くない鑑

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宮城谷三国志の「罠」

2010年11月04日 | 知識補給
嵌ってしまいました。
久々に「これは!」と思う本に出会って(買って)しまいました。
基本、本は(図書館で)借りて読む主義なので、買うなんて・・・よっぽどのことです(笑)

そもそも、歴史小説は敬遠がちでした。
なまじ歴史を学問として修得してしまうと、余計な粗捜しや事実確認をしたくなってしまって前に進まなくなってしまうので(^^ゞ
・・・えーっと、去年でしたっけ?!
直江山城を題材にした大河をやっていたのは。
あれなんてもう・・・話になりません(苦笑)
放送前に書店で見かけてパラパラと見てみましたが・・・乾いた笑いしかでませんでした。
映像化されてからも、初回以降は全く観ずに、気が付けば終わってました。
阿部「謙信」公も、格好よかったのは初回だけ。
あとはもう、上杉贔屓としては、悲嘆に暮れる外ありませんorz
如何にドラマとはいえ、割り切って・・・とはいえ、許せるもの許せないものがあります。
一番滑稽だったのは、毘沙門堂が「洞」になっていました・・・製作者は、漢字の意味すら判らないようで(苦笑)
書くなら、映像化するなら、もっと責任持って調べてからにしろ!って、何十度思ったことか。。。

そんなこんなで、『漆の実の稔る国』や『義民が駈ける』(藤沢周平)、『剣豪将軍足利義輝』(宮本昌孝)などなど、「これは!」と思った本を読むようにしています。
ただ、買ったからには何度も何度も繰り返して読み耽ります。
江戸中期の羽州米沢城主で名君の誉れ高い上杉弾正大弼治憲公を題材にした『漆の実の稔る国』など、もう、数え切れないくらい読んでます。
藤沢周平さんの遺作となったこの本。
結末が中途半端な感を受け、読み終える度に、藤沢さんの無念を思い、惜しみ、空しくなります...。

そんな私が、出会ってしまいました、この(タイトルの)本に。
ただ、『文藝春秋』で連載されているのは知っていました。
以前、連載開始の頃は毎月毎号(図書館で)読んでいましたが、一旦読まなくなると、それ以降は全く、時間を割いて読まなくなりました・・・けど、どこまで話が進んだかは気になるので、書店などでパラパラと見て確認することは、毎月毎号怠りませんでした。
そんな中...
いま、読売朝刊で宮城谷さんが世祖光武帝劉秀を題材にした小説を連載しています。
それを毎日欠かさず読み出してから、ふと、三国志のことを思い出したら、折りよくその下に「三国志の新刊発売」の広告が!
ここで一気に火がついて、この間の土曜日に、まずは1巻を買ってしまいました。

けど、あっ!と言う間に読んでしまいました(^^ゞ
月曜日には、早くも2巻を買いました。
もう、面白くて面白くて堪りません!
何が面白いって、いままでほとんど触れられてこなかった三国志以前の時代が取り上げられていることです。

人によっては「そんなの三国志じゃない!」って言う方も居られるかと思います。
私も、確かにそう思いますが、歴史とは、人が織り成し紡ぐもの。
突然「三国時代」になった訳ではなく、川の流れの様に、三国時代に至るまでの様々な人や事象が流れの中で生まれた時代なのです。
だから、三国時代以前に何があり、どうなって三国時代に至ったか?!というのは、とても重要なこと(と思うの)です。

また叙述の方法も、熱すぎず冷たすぎず、人物などの注釈を差し挟みながら淡々と事象が綴られているので余計に引き込まれます。
人の世の禍福は糾える縄の如し...
凡庸な皇帝の一挙手一投足に扼腕し、外戚の閻氏一族や跋扈将軍梁冀の一族に悪辣な宦官などの奸佞の徒の横暴に怒りを覚え、これに阿諛迎合する官人の不甲斐無さを嘆き、澱んだ空気(世上)を変えようと奮闘する賢勇義烈の人の生き様や活躍に一喜一憂し、善に循う者が大きな戮辱を受けている不条理さに悲憤慷慨しています。

蜀漢の諸葛武侯は「小人ヲ親シミ賢臣ヲ遠ザクル、コレ後漢ノ傾頽スル所以ナリ」と言ったと言われていますが、なるほど、『三国志』で奸佞と賢勇の攻防を読んで改めて「滅亡するお手本」を見ているかの様です。

あまりに加速度的に読んでいるので、直ぐに追いついて続巻の発売を渇望する事が無い様、いまはゆっくりじっくりと、急かし読むのを抑えて(読み)進むようにしています。

けど、結構ぎっしりしている本なので、一度読んだだけでは(^^ゞ
なので、1巻を2度3度と読まなければ読み解けないかもしれません。

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2 コメント

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Unknown (武骨録管理人)
2010-11-04 20:41:34
読売朝刊の連載小説は自分も読んでいます。

最初は単位や行政区分の説明が多くて読むのが大変でしたが、
最近は話が動き始めてきたので
読むのが随分楽になりましたw
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ごかんを興せ! (記主くない)
2010-11-06 12:45:59
▽銀月斎様
コメント、ありがとうございます。
おお!お読みでしたか、読売朝刊の。
私も、始めのうちはサラッと流していただけなんですが、読み出すと止まらず、毎朝が楽しみです(笑)

単位や行政区分の解説、ちょっと難解だったりしますけど、それがまた物語に厚みが増して、好奇心を駆り立てます。
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