一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

烏帽子岳(佐世保) …こんな素晴らしい山がなぜガイド本に載っていないのか…

2011年02月23日 | その他・佐賀県外の山


山と溪谷社の『新・分県登山ガイド41 長崎県の山』には、ひとつだけ欠陥がある。
それは、佐世保の烏帽子岳(568.1m)がリストアップされていないこと。
ひとつのミスだが、これは致命的でさえある。
ゆえに、私はこのガイド本の著者を信用しない。
かつては「九州百名山」にも選出されたこともある秀峰・烏帽子岳。
佐世保人に、「山は?」と問えば、
誰もが「烏帽子岳」と答えるくらい佐世保人に愛され、親しまれている山である。
佐世保人は、ガイド本にリストアップされている隠居岳、弓張岳、将冠岳に登ったことがない人でも、烏帽子岳には登っているのだ。
佐世保市内の多くの小学校・中学校・高校では、遠足と言えば決まって烏帽子岳だった。
私など、何十回登ったか知れやしない。
佐賀人にとっての天山……それ以上の意味を持つのが、佐世保人にとっての烏帽子岳なのだ。
それほどの烏帽子岳が、『新・分県登山ガイド41 長崎県の山』では、いともたやすく切り捨てられている。
冒頭の概説で、『新・分県登山ガイド41 長崎県の山』の著者はこう述べる。

「旧版で紹介した中で、現在では登山者も少なくコースが荒れていたり、交通の便がよくなりすぎたために山登りの対象にそぐわなくなったと思われるものについては削除した」と。

多分、開発され過ぎた烏帽子岳の山頂付近だけを見て、著者はそう判断したのだろうが、果たして本書の著者は一度でも麓から烏帽子岳に登ったことがあるのだろうか?
もしあったら、絶対に削除なんかできなかった筈だ。
それほど、烏帽子岳へのルートは多様だし、面白いからだ。

私は佐世保市の黒髪町に生まれ育ち、烏帽子岳へは黒髪町側からしか登ったことがなかった。
それでも幾通りかのルートがあったし、随分と楽しませてもらった。
『新・分県登山ガイド41 長崎県の山』の著者に文句を言うからには、他の町からのルートも登り、その素晴らしさを伝える義務がある……と考えた。
烏帽子岳へは、黒髪ルートの他に、山祇ルートや日宇ルートなどがある。
まずは、山祇ルート。
私のネット仲間で、佐世保在住のyanさんは、山祇ルートでよく烏帽子岳に登られている。
「一緒に歩いてほしい」
とお願いすると、快諾して頂いた。
山祇ルートを熟知しているyanさんと一緒ならば、何かと心強い。

午前7時に、佐世保市内の某所で待ち合わせ。
午後から用事があり、午前中だけの登山なので、早朝の待ち合わせとなった。
yanさんの自宅に移動し、そこから歩いて出発する。
yanさんが考えて下さったルートは、次の通り。

yanさん宅~湯舟橋登山口~道路~山祇登山口~霊園上~小佐世保分岐~市道~TV塔前登山口~稜線~頂上~西の森入口~西の森~TV塔前登山口~分岐~テントサイト分岐~木風分岐~市道~下山口~道路~yanさん宅

7:10
yanさん宅を出発。

7:12
yanさんが「湯舟橋登山口」と呼んでいるここから登って行く。


住宅地を抜け、山道に入る。


私道に入り、


車道に出る。


ここから登って行く。
正式な山祇ルートの出発点と言える場所。
道標には、「九州自然歩道」「烏帽子岳2.0km」と記されている。
そう、このルートは、九州自然歩道なのだ。


自然林の中に入って行く。


霊園上の眺めに良い場所からは、将冠岳が見えた。


数種類のスミレが咲いていた。


道標もよく目にする。
「九州自然歩道」の文字が誇らしい。


順調に高度を上げていく。


市道に出て、左折。


しばらく歩いたここから再び登って行く。


登山道の道幅も広く、よく整備されている。


TV塔前登山口から最後の登り。


プチ・ロックガーデン。


最後の急登。


もうすぐ稜線。


稜線に出ると、山頂はすぐそこ。


8:46
烏帽子岳山頂に到着。


案内板には、こう記されている。
《標高568mの烏帽子岳は、俗に佐世保富士と呼ばれ、昔から佐世保の人々の象徴として仰ぎ見てきた山である。
ここからは、九十九島、平戸、五島列島など西海国立公園を大観することができ、名曲「美しき天然」もこの風景の印象をもとに作曲されたといわれている。》
昔から佐世保の人々の象徴として仰ぎ見てきた山……それが烏帽子岳なのである。


虚空蔵山の向こうに、経ヶ岳が見える。


山頂からこれほど美しい風景を展望できる山がどれほどあるというのだろう。


いや、ありはしない。


国見山から、八天岳・隠居岳を経て、烏帽子岳に至る稜線が見てとれる。
縦走した日が懐かしい。


9:04
烏帽子岳山頂を出発。

西の森ルートで下山開始。


美しい林の中を歩いて行く。


雰囲気の良い沢に出合う。


林を抜けると、海が見えてきた。


スイセンの咲き乱れる土手の横を下って行く。


ムラサキケマンも咲いている。


赤崎岳が美しい。


海を見ながら、こういった狭い道を下って行く。
長崎市の低山めぐりをした時と同じような風景。
もう、ゴールは間近。


10:30
yanさん宅に帰ってくる。
この後、yanさん宅で珈琲をいただく。
そして、今日歩いたルートの素晴らしさを語り合った。
今回、初めて山祇ルートを歩いたが、本当に好いルートだった。
登山道はよく整備されており、多くの登山者が利用していることも実感された。
烏帽子岳へのメインルートと言えるのではないかと思う。
yanさんの愛するこのルートを、ぜひ『新・分県登山ガイド41 長崎県の山』に載せてもらいたいと思った。


次回は日宇ルート(←クリック)を歩きたい。
yanさん、今日は本当にありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

yanさん宅の庭に咲いているフクジュソウが私を見送ってくれた。

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