一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『イチケイのカラス』 ……黒木華、吉田羊、桜井ユキ等が魅力的な佳作……

2023年02月05日 | 映画


「イチケイのカラス」は、
2021年4月5日から6月14日までフジテレビ系「月9」枠で放送されたTVドラマで、
東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称:イチケイ)を舞台に、
主人公の刑事裁判官・入間みちおの自由奔放で型破りな裁判に振り回されるも、
真実をつかもうと奔走するイチケイメンバーの活躍が描かれる、
実に面白いドラマであった。
主人公の入間みちおを竹野内豊が、


事件の処理件数が信じられないほど少ないイチケイを立て直すため赴任してきた特例判事補・坂間千鶴を(私の大好きな)黒木華が演じ、


その他、
(これまた私の好きな)桜井ユキ、水谷果穂、板谷由夏、草刈民代などの女優陣や、
新田真剣佑、山崎育三郎、中村梅雀、升毅、小日向文世などの男優陣も魅力的で、
毎週欠かさず楽しみに観ていたドラマであった。


その後、映画化が決定したのだが、
〈あの面白さはTVドラマならでは……〉
と思っていたので、
嬉しさよりも、ちょっと心配が先立った。
で、公開日(2023年1月13日公開)よりも少し時期をずらして、
1月下旬に(109シネマズ佐賀で)鑑賞したのだった。



入間みちお(竹野内豊)が、
東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称・イチケイ)を去ってから2年が過ぎた。


岡山県瀬戸内の長閑な町に異動した彼は、
史上最年少の防衛大臣(向井理)に対する傷害事件を担当することに。




みちおは事件の背後にイージス艦の衝突事故が関係していることに気づくが、
航海内容は全て国家機密のため調査は難航する。


一方、イチケイでみちおと共に数々の事件を裁いた坂間千鶴(黒木華)は、
裁判官の他職経験制度により、弁護士として働き始める。
偶然にもみちおの隣町に配属された坂間は、
人権派弁護士の月本信吾(斎藤工)と組んで、
小さな事件にも全力で取り組んでいく。


そんなある日、
町を支える地元大企業に、ある疑惑が持ち上がる……




映画を鑑賞する前に、
2023年1月14日の21時よりフジテレビ系の土曜プレミアム枠で放送された、
「イチケイのカラス スペシャル」と題したスペシャルドラマを観た。


入間みちおがイチケイを去ってから1年後の物語が描かれており、
(私の好きな)中村アンと堀田真由が魅力的な好いドラマであった。


ただ、(私の大好きな)黒木華の出演シーンが少なく、それだけが不満であった。(コラコラ)


劇場版の方は、
入間みちおがイチケイを去ってから2年後が描かれているのだが、
スペシャル版とは違って、
〈真の主役は黒木華?〉
と思うほど坂間千鶴(黒木華)が活躍するストーリーで、
大きなスクリーンで黒木華をたくさん見ることができただけで、
私は大満足であった。



ネタバレになってしまうが、
(なので、これから見ようと思っている人は、以下は読まないで……ね)


ミステリーの部分が、(吉田羊がどちらにも出演していたということもあってか)
「ガリレオ」シリーズの劇場版『沈黙のパレード』(2022年9月16日公開)と似ており、
(そういえば、綾瀬はるか主演のTVドラマ「元彼の遺言状」の最終章にも似ていた)
最近、この手の設定が多すぎるような気がして、
驚きがなく、新鮮味がなかった。(個人的感想です)
なので、私は、もっぱらTVドラマの延長として、
それぞれのキャラクターを楽しんだし、
そういう意味での面白さを満喫することができた。



(映画版では裁判官の他職経験制度により弁護士となった)坂間千鶴を演じた黒木華。


ホンワカ、おっとりとした役が多いという印象の彼女だが、
こういったキリッとした役も似合うし、
キリッとしていながらも、どこかドジっぽい部分も残しており、
コミカルな面も併せ持つキャラクターを、黒木華は実に上手く演じていた。
今回は、人権派弁護士・月本信吾(斎藤工)へときめいているようなシーンもあり、


坂間千鶴の可愛い一面も見ることができて楽しかった。
そして、裁判のシーンでは、凛とした佇まいと表情が美しく、見惚れてしまった。


この映画は坂間千鶴の成長譚にもなっており、
繰り返すが、(私にとっては)黒木華が主役の映画であった。



産業医・小早川悦子を演じた吉田羊。


昔から、町一番の美人として有名で、みんなのマドンナ的な存在。
「シキシマ株式会社」の産業医をしており、
坂間千鶴とは馬が合い、姉妹のように仲がいい。


実生活でも、NHKの朝ドラ「純と愛」で共演以来、仲がいいらしく、
その雰囲気が映像にも表れていて楽しく見ることができた。


(先程も述べたが)ただ、『沈黙のパレード』と役が被っているような印象もあり、
それだけがちょっと残念であった。


それにしても、舞台挨拶の時のファッションは素敵だった。
「惚れてまうやろ~」



その他、
秀彰(津田健次郎)の妻で、イージス艦衝突事故の判決に納得がいかず、
鵜城(向井理)に包丁を突き付けた障害事件の被告人・島谷加奈子を演じた田中みな実、


岡山地方裁判所秋名支部の左陪席で、
理路整然とした語り口が特徴の赤城公子を演じた西野七瀬、


上述の通り井出と結婚するが、みちおのせいで岡山に行くことになってしまい、早くも離婚危機に陥る、元“イチケイ”の事務官・一ノ瀬糸子を演じた水谷果穂、


“イチケイ”の書記官・浜谷澪を演じた桜井ユキなどの女優陣が、


ややもすれば殺伐としたリーガル(法廷)ドラマになるところを、
潤いのあるヒューマンドラマに変えていて秀逸であった。





TVドラマ「イチケイのカラス」のファンにとっては、
嬉しいプレゼントとなる作品であったし、
好きな女優をたくさん見ることができ、
とても幸せな119分であった。

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