不肖Tamayan.com駄弁録

「英雄は自分のできる事をした人だ。凡人はできる事をせずに、できもしない事を望む。」byロマン・ロラン

『英雄の条件』(政治編/後編)

2006年11月09日 07時24分47秒 | 徒然駄弁-政治編
(前編の続き)  前編では、映画『英雄の条件』(以後、本作)の価値について論じた。一見戦争犯罪をテーマにしているように見えて、実のところ、本作はシビリアンコントロールを始めとする軍事の現実を描いていた。高いリアリティを有した作品であり、それ故に、逆説的ではあるが本作に対して為された非難は賞賛とも言える。  また、前編の最後で若干言及した通り、本作は日本人にとって無縁な話ではない。実のところ、本作で . . . 本文を読む
コメント

『英雄の条件』(政治編/前編)

2006年11月08日 22時55分18秒 | 徒然駄弁-政治編
 前回は、映画『英雄の条件』を紹介しつつ、簡単な論評を行なった。また、同時に、その否定的評価の所以に価値があると指摘した。日本において多くのレビュアーが非難し又は反感を抱いた本作の主張や理屈に、逆説的な価値を見出せると述べた。  さらに、かような本作の価値は、製作サイドの意図するところではないものの、日本の自衛隊に関る重要な議論を示唆しているとも述べた。実のところ、本作で提示された論点は、既に自衛 . . . 本文を読む
コメント

"ROE"(後編)

2006年10月25日 20時55分12秒 | 徒然駄弁-政治編
 前回は、『政策空間』という政策論議に関するニュースレターを配信しているサイトに、拙稿が掲載された件について話をした。同時に、自衛隊における体系的なROE策定が未だに成っていない問題をテーマにした論考の概要を紹介しつつ、その内容には執筆者として満足していないと述べた。  また、それ故、前編終盤において若干の補論を行なう旨を告知した。そこで、本稿では、掲載論稿には盛り込めなかった内容を幾らか取り上げ . . . 本文を読む
コメント

"ROE"(前編)

2006年10月24日 01時15分10秒 | 徒然駄弁-政治編
 著者が巡回しているサイトの中に、『政策空間』というサイトがある。『政策空間』は、政策論議をより広く活発にすべく、毎月政策ニュースペーパーを配信しているサイトである。特定の党派や主義信条に偏らない自由な空間創造を信条にしており、様々な分野の様々な立場を有する人々が、記事を投稿している。投稿された記事は、編集部の審査を経て、毎月一回PDF及びHTML形式でサイト上でも公開される。  記事の内容は全体 . . . 本文を読む
コメント

境界線

2006年10月18日 03時35分45秒 | 徒然駄弁-政治編
 過去に幾つかの記事で、大学学部ゼミの卒業旅行の一環で、板門店の休戦協定会議場を訪れたという話をした。かの地で過ごした時間は、たった数時間であり、見学を許可された範囲も狭い。しかし、それでも、色々と考えさせられた。一部は既に過去に記事にしたとはいえ、まだ全てを語りきれていない。というより、今も尚整理出来ていない。そこで、例によって昔話で、しかもあくまで個人的な欲求ではあるが、回想を一つ綴ろうかと思 . . . 本文を読む
コメント

"AED"(最終部)

2006年10月13日 12時18分15秒 | 徒然駄弁-政治編
(前回の続き) 6.AED普及及び運用上の問題に対する対応 ・第四章及び五章総括  第四章から第五章にかけて、AED普及及び運用上の問題点について検討してきた。再度単純に列挙すれば、普及においては、設置状況のムラ、コスト、そして認知度の低さがあった。他方で、運用面では、設置に対する広報、保守管理体制、さらに運用技術取得の三点が問題であった。  では、かような問題に対して、如何に対応すべきか。ここ . . . 本文を読む
コメント

"AED"(第五部)

2006年10月12日 01時38分31秒 | 徒然駄弁-政治編
5.AED運用上の問題  第四章で検討した通り、AED普及は、重要な問題を抱えている。財政力や認知度に起因して、設置状況には地域差が生じている。そして、その地域差は、そのまま救命率の地域差となって現れる可能性がある。また、特に認知度の低さは、実際の現場で使用され難いという意味で、AEDの普及が進まない重要な要因となっている。しかし、その対応は次章第六章に譲るとして、問題はそれだけではない。  実の . . . 本文を読む
コメント

"AED"(第四部)

2006年10月11日 00時17分32秒 | 徒然駄弁-政治編
(前回の続き) 4.AED普及における問題点―設置場所のムラとその要因  第三章で述べた通り、AEDは、人的リスクの低減によってCPR精度向上に寄与する意義を有している。幾らか付言しておけば、AEDには、他にも二点の意義があると言われている。一つは、病院退院率の向上、である。つまり、AEDの早期使用によって、脳等への障害が回避され、社会復帰の可能性が高くなる。今一つは、本来危険を伴う電気ショック . . . 本文を読む
コメント

"AED"(第三部)

2006年10月10日 02時00分45秒 | 徒然駄弁-政治編
(前回の続き) 3.AEDの意義―人的リスクの低減と救命率の向上(*)  第二章で述べた通り、従来のCPR法は、実施者の錬度に大きく依存しており、それに起因してリスクと不確実性を伴う。しかも、初動対応を行なう一般人には限界があり、第二章で検討した問題を将来する可能性が高い。それでは、AEDは、かような問題に如何に対応しているのだろうか。  そこで、本章では、AEDの効果と意義について論じる。第二 . . . 本文を読む
コメント

"AED"(第二部)

2006年10月09日 03時33分25秒 | 徒然駄弁-政治編
(前編の続き) 3.従来のCPRにおける問題点―リスクと不確実性  第一章で述べた通り、AEDは、一般人による初動対応力、ひいては救命率の向上を図るために普及が進められている。ちなみに、電気ショックによる蘇生活動は、元来医療行為に該当する故、適正な医療の維持との関係で衝突が生じた。かような議論で指摘された論点は、AED設計に反映され、やっと一般人による使用が認められるレベルに達した。日本において . . . 本文を読む
コメント