かつて、
戦時中の日本にあって、
徴兵制度というものがあった。
ズバリ、
国民は兵隊になることを国が義務付けたもので、
従わなければ、
「非国民」と呼ばれ懲役刑となり、
親や親戚は、
国家的イジメを受ける。
やから、
みんな徴兵制度に従う。
そして、
徴兵される際、
該当者には、
赤い紙に書かれた召集令状が来る。
これを『赤紙』という。
オノウコが言う、
髪を赤く染めることではない。
すなわち、
召集令状の『赤紙』が来た時、
その者は、
大日本帝国の兵士となる。
この悪夢がまだ消え去らぬ昭和の末期にして平成元年。
かつては大日本帝国の兵士やった、
モーさんの祖父が認知症になった。
それは酷いあり様で、
自分がナニモノかも忘れた。
ある日、
モーさんの妹が、
友達の入院見舞いに千羽鶴を折ろうとして、
大量の折り紙を買った。
その時、
赤い折り紙が一枚落ちてしまった。
しばらくして、
ニンチ入った祖父が来て、
落ちてた赤い一枚の折り紙を拾った。
たちどころに、
モーさんの祖父の目付きが変わった。
しばらくして、
モーさんの家では、
祖父がいないと騒ぎ出していると、
自衛隊募集事務所から、
電話📞が入った。
ナンでも、
モーさんの祖父が、
古い軍服着て、
赤い一枚の折り紙持ってきて、
「お国の為に戦って参ります!」と言い、
『露営の歌』(軍歌のひとつ)を歌っているという。
モーさんの家族は、
祖父を迎えに行った。
モーさんの妹が、
赤い一枚の折り紙を落としただけで、
この大騒ぎ。
モーさんの祖父の心にあっては、
戦争は終わっていなかった!