「腐女子、うっかりゲイに告る。」
去年夏NHKの夜ドラとして放送された作品。夜ドラの凄さを知らなかったものだから、見逃していたので嬉しい再放送だ。
タイトルから察してライトなコメディを想像していたが、結構シビアな内容で30分が重く感じる事もある。原作はゲイの小説家らしいので結構実態に即しているんだろう。脚本を書いている人は演劇畑のようだ。そしてプロデュースと演出を女性がやっているのが今を感じさせる。
腐女子を演じる藤野涼子は映画「ソロモンの偽証」で鮮烈なデビューをしたから馴染みの女優だけど、主人公の高校生ゲイを演じる金子大地は初めて見たように思う。ゲイの恋人役をやっている谷原章介も含め、役者魂を感じさせる熱演だ。
BL好きな腐女子が本物のゲイを好きになり付き合うことで、異性愛と同性愛の境目が何なのかを考えさせるような作りだ。その辺もプロデューサーであり演出も担当している上田明子の手腕によるところが大きいのだろう。
最後までしっかり観ていこうと思う。
「MIU404」
脚本野木亜紀子、あの傑作「アンナチュラル」の製作チームの作品だから弥が上にも期待値MAX。今まで三話観た感想としては、期待以上ではないかな。展開もスピーディーだし会話のやり取りも良いリズムなので一話があっという間に終わる。これだけ疾走感のあるドラマはいくら刑事ものでもそう簡単には作れないだろう。・・・だけど、なんか足りない気がしちゃう。個々の事件に絡む人々の裏側みたいなものがあまり感じられない。野木脚本だからかなり贅沢な注文を付けているのはわかっているけど、このチームこの役者陣なら叶えてくれるんじゃないかと期待したい。
「私の家政夫ナギサさん」
原作漫画のタイトルは「家政夫のナギサさん」。TVドラマ化にあたって、(私の)と態々所有者を名乗ることで主人公はナギサさんじゃなく、私=多部未華子だと印象付けたのか?
今までも男と女の役割を逆転させたラブコメは沢山作られてきたけど、家政夫というのは面白い発想だなと思う。身近な生活の場である家(部屋)を舞台にすることで登場人物の本性も晒すことができる。仕事では優秀な女性が家事全般においてはダメな設定も使い古されているけど、素の部分を見ることができるのは家政夫だ。かつての「家政婦は見た」「家政婦のミタ」を逆手に取った設定をどう活かせるかが今後の課題だろう。
あいみょんの「裸の心」がドラマの内容とは合ってないのが残念。
「アンサングシンデレラ」
アンサングとは知られざるという意味らしい。
病院ドラマは物語にしやすいし、傑作も多い。でも主人公は必ず医者か看護師だ。
まさか薬剤師が病院内であんなに活躍しているなんて思いもしなかった。現場で働いている人達には嬉しいドラマ化じゃないかな。医薬分業になってから随分時間が経って、薬は殆ど調剤薬局で受け取るようになった。地味な薬剤師という仕事に光が当たったのは多分その辺だ。究極の技術職みたいに言われて人気も高まった。今やそう簡単になれる職業じゃない。医者看護師のような責任感も必要ないし、引く手数多だから季節ごとに職場も変えられて時給もいいので理想の仕事だと思っていた。どんな仕事も無責任な作業は無いんだとこのドラマで再確認。
第一話。面白い。往年のフジテレビ医療ドラマが復活したみたい。今後に期待しながら楽しめそう。
石原さとみはハマっているなぁ。贔屓の桜井ユキも良い。七瀬ちゃんも美味しいポジション。真矢みきも役得の脇役。もしかすると化けるドラマになるかも。