こう。今回試したのは、"BLACK DEVIL Rose Flavour"(ブラックデビル・ローズフレーバー。以後、ローズフレーバー。)、である。
　"BLACK DEVIL"(以後、ブラックデビル。)自体は、以前別の記事に記した通りである。概要だけ再述しておくと、オランダ産の煙草であり、日本ではマイナーな銘柄である。ココナッツミルク味という何とも変わったスペシャルフレーバーとチョコレートフレーバーの二種類が、存在する。
　今回、ブラックデビルに新しく仲間が加わった。それが、今回紹介するローズフレーバー、である。『たばこナビ』によると、今月発売されたばかりの新製品、である。それ故、紹介記事はまだ少なく、"Google"で検索をかけてもヒット数は少数に留まっている。
　ローズフレーバーは、その名の通り、薔薇を香らせた煙草である。先述のスペシャルフレーバーなど、元来ブラックデビルは変わったフレーバーを世に送り出しているが、薔薇はさらに変わっている。恐らく、どんなに探しても、他に例を見出せないだろう。
　その見た目は、率直なところ、煙草のパッケージには似つかわしくないほど派手である。貼付写真の通り、パッケージから煙草本体までピンクで統一され、若干目に痛いほどである。下の写真の通り、フィルター部分には金字でブラックデビルの商標が打たれ、何やらゴージャス感を醸し出している。

＊フィルターに付された商標。

　なお、肝心の味に移る前に、一点「断り」を入れておく。かような話をすると身も蓋も無いのだが、実のところ、産まれてこのかた薔薇の香りを嗅いだためしがない。したがって、薔薇の香りの何たるかを知らず、その上で本稿を執筆している。その点につき、予め断りを付しておく。
　さておき、例によってまず火を点けない状態で香りを嗅ぐと、若干複雑な香りである。全体的に、ヴァニラの香りが強く、ケーキのような甘さが漂う。当初は、以前紹介した"MURIEL Sweets"に限りなく近いように思えた。しかし、"MURIEL"には無い仄かな甘酸っぱさが、ある。
　火を点けてみると、打って変って、非常にあっさりしている。最初の口当たりは、よくよく注意すれば甘さを感じ取れる程度である。煙が鼻を抜ける際に、優しい甘さが仄かに香る。ヴァニラのような「甘ったるさ」は、一切感じない。全体的に、吸った際のインパクトは、軽い。非常にふわっとしており、全くしつこくない。
　さらに、その甘さは、実に不思議である。ヴァニラに近いように思えるが、明らかに砂糖系のそれではない。むしろ、若干の苦味すら感じる。ごくごく自然な軽い甘さであるが、、今まで吸ったためしのない香りである。仮に既存のものに置き換えるとすれば、桜餅のようである。
　なんにせよ、個人的には、肯定的に評価している。煙を抜ける際の甘さが、大変心地良い。先行レビューではインパクトの弱さを指摘されているが、良く言えば、非常に上品な香りである。何かをしながらの喫煙ではその良さを味わえず、独りでくつろいでいる際に楽しむ煙草、であろう。総じて、ローズフレーバーは、良い銘柄である。
　ただ、一つだけ難点がある。先行レビューでは評価が分かれているのだが、ローズフレーバーは、その見た目故に人前では憚られる。最も正確に色を映した本稿最下部の写真の通り、前面パステルピンク、である。上品な香りに比して、率直なところ、見た目がいささか下品である。
　ちなみに、構図としては、チョコレートフレーバーと同じである。チョコレートフレーバーも、大変香りが良いのにも関らず、パッケージの「素朴さ」故に否定評が付き纏った。しかし、つまるところ「ショボい」という評価であり、人前で憚られはしない。
　他方、ローズフレーバーは、チョコレートフレーバーとは正反対に「派手」である。色を最も正確に映した本稿最下部の写真の通り、パステルピンクの見た目は、随分目立つ。人によっては抵抗を感じないのかもしれないが、えてして勇気が必要かもしれない。個人的には、まだ態度を決めかねている。
　総じて、実に損をしている銘柄、であろうか。繰り返せば、香りは、非常に良い。是非とも、一度お試し願いたいところである。ただ、よしんば気に入ったとして、愛用するかどうかは、この見た目に対する評価次第であろう。全く抵抗を感じない、又はむしろその派手さに利点を見出すのなら、十分愛用出来る銘柄である。

＊見難いが、パッケージ左側面に記された社名と生産国オランダ。