一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

五家原岳のミツバツツジ

2007年04月19日 | 多良山系
仕事の休みの日に晴れると迷う。
山に行くべきか否か――。
やらなければならないことは山積しているのだが、つい山に足が向く。
最近は、午前中に山に登り、午後に用事をなこすことが多い。
今日も早朝に多良山系の聖地・黒木郷に車を走らせた。
黒木駐車場~五家原岳登山口~横峰越~五家原岳~中岳~西野越~金泉寺~西野越~八丁谷~黒木駐車場
約5時間コース。
シャクナゲ、ミツバツツジには早すぎる。
だが、もしかしてという逸る気持ちが足を動かす。
駐車場から約2時間、五家原岳山頂に近づいても、シャクナゲもミツバツツジもまったく咲いていない。
あたりまえだ。
いくらなんでも早すぎる。
と、そのとき、淡い紅紫色がサッと視界を横切る。
「あった!」
登山道から10mほど離れた林のなかで、たった一本の木に二輪だけミツバツツジが咲いている。
その10mをやぶこぎして近づく。
そして夢中でデジカメのシャッターを押す。
たった二輪だが、たまらなく嬉しい!
せっかく登ってきたのだからと、山の神様がちょっとだけ見せてくれたに違いない。



金泉寺に着いても誰もいなかった。
一人で昼食。
と、そこへ山小屋から管理人さんが出てきた。
平日なので、びっくりした。
「どこから来ましたか?」と訊かれて、
「佐賀の多久から来ました」と答えると、
「それならOさんはご存じですか?」と尋ねられた。
「Oさんなら、同じ山岳会ですよ」と驚いて返事すると、
「Oさんもよく一人で登ってこられますよ」とのこと。
さすがOさん。金泉寺でも常連さんとして認知されているようだ。

西野越から下山していると、オオキツネノカミソリの群落が――と言っても花ではなく葉の方だが……
谷間を埋め尽くすようにビッシリ生えている。
このオオキツネノカミソリの葉は、まもなく枯れてしまう。
そして球根として同じ場所に留まり、この球根から7月頃に芽が出てくる。
そして花が咲く。
「葉」がある時に「花」は咲かず、「花」が咲く時には「葉」は無い。
面白い植物である。
このぶんだと、今年の夏にはまたオオキツネノカミソリのオレンジ色の大群落が見られるに違いない。



中岳から西野越へ向かっている時に見かけたエイザンスミレ


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