![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/a3/84fb6aa2c416a52526463c1518ac6a65.jpg)
今年(2013年)7月~9月のTVドラマで、
最も視聴率が良かったのは『半沢直樹』であったが、
私が最も良いと思ったドラマは、
坂元裕二脚本、満島ひかり主演の『Woman』であった。
満島ひかりの演技も素晴らしかったが、
坂元裕二の脚本には舌を巻いた。
同じ坂元裕二の脚本で、
今年(2013年)1月~3月のTVドラマで、
最も面白かったのが、『最高の離婚』。
このドラマには、私の好きな真木よう子と尾野真千子が出演していたので、
毎回欠かさず観た。
エンディングのダンスも楽しみだった。
この真木よう子・尾野真千子コンビが出演している映画が、現在公開されている。
そう、『そして父になる』。
是枝裕和監督作品だからというのでなく、
また、福山雅治が出演しているからというのでもなく、
はたまた、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したからというのでもなく、
ただ、私の好きな真木よう子と尾野真千子が出演しているからという理由だけで見に行った。
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大手建設会社に勤めるエリート会社員・野々宮良多(福山雅治)。
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都心の高級マンションに暮し、自分は成功者だと思っていた彼のもとに、
病院から連絡が入る。
6歳になる自分の息子が、取り違えられた他人の子だというのだ。
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自分の思うような強い子に育っていない息子に不満を持っていた良多は、
「やっぱり、そういうことか」
と思い、
妻・みどり(尾野真千子)は、気が付かなかった自分を責める。
病院側から、
「過去の取り違え事件では100パーセント血のつながりを取る」
と説明され、
取り違えられた先の斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)ら一家と会うようになるが、
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群馬で小さな電気屋を営む斎木家の、
粗野で乱雑に見える家庭環境に接し、
本当の息子がこのような家で育っていたことに戸惑う良多。
それでも交換は早い方がいいという判断から、
両家族は交流を深め、その日へ近づく努力をする。
それは、
血のつながりか、
愛情をかけ6年間一緒に過ごしてきた時間かを問う、
両夫婦の苦しみの始まりだった……
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見た感想はというと、
真木よう子と尾野真千子の演技もさることながら、
映画そのものが、とても素晴らしい作品であったということ。
傑作と言っていいだろう。
題材である「赤ちゃんの取り違え事件」は、
私の年代には特に珍しいものではなく、
昭和40年代によく耳にした事件である。
当時、「赤ちゃんの取り違え事件」を題材としたドラマも多く制作され、
何度も観た記憶がある。
映画『そして父になる』が、
それらとは一線を画すドラマになっているのか、
ちょっと心配しながら映画館へ足を運んだのだが、
出演者の発する言葉のひとつひとつが活きていて、
脚本の良さが感じられたし、
それに伴う映像も素晴らしかった。
真木よう子と尾野真千子を見に行ったので、
このふたりのことから書き始めることにしよう。
まずは、真木よう子。
今年(2013年)は、すでに4本の映画
『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』(1月26日公開)
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』(3月2日公開)
『さよなら渓谷』(6月22日公開)
『そして父になる』(9月28日公開)
に出演しており、
真木よう子の年と言ってもいいほどの活躍である。
『さよなら渓谷』はまだ見ていないが、
佐賀ではシアターシエマにて10月26日公開予定なので、必ず見に行くつもり。
TVCMにもよく出ており、
特に、トヨタのSAIのCMは秀逸。
観るたびにドキドキさせられる。
イメージ的には、エリート社員の妻という感じであるが、
この映画では、小さな電気屋を営む男(リリー・フランキー)の妻を演じており、
これまであまり見ることができなかった役柄なので、新鮮であった。
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尾野真千子。
エリート社員(福山雅治)の妻を演じているが、
彼女のキャラクターや、これまで演じてきた役からすると、
小さな電気屋を営む男の妻の方が合っていると思うが、
是枝裕和監督はそうはしなかった。
真木よう子と尾野真千子の「らしい役」を逆にすることで、
それぞれの意外性を引き出している。
うまいと思った。
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リリー・フランキー。
マルチタレントで、肩書は、
イラストレーター、ライター、エッセイスト、小説家、絵本作家、アートディレクター、デザイナー、ミュージシャン、作詞家、作曲家、構成作家、演出家、ラジオナビゲーター、フォトグラファー、俳優などがあり、
多くの顔を持つ人物であるが、
私としては、俳優の顔を特に評価している。
『ぐるりのこと。』(2008年)での演技は見事であったし、
『モテキ』(2011年)での彼も強く印象に残っている。
飄々とした演技とでも言おうか、
肩の力を抜いた演技とでも言おうか、
そのふんわり感が実に好い。
この『そして父になる』が深刻な題材の映画であるにもかかわらず、
重苦しい作品にならなかったのは、彼の功績と言える。
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福山雅治。
主役を最後に語るとは、ひどいレビューであるが、(笑)
それは私が彼を嫌っているからではなく、
むしろより親近感を感じているからに他ならない。
同じ長崎県出身であるし、(オイオイ)
身内のように感じているのである。(コラコラ)
冗談はさておき、
福山雅治もまた、マルチな才能を持つ男である。
シンガーソングライターだけにとどまらず、
俳優、ラジオDJ、写真家、音楽プロデューサー など、
実に多くの顔を持つ。
特に俳優としての活躍は、
そのルックスの良さも手伝って、印象深いものがある。
『ホームワーク』(1992年10月16日~12月25日、TBS)
『ひとつ屋根の下』(1993年4月12日~6月28日、フジテレビ系)
『ひとつ屋根の下2』(1997年4月14日~6月30日、フジテレビ系)
『めぐり逢い』(1998年4月10日~6月26日、TBS系)
『パーフェクトラブ!』(1999年7月5日~9月20日、フジテレビ系)
『美女か野獣』(2003年1月9日~3月20日、フジテレビ系)
『ガリレオ』(第1シーズン)(2007年10月15日~12月17日、フジテレビ系)
『龍馬伝』(2010年1月3日~11月28日、NHK大河ドラマ)
『ガリレオ』(第2シーズン)(2013年4月15日~6月24日、フジテレビ系)
など、ちょっと挙げただけでも、その活躍ぶりが分かろうというもの。
映画においては、本数は少ないものの、
『容疑者Xの献身』(2008年10月4日公開)
『アマルフィ 女神の報酬』(2009年7月18日公開)
『アンダルシア 女神の報復』(2011年6月25日公開)
『真夏の方程式』(2013年6月29日公開)
『そして父になる』(2013年9月28日公開)
と、ここ数年の活躍が目立つ。
特に本作『そして父になる』は、作品としての質も高く、
俳優・福山雅治としての集大成の感がある。
一見冷たい感じのエリート社員という役柄はまさに彼にピッタリであるし、
彼を中心として作品も創られているので、
福山雅治ありきの本作だったと言える。
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野々宮慶多を演じた二宮慶多、
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斎木琉晴を演じた黄升げん、
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両子役の演技も素晴らしかった。
子供の演技が自然で、
子供の撮影に定評のある是枝裕和監督の演出力も感じた。
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その他、
風吹ジュン、國村隼、樹木希林、夏八木勲、中村ゆり、ピエール瀧、高橋和也、田中哲司、井浦新など、個性派俳優陣が素晴らしい演技をしているので、安心して見ることができた。
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監督の是枝裕和。
印象に残っている作品を挙げただけでも、
『幻の光』(1995年)
『ワンダフルライフ』(1999年)
『誰も知らない』(2004年)
『歩いても 歩いても』(2008年)
『空気人形』(2009年)
『奇跡』(2011年)
『そして父になる』(2013年)
など、傑作揃い。
また、西川美和監督作品『蛇イチゴ』(2003年)、『ゆれる』(2006年)、
砂田麻美監督作品『エンディングノート』(2011年)
などのプロデュースをしたり、若手監督育成にも努めている。
西川美和監督、砂田麻美監督の作品も見ているが、
いずれも傑作ばかりで、是枝裕和監督の目の確かさを感じさせる。
是枝裕和監督作品というだけで、それは「見る価値あり」である。
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最後に、撮影監督である瀧本幹也についても語っておこう。
この作品では、脚本の良さと同時に、映像の質の高さも感じた。
それは瀧本幹也の仕事の質の高さでもある。
写真家として出発し、TVCMの仕事へと活動の場を広げていった瀧本幹也だが、
是枝監督が本作の準備中に、
リリー・フランキー、深津絵里出演のダイワハウスCMを観て惹かれ、
「これを撮影した人なら長編映画も撮れる」と調べたところ、
撮影が瀧本だったことから、監督がオファーしたのだという。
最近話題の、
トヨタReBORN・大河シリーズや、
サッポロ黒ラベル・大人エレベーターシリーズなども彼の仕事で、
これから映画の撮影監督の仕事も多くなってくると思われる。
瀧本幹也が撮影監督をしている作品も、「見る価値あり」と言えるだろう。
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真木よう子、尾野真千子を語ろうとして、むしろ、
リリー・フランキー、福山雅治、是枝裕和監督、瀧本幹也撮影監督のことを多く語ってしまったが、(笑)
レビューを書いている間にそうなってしまったので、
これもまたライブ感があって由としよう。(爆)
映画館では、その観客の多さに驚いた。
大ヒットしているのを実感した。
質の高い作品を、大勢の人が見ていることを嬉しく思った。
見て損のない作品なので、皆さんも、ぜひぜひ。
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