くない鑑

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日本史を読見直す!(中)

2007年10月12日 | 知識補給
「日本史を読見直す!」続編として、以下の2冊をご紹介します。
まず1冊目は...
同志社女子大学特別任用教授朧谷寿藤原氏千年』(1996,講談社現代新書))

題名の通り,平安時代から明治維新まで、常に廟堂の中心にあった藤原氏を取り上げた書籍。
中臣鎌足から始まり、幾度かの危機と政変を経,天皇家を巻き込んで廟堂を支配していった経緯が丹念に解説されています。
また、「望月」の欠けだした平安末期,律令制の崩壊と武家の台頭で凋落し、五家に分裂した“宗家”のその後も、頁数は少ないですが解説されており、好奇心を満たすのに十分たる,読み応え満点な一冊でした。

そして、2冊目は...
日本中世史の大家,林屋辰三郎 京都大学名誉教授中世の開幕』(1976,講談社(現代新書))

この本は、日本中世史を知る上においては最もスタンダード“入門書”的一冊。
平安末期から鎌倉時代の閉幕まで。
受領国守を担った中下流の公家や王氏系武士団の台頭/平氏の台頭から鎌倉幕府の成立/鎌倉源氏の断絶と北条家の台頭/蒙古襲来と両統迭立/鎌倉幕府の滅亡...とを丹念に,かつ実証的に論じられています。
その、一章一節毎に記されている論説の一つ一つが興味深く面白いのですが、中でも“目から鱗”的だったのは、「北条氏の位置」という節の中...
「日本の政治のあり方には、つねに主権者が親政するのではなく、その輔弼機関がこれを代行する慣習がある。主権者には権威があればよく、輔弼者が権力を行使する。日本の律令制もまた同様であるが、執権政治はまさにその典型であった。そして輔弼者の性格が法的根拠をもつか否かによって、その権力の内容に相違が生まれる。」
...という一文。
思い起こせばなるほど...
平安期の摂関家や鎌倉幕府の北条家があり、室町時代には幕府に三管領家,各国守護の下には守護代が、正しくこれに該当。
また、江戸幕府にても“官僚機構”が発達し、譜代門閥家によって形成された閣老による合議制で政権運営が為されており、この中に将軍の“御意向”を組み入れるのは容易なことに非ず。
それゆえに、こうした閉塞感を打破して風穴を開けるべく誕生した職が“側用人”(御側御用取次)であり、柳沢吉保や間部詮房,加納久通と有馬氏倫,田沼意次など、非門閥家の人々が任ぜられたのです。
こうしたことからも、なるほど論説には納得出来、非常に感銘を覚えました。

勿論この他にも,“中世(史)の実情”が書中ふんだんに論説されているので、同時代に興味のある方,もしこの本を見つけられたら是非手にとって,ご一読以上されることをオススメします。
ちなみに,私はもう、五読くらいしましたよ(笑)

また、これ以外に何冊も度々借りては読み漁っています(笑)・・・いるので、その簡略な紹介はまた別に行いますm(_ _)m


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