花愛好ジジイのミヤザキが経験した話。
今から数年前。
知人にして痴人のじいさんから、
地図にはない、
紅山(くれないやま)というところがあり、
珍しい花々が咲き乱れていると教えてもらった。
そこは、
山の魂が躍動して、
空気が澄み、
特に、
日のかげんからか、
昼間なのに夕空を思わされる時間があり、
そこから、
紅山(くれないやま)との呼称に繋がったと、
補足説明までいただいた。
当然のごと、
ミヤザキは、
現地へと向かった。
地図に無い秘密の山の割りには、
頂上までの車道があることを、
フツーの人なら疑うが、
ミヤザキに、
そんな疑念はひとかけらも無かった。
けど、
不思議な雰囲気はビンビン感じたらしい。
足元を、
霧が漂ったりした。
ミヤザキは大声で、
「誰や⁉️ドライアイス焚いてる奴は⁉️」と呼びかけた。
そしたら、
遠くから、
「そんなもん、焚いてません」という声とともに、
5人くらいの男女のお年寄りが現れた。
優しそうな人たちで、
ミヤザキはすぐに打ち解けた😊
この老人たちは、
やたら頭が良く、
紅山(くれないやま)を、
地質学的に、
芸術学的に、
歴史学的に、
現象学的に、
ほめあげた🤗🤗🤗🤗
ミヤザキが、
珍しい花を見つけたので、
摘もうとしたら、
老人たちは叱りつけた!
「ここの山が何かくれると思ってるんですか?なにもくれませんよ❗️くれない山ですから!!」とガナりまくる!
気を落ち着けて、
老人たちの話しを聴くと、
この山そのものが生命活動している🙀
ここに来る者の精神作用に反応する🙀🙀
山に反する行為をすれば山師(詐欺師)とみなされ罰を受ける🙀🙀🙀
こう言った言葉の数々に、
ミヤザキは、
この惑星(地球)とこの時(まだ平成)に生まれ合わせたことへの感謝の念を浮かべた。
ミヤザキは、
老人たちに、
ここに何しに来たのか?と質問したら、
ここには、
解脱部屋というところがあって、
それを、
みんなで、
数十年もかけて、
探し続けているんやと言う。
解脱部屋に入れば、
人生のすべての秘密がわかり、
永遠の命を手に出来るとも語った。
フツーなら、
こいつら大丈夫か?と怪しむところやけど、
ミヤザキには、
そんな気持ちのひとつもなかった。
その時、
昼間なのに、
空が真っ赤になった。
老人の一人が言った。
「言い伝えの通り、もし南風が吹いてきたら、風を背に受けて歩けば解脱部屋や」
そして、
南風が吹いた。
ミヤザキと老人たちは、
風を背にして歩き出した。
老人の一人がミヤザキに、
「この世に生まれて、最高のときを🙏解脱部屋の香りがします」
そして老人たちは、
ミヤザキと一緒に解脱部屋に行けることを喜んだ。
ミヤザキは、
更に喜んだ!!
深い霧が立ち込めた------か?
と、
思いきや、
すぐにはれて、
今いるところが、
いつのまにか車道であることを感じた。
老人たちは、
感極まって、
「解脱部屋や‼️」と叫んだ。
そこには、
一台のバスが停まっていた。
老人たちは、
「バスの姿をして解脱部屋が現れた」と喜び、
ミヤザキに、
一緒に入ろうと言ったが、
ミヤザキは悲しげに断った。
そして言った。
「俺は乗れん。まだ煩悩の仮面が顔から取れずに肉に食い込んでるから」と。
老人たちは、
ひとりひとり、
ミヤザキにお別れして、
解脱部屋なるバスの中に入った。
バスには、
『認知症デイルームサービス』とその事業所名が書かれていた。
出発するバスを見送るミヤザキは、
涙を流しながら、
「生きることの幻に翻弄され、死ぬことの現実に煩悶する」と、
別れの言葉をおくってあげた。