一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

実写映画『心が叫びたがってるんだ。』……中高年世代にこそ見て欲しい感動作……

2017年08月01日 | 映画


2015年公開のオリジナル長編アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』を、


人気アイドルグループ「Sexy Zone」の中島健人、


NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」で注目を集める芳根京子、


E-girlsのパフォーマーで、女優としても活躍している石井杏奈、


佐藤浩市の息子で、映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』にも出演予定の寛一郎を主要キャストとして、


実写映画化したものである。


この実写版『心が叫びたがってるんだ。』を見た理由はひとつ。
私の好きな石井杏奈が出演していたから。
石井杏奈を初めて見たのは、
映画『ソロモンの偽証(前編・後編)』(2015年)で、
その後、映画『四月は君の嘘』(2016年)や、
TVドラマ『仰げば尊し』(2016年7月~9月)などを鑑賞し、
好きになった。


夏休みに入り、お子様向けの映画ばかりで、
見たい映画がなかったということもあるが、
石井杏奈に逢いたくて、映画館へ向かったのだった。



コミュニケーションが苦手で本音を言えない高校3年の坂上拓実(中島健人)は、


“ふれ交”こと「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されてしまう。
一緒に任命されたのは、
おしゃべりができない少女・成瀬順(芳根京子)。


彼女は幼い頃、自分の一言で、両親が離婚してしまい、


それがトラウマとなって、しゃべると腹痛に襲われるため、
文字でしか他人と意思疎通できず、以来、誰にも心を開かなくなってしまっていた。


“ふれ交”の実行委員には、その他、
チアリーダー部の部長で優等生の仁藤菜月(石井杏奈)、


ヒジの故障で挫折した野球部の元エース・田崎大樹(寛一郎)が選ばれた。


実は、拓実と菜月は元恋人で、二人は自然消滅した後、
お互いの気持ちを確認できずにいた。


担任教師・城嶋一基(荒川良々)の思惑で、


“ふれ交”の出し物はミュージカルに決定。
「ミュージカルは奇跡が起こる」
という城嶋の一言に、
勇気を出した順は、詞を書くことを決意し、さらに主役にも立候補する。


そんな彼女の姿に感化された拓実が曲をつけることに。
順は拓実の優しさに好意を寄せるようになり、


拓実が好きな菜月は自分の想いを諦め、


そして夢を追う順の姿に、大樹は好意を寄せ始める。


目の前の人に「好き」と言えずに、すれ違う4人。


舞台前日に、拓実の本当の気持ちを知ってしまった順は、
舞台当日、「やっぱり歌えない」と消えてしまう。
順を捜しに行く拓実。
だが、舞台の開始時間は刻々と迫り、
順の代役で菜月が主役を務め、幕が上がる……





映画を見た感想はというと、
若者向けの映画という意識があったので、
正直、内容にはそれほど期待してはいなかったのだが、
嬉しいことに、
我々の世代も違和感なく見ることのできるストーリー展開であったし、
登場人物の考えや行動にも親しみを覚え、感動させられた。
〈石井杏奈が見れればいいや〉
くらいの気持ちで見たからかもしれないが、
なんだか得をした気分であった。


監督は、熊澤尚人。
熊澤尚人監督作品は、
『ニライカナイからの手紙』(2005年)や『君に届け』(2010年)などを見ているが、
『心が叫びたがってるんだ。』は、『君に届け』に似た部分があり、
かつて、私は、『君に届け』のレビューで、

本当にピュアで健気な高校生の物語である。
中年のおじさんが見ても、まったく違和感なく見ることができる内容で、若い人だけでなく、中高年の方々にもぜひ見てもらいたい作品である。
この映画を見ていると、なんだか今の高校生の方が、昔の高校生よりももっと純情のような気がしてくる。
いや、昔も今も(いつの時代も)、思春期の若者たちは、ピュアで健気なのかもしれない。


と書いたが、(全文はコチラから)
『心が叫びたがってるんだ。』にも、まったく同じことが言えるのではないかと思った。
まったく違和感なく見ることができたし、
スマホなどがなければ、「時代設定は昭和」と言われても十分に通用する物語であったと思う。
若者にも見て欲しいが、
むしろ、中高年世代にこそ見て欲しい作品と言える。


私が注目していた石井杏奈はどうだったかというと、
期待以上の演技で、素晴らしかった。
E-girlsのパフォーマーであるので、
彼女のダンスはいつも見ているが、
彼女の歌声は聴いたことがなかった。
それが、この映画『心が叫びたがってるんだ。』では歌声も披露しているので、大満足。
石井杏奈ファンには必見の映画と言えるだろう。


石井杏奈が出演しているTVCMでは、
日本郵政グループのCMが好きなのだが、


このCMで共演している荒川良々も本作『心が叫びたがってるんだ。』に出演しており、
(私にとっての)夢の競演が叶っている。(笑)
荒川良々は佐賀県小城市出身(私の現在住んでいる隣町)なので、
親しみを感じているということもあるが、
個性的な演技が秀逸で、彼が出演しているだけで、その作品が特別なものに思えてしまう。
担任教師・城嶋一基は、アニメではイケメンであったが、
実写映画では荒川良々をキャスティングすることで、
アニメとは違った空気感を出すことに成功している。
「ミュージカルは奇跡が起こる」
という言葉も、荒川良々が言えばキザに聞こえず、
〈本当にそうだな〉
と思わされてしまうのが好い。


石井杏奈、荒川良々の他に印象に残ったのは、
成瀬順(芳根京子)の幼少期を演じていた平尾菜々花だ。


現在、NHKのドラマ『悦ちゃん〜昭和駄目パパ恋物語〜』で、
「悦ちゃん」こと柳悦子を演じて話題になっているが、
一度見たら忘れられない個性的な顔立ち、
そして、子役としての素晴らしい演技に唸らされた。


ロケは、埼玉県秩父市周辺で行われており、
背景の甲武山が殊の外美しい。


出勤前に書いているので、今日はこの辺で終えたい。
中島健人、芳根京子、寛一郎などについては、
(多くの人がすでに書いているだろうから)当ブログでは省略。
ここでは、私の好きな石井杏奈と荒川良々を中心に、
実写映画『心が叫びたがってるんだ。』について感じたことを記してみた。
中高年でもまったく違和感なく見ることのできる感動作を、
映画館でぜひぜひ。


この記事についてブログを書く
« 登吾留山 ……佐賀の平尾台と... | トップ | 映画『君の膵臓をたべたい』... »