Hunt for Red OctoberBasil PoledourisMcaこのアイテムの詳細を見る |
古い作品だが、今回は、ベージル・ポールデュリスの"The Hunt for Red October"(以後、本作。)を紹介しよう。
作者はベージル・ポールディリス。2006年に惜しまれつつ逝去したが、彼は、『ロボコップ』を始め、数多くの映画音楽を手がけている音楽家である。行進曲のような躍動感と勇ましさを兼ね備えた楽曲が多く、またいずれの作品も、映画の雰囲気との適合度が極めて高い。
彼が残した作品の一つが、本作である。タイトルの通り、本作は、同名映画のオフィシャルサントラである。映画の方は、トム・クランシーの出世作である同名小説の劇場版であり、『レッドオクトーバーを追え!』(1990年米国。監督ジョン・マクティアナン。主演アレック・ボールドウィン&ショーン・コネリー。)の邦題で知られている。ご覧になられた方も、少なくないのではないだろうか。
ストーリーや演出も良かったものの、音楽もまた、素晴らしかった。重厚なメロディーとロシア語コーラスを主体としており、荘厳だが重い影のある曲調になっている。それが、映画の世界観と主人公の重さを、見事に引き立てている。厳しい批評家は、映画には否定的な見解を示すが、本作だけは絶賛している。ポールディリス作品の中で最高との呼び声も、あるほどである。
また、著者が今まで聞いてきたサントラの中では、明らかにずば抜けている。映画の中でなければ良さが出ないサントラも多い中、本作は、独立した音楽作品としも成立している。しかも、ハズレが無い。大抵のサントラは、特定の一曲又は二曲程度しかよいものがない。しかし、本作は、収録されている十曲全て当たりである。
特にCD一曲目、映画のオープニングを飾る"Hymn to Red October"(*)は、寒く暗い海で展開される物語の悲壮感と勇壮感を両方巧く表現した傑作である。ちなみに、TBSの人気番組『筋肉番付』でも使用されていた。また、他の九曲も、全て単体で聞き応えがある。個人的には、六曲目の"Chopper"や十曲目の"Kaboom"も、映画で登場する緊迫したシーンが蘇るので非常に気に入っている。
率直なところ、かくも良いサントラは、そうあるものではない。数多と聴いてきたサントラの中では、間違いなく三本の指に入る作品である。ノリが良く、モチベーションを上げたい場合に最適のサントラである。朝目覚めた時、本作を聞くと、腹の底から重い決意が沸いてくる。
とにもかくにも、強くお勧め出来るサントラである。通勤・通学等、家から「出撃」する時に聞くと気分がノる。まずは一度お聞きになられるとよいだろう。
(*)
いずれの曲も"iTunes Store"で無料試聴(約30秒間)及び購入可(単曲から可)。
The Hunt for Red October (Music from the Original Motion Picture)
(**)
"You Tube"でも"Hymn to Red October"をフル試聴可。
(***)
『レッドオクトーバーを追え!』予告編(英語・字幕なし)。