今年(2020年)の10月10日から放送されている、
日本テレビ系のドラマ「35歳の少女」を毎回楽しみに観ている。
観たいと思った理由の第一は、脚本が遊川和彦だったから。
「真昼の月」(1996年)、
「GTO」(1998年)、
「魔女の条件」(1999年)、
「女王の教室」(2005年)、
「純と愛」(2012~2013年、NHK連続テレビ小説)、
「家政婦のミタ」(2011年)、
「○○妻」(2015年)、
「過保護のカホコ」(2017年)
「ハケン占い師アタル」(2019年)
「同期のサクラ」(2019年)
などのヒット作、話題作を連発している優れた脚本家で、
「純と愛」のような失敗作とは言えないまでも首をかしげたくなるような作品も稀にあるが、
チャレンジ精神あふれる脚本には毎回感心させられている。
「35歳の少女」は、
1995年に不慮の事故に遭い長い眠りについた10歳の少女・望美が、
2020年に目覚めるものの、
心は10歳だが体は35歳となり、
すべてが変わった世界に戸惑いながらも生きていく成長物語。
主演は柴咲コウで、
体は35歳だが、心は10歳という難役なのだが、
毎回、迫真の演技で魅せる。
脚本も優れていて、セリフの一言一言が観る者の胸に刺さる。
特に、毎回、ラスト近くに望美が発する言葉に感動させられるし、
その言葉と、大写しになった柴咲コウの顔に被って主題歌に流れるのだが、
この主題歌が殊の外素晴らしい。
女性の美しい声なので、
〈誰が歌っているのだろう……〉
と思って調べてみると、King Gnuの「三文小説」という曲だという。
King Gnu(キングヌー)は、
東京藝術大学出身のクリエイター・常田大希が率いる、
男性4人組のロックバンド(ミクスチャーバンド)で、
「白日」のヒット曲で知られ、昨年(2019年)はNHK紅白歌合戦にも出場している。
「白日」は私も大好きな曲で、中高年世代にも心に響く曲であった。
〈King Gnuに女性メンバーはいないし、女性ボーカリストを特別参加させているのか……〉
と思ってMVを観てみると、なんと井口理が歌っているではないか!
驚いたのは言うまでもない。
過去最高音域で歌っているとのことで、
その素晴らしい歌声に(再び)感動した。
この「三文小説」が素晴らしいのは、歌声やメロディだけではなく、歌詞にもある。
齢を重ねた者ほど心動かされる歌詞なのだ。
この世界の誰もが
君を忘れ去っても
随分老けたねって
今日も隣で笑うから
怯えなくて良いんだよ
そのままの君で良いんだよ
増えた皺の数を隣で数えながら
いや~、
若者のバンドの曲で、これほど前期高齢者の心に刺さる歌詞はこれまでなかった。
歌声にも、メロディにも、歌詞にも驚かされたKing Gnuの「三文小説」。
ぜひぜひ。