我が街の図書館自慢から展開した「日本史を読見直す!」第参段は、今まで借りて読んだ中から印象的だった本を(僭越ながら)何冊か,幾分簡略にご紹介を致したいかと。
藤田達生『謎解き本能寺の変』(2003,講談社(現代新書))
これは題名の通り,本能寺の変に付いて論説されているのですが、明智光秀が織田信長を討つに至るまで経過が丁寧に論証され、諸説紛々する“原因”を的確に論じられており、「なるほど...」と納得すること多く、とても面白くて読み応え十分の一冊です。
福田千鶴『御家騒動-大名家を揺るがした権力闘争-』(2005,中公新書)
これは、江戸幕府の大名統制について紹介している一冊ですが、従来言われている「御家騒動=大名潰し」を否定し、幕府は逆に,最後まで「御家存続」方針であって、取り潰しは「最終手段」であることを、種々事例を挙げて論証されていて、とても面白く,読み終えてから「なるほど納得!」出来ました。
前期と中期以降,最上騒動や越後騒動と前田騒動を見比べれば、お解り頂けるかと。
そして、これに関連してもう一冊。
大森映子『お家相続-大名家の苦闘-』(2004,角川書店(選書))
これも、各家の事例を参照に紹介されていましたが、出生と成長の率がが低い中で「如何にお家を残すか!」に奔走する人々の様子や事情が窺い知れて、またこれも,実に興味深くて面白かったです。
山本博文『参勤交代』(1998,講談社(現代新書))
今まで、知ってはいたけど実態を知らなかった「参勤交代」について紹介をした一冊ですが、これを読んで,これが如何に大変であったかや、社会や経済に及ぼした影響,はたまた武家同士の儀礼などについて、改めて知ることが出来る面白い一冊です。
ちなみに,参勤交代の目的は幕府の“権威”を知らしめるものであって、従来言われている「大名の(資金)力をそぐ為」などではなく、逆に,幕府は再三に渡って「質素倹約」と行列の「簡素化」を各大名家に申し渡していました。
しかし、各大名家は“見栄を張って”その申し渡しには容易に応じませんでした。
管宗次『京都岩倉実相院日記-下級貴族が見た幕末-』(2003,講談社(選書メチエ))
これは、今も京都市左京区に在る門跡寺院・岩倉山実相院を舞台にした日記。
その筆者は、明治維新まで「坊官」として社務を担っていた松尾刑部卿法印親定という一応お公家さんで、幕末の洛中に於ける見聞を、時には挿絵を交えて事細かく日記に書き留めておられたとか。
残念ながら、幕末の一番人気「新選組」には余り触れられてはいませんが、日々刻々と変化する京洛の情勢が生々しく記されており、中々興味深かったです。
西沢淳男『代官の日常生活-江戸の中間管理職-』(2004,講談社(選書メチエ))
徳川幕府の地方行政官として、全国に点在する幕領(御料所)の経営を担っていた“お代官様”。
しかし、戦国以前は軽んじられ、徳川幕府に於いても役高150俵と最下級の職。
これは、現代の国の行政機構に合わせると課長級の職なのです。
けど、時代劇では“ワルモノ”の代名詞として登場する一方で、“神”として崇め奉られたり顕彰され、評価が天と地(以下)程に分かれる、なんとも不思議な職でもあります。
それゆえに、(専攻分野との絡みもあって)前々から興味があったのですが、これを読んで、その悲喜交々な実情を知ることが出来て大変面白く、有意義な一冊でした。
箱館戦争にて旧幕方として活躍し、初代の中央気象台長を務めた荒井郁之助顕徳についても、父の清兵衛顕道が代官だったので、少し触れられています。
田口英爾『最後の箱館奉行の日記』(1995,新潮選書)
これについては、既にご紹介しておりますので、そちらにてご一読ください。
中には一風変った一冊も。それが...
『江戸藩邸物語-戦場から街角へ-』(1988,中公新書)
これは、氏家幹人国立公文書館専門官の著書で、大名家(1)と旗本(2)の記録を参考に、江戸中期の武士の実像を紹介しています。
そこからは、“面子”に一喜一憂する武士の姿が垣間見られました。
中でも驚きだったのが、14歳の武士の切腹。
これは、奥州二本松城主丹羽右京大夫(秀延)が家臣の子が、同輩の門前で半ば“抗議”の意を込めて行ったのですが、その原因は、蝉の抜け殻を取られたことを恥じたがゆえ...というもの。
これを聞けば、昨今流行の少年事件など驚きもしません...(苦笑)
一方で,著者は江戸の“エロス”についても多く執筆しており、中盤以降は、男色などについて紹介されています。
尤も,私は全く興味が無いので読み飛ばしましたが...。
(1)水戸徳川家の連枝で陸奥守山領主松平大学頭家の記録(「守山御日記」)
(2)三千石取の御旗本天野長重の備忘録(「思忠志集」)
これらに挙げたその何れもが,目から鱗が落ちまくる内容(論説)ばかりで大変に面白く、興味深いものばかりですが...
今谷明『室町の王権-足利義満の王権簒奪計画-』(1990,中央公論新社)や『武家と天皇-王権をめぐる相剋-』(1993,岩波新書)
岡野友彦『源氏と日本国王』(2003,講談社(現代新書))
藤田覚『遠山金四郎の時代』(1992,校倉書房)
...などなどは、借りた後に自分で買ってしまう程に感銘を受けた書籍です。
これらについては、何れまた,詳しくご紹介したいと思います。
尤も、いつになるやらわかりませんが(苦笑)...
こうして、興味のある書籍を試読出来るのも図書館の有難いところ。
そこで...
さあ皆さんも!
読書の秋でもありますから、地元の図書館へ行かれてみては如何でしょうか?!
なんぞ、良き発見があるやもしれませんよ(笑)
但し!借りた本はきれいに返してくださいm(_ _)m
最近は不心得者が多いようで,借りた図書への扱いがかなり無礼で乱雑のようですから。
藤田達生『謎解き本能寺の変』(2003,講談社(現代新書))
これは題名の通り,本能寺の変に付いて論説されているのですが、明智光秀が織田信長を討つに至るまで経過が丁寧に論証され、諸説紛々する“原因”を的確に論じられており、「なるほど...」と納得すること多く、とても面白くて読み応え十分の一冊です。
福田千鶴『御家騒動-大名家を揺るがした権力闘争-』(2005,中公新書)
これは、江戸幕府の大名統制について紹介している一冊ですが、従来言われている「御家騒動=大名潰し」を否定し、幕府は逆に,最後まで「御家存続」方針であって、取り潰しは「最終手段」であることを、種々事例を挙げて論証されていて、とても面白く,読み終えてから「なるほど納得!」出来ました。
前期と中期以降,最上騒動や越後騒動と前田騒動を見比べれば、お解り頂けるかと。
そして、これに関連してもう一冊。
大森映子『お家相続-大名家の苦闘-』(2004,角川書店(選書))
これも、各家の事例を参照に紹介されていましたが、出生と成長の率がが低い中で「如何にお家を残すか!」に奔走する人々の様子や事情が窺い知れて、またこれも,実に興味深くて面白かったです。
山本博文『参勤交代』(1998,講談社(現代新書))
今まで、知ってはいたけど実態を知らなかった「参勤交代」について紹介をした一冊ですが、これを読んで,これが如何に大変であったかや、社会や経済に及ぼした影響,はたまた武家同士の儀礼などについて、改めて知ることが出来る面白い一冊です。
ちなみに,参勤交代の目的は幕府の“権威”を知らしめるものであって、従来言われている「大名の(資金)力をそぐ為」などではなく、逆に,幕府は再三に渡って「質素倹約」と行列の「簡素化」を各大名家に申し渡していました。
しかし、各大名家は“見栄を張って”その申し渡しには容易に応じませんでした。
管宗次『京都岩倉実相院日記-下級貴族が見た幕末-』(2003,講談社(選書メチエ))
これは、今も京都市左京区に在る門跡寺院・岩倉山実相院を舞台にした日記。
その筆者は、明治維新まで「坊官」として社務を担っていた松尾刑部卿法印親定という一応お公家さんで、幕末の洛中に於ける見聞を、時には挿絵を交えて事細かく日記に書き留めておられたとか。
残念ながら、幕末の一番人気「新選組」には余り触れられてはいませんが、日々刻々と変化する京洛の情勢が生々しく記されており、中々興味深かったです。
西沢淳男『代官の日常生活-江戸の中間管理職-』(2004,講談社(選書メチエ))
徳川幕府の地方行政官として、全国に点在する幕領(御料所)の経営を担っていた“お代官様”。
しかし、戦国以前は軽んじられ、徳川幕府に於いても役高150俵と最下級の職。
これは、現代の国の行政機構に合わせると課長級の職なのです。
けど、時代劇では“ワルモノ”の代名詞として登場する一方で、“神”として崇め奉られたり顕彰され、評価が天と地(以下)程に分かれる、なんとも不思議な職でもあります。
それゆえに、(専攻分野との絡みもあって)前々から興味があったのですが、これを読んで、その悲喜交々な実情を知ることが出来て大変面白く、有意義な一冊でした。
箱館戦争にて旧幕方として活躍し、初代の中央気象台長を務めた荒井郁之助顕徳についても、父の清兵衛顕道が代官だったので、少し触れられています。
田口英爾『最後の箱館奉行の日記』(1995,新潮選書)
これについては、既にご紹介しておりますので、そちらにてご一読ください。
中には一風変った一冊も。それが...
『江戸藩邸物語-戦場から街角へ-』(1988,中公新書)
これは、氏家幹人国立公文書館専門官の著書で、大名家(1)と旗本(2)の記録を参考に、江戸中期の武士の実像を紹介しています。
そこからは、“面子”に一喜一憂する武士の姿が垣間見られました。
中でも驚きだったのが、14歳の武士の切腹。
これは、奥州二本松城主丹羽右京大夫(秀延)が家臣の子が、同輩の門前で半ば“抗議”の意を込めて行ったのですが、その原因は、蝉の抜け殻を取られたことを恥じたがゆえ...というもの。
これを聞けば、昨今流行の少年事件など驚きもしません...(苦笑)
一方で,著者は江戸の“エロス”についても多く執筆しており、中盤以降は、男色などについて紹介されています。
尤も,私は全く興味が無いので読み飛ばしましたが...。
(1)水戸徳川家の連枝で陸奥守山領主松平大学頭家の記録(「守山御日記」)
(2)三千石取の御旗本天野長重の備忘録(「思忠志集」)
これらに挙げたその何れもが,目から鱗が落ちまくる内容(論説)ばかりで大変に面白く、興味深いものばかりですが...
今谷明『室町の王権-足利義満の王権簒奪計画-』(1990,中央公論新社)や『武家と天皇-王権をめぐる相剋-』(1993,岩波新書)
岡野友彦『源氏と日本国王』(2003,講談社(現代新書))
藤田覚『遠山金四郎の時代』(1992,校倉書房)
...などなどは、借りた後に自分で買ってしまう程に感銘を受けた書籍です。
これらについては、何れまた,詳しくご紹介したいと思います。
尤も、いつになるやらわかりませんが(苦笑)...
こうして、興味のある書籍を試読出来るのも図書館の有難いところ。
そこで...
さあ皆さんも!
読書の秋でもありますから、地元の図書館へ行かれてみては如何でしょうか?!
なんぞ、良き発見があるやもしれませんよ(笑)
但し!借りた本はきれいに返してくださいm(_ _)m
最近は不心得者が多いようで,借りた図書への扱いがかなり無礼で乱雑のようですから。
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