前記事の続き。
百合は辛かった。
父親のタケルも母親のアヤモも口数少なく、
仏頂面に過ごす。
そんな時、
学校で作文コンクールがあると言うので、
全校生徒みんなが、
原稿用紙と睨めっこすることになる😠
百合は、
自分の思いを原稿用紙にぶちまけた。
その結果、
コンクール優勝🎊㊗️
校長先生から褒められてる時、
大きなリボン🎀を髪に巻いた少女しのぶが現れ、
リボンを取って、
百合の背後から首絞めしようとしたところを、
数人の職員に取り押さえられて、
連行された。
百合は、
うれしかった🤗
まさか、
作文コンクール優勝🏆
アヤモに読んでもらいたいけど------
とある噂を、
アヤモの同僚から聞かされた。
「この頃、『どんがらがん』来ないでしょう?変な居酒屋で、大学生のアンちゃんといちゃついてるんだって」
百合は、
その居酒屋の近くまで、
何度も足を運んだ。
そして、
噂通り、
アヤモは大学生のアンちゃんと、
酔い潰れ合っていた。
百合は、
いつも、
悲しげな帰宅したもんやった。
でも、
きょうは違う!
作文コンクールで優勝したんや🏆
けど、
居酒屋そばまで来て、
足がすくむ。
そんな百合を、
アヤモが気付いた。
アヤモが招くので、
恐る恐る居酒屋に入ると、
アヤモは、
「ナンヤお前は⁉️オンナみたいにおじおじしやがって‼️」とガナる!
百合もこの言葉にキレて、
「作文コンクール優勝🏆したんだよ!!」と語調を強める!
アヤモは百合をじっと見つめ、
「読んでみな」と言った。
百合は、
緊張しつつも読みあげた。
「おともだちは、学校にいっぱいいる。みんなと仲良しして、助け合える。しのぶは喧嘩っぱやいけど、悪いやつじゃない。ただ、あいつは馬鹿なんだ。けど、一番のおともだちがいる。お母さんだ。いつも仲良くして助け合ってるつもりだった。けど、この頃、仲良くしていない。あたしが、駄目なのかな?あたしが悪いのかな?でも構わない。だって、お母さんは、一番のおともだちだから」
アヤモは不機嫌に、
「あたしの近くに来な!」と凄む。
百合は恐る恐る、
アヤモのそばに行くと、
アヤモは、
「あたしの目を見な!しっかりと見な!!」と言って涙をこぼした。
百合は驚いた。
母親が泣くのは初めてやから。
アヤモは泣きながら言う。
「確かにな、母さんも悪いことはあったさ!けど、母さんが、お前が気に入らないとか駄目だからとか言って、顔を背けたことがあったか⁉️嫌いだと言ったことがあったか⁉️お前と他のガキのことで、いつもビビって、いつも泣いて------」
言葉を詰まらせて泣き出すアヤモに、
百合も泣いて抱きついた。
百合は知らなかった。
アヤモが、
三人の子ども一人でも、
微熱があるだけで、
家に、
転がり込むように帰ってきたことなどを------
涙が収まった親子。
アヤモはニヤリとして、
「おめかしして、『どんがらがん』に行くか⁉️」
その1時間後。
『どんがらがん』では、
客が啞然と、
店の入り口を眺めていた。
そこには、
頭に剃り込みした、
アヤモと百合が立っていた。
普通なら、
みんな驚いて帰ることやろう⁉️
けど、
『どんがらがん』は、
「トラックギャルが帰って来た‼️」と言う叫びが上がり、
みんな大喜びに、
アヤモと百合を迎え入れ、
酒を飲み交わす。
そして、
ダチの同僚から、
「ちょうど今夜がトラックギャルのあんたの25歳の誕生日」と告げられる。
アヤモはうれしそうに、
「それでも年寄りにはナンねぇんだよ」と強がる。
と、
アヤモと百合が驚いた。
タケルが、
リベカとコウイチ連れて、
店に入って来たからや。
そして三人は口々に、
「25歳の誕生日おめでとう」と言った。
アヤモは大喜びして、
家族みんなを抱きしめ、
こういうドッキリに等しい仕掛けをした同僚たちに、
心で感謝した。
『どんがらがん』に、
たくさんの声が響く。
「トラックギャル、フォーエバー‼️」
家族も友人も戻った夢のような一夜が去り、
アヤモは有頂天に職場に行った。
そして、
トラックの運転席へと入り込む。
が、
トラックが動く気配が無いから、
現場の人が確かめに行ったら、
アヤモは、
ハンドルにもたれて、
亡くなっていた。
心臓発作やと言うことやけど、
その死に顔は、
うれしそうな笑顔やったという。
ここまで百合は、
飲みダチ仲間に話した後、
「記憶は歴史の窓だ。歴史はいろんな風景さ」とまた呟いた。
そして、
この話しを最後にした。
母アヤモの通夜の日に、
百合はある夢を見た。
それは、
広大な道を母アヤモがトラックを猛スピードで走らせながら、
「トラックギャル・フォーエバー‼️」と叫んでいた姿やった。