武井武雄をあいする会

童画家武井武雄が妖精ミトと遊んだ創作活動の原点である生家。取り壊し方針の撤回と保育園との併存・活用を岡谷市に求めています

古民家を活用した保育園を視察してきました 2

2015年04月04日 10時10分10秒 | あいする会
武井武雄をあいする会の設立趣旨入会申込み生家の保存・活用を求める署名生家保存・活用のための募金


 次に栃木県塩谷郡高根沢町寶積寺鷺ノ谷の社会福祉法人陽向「陽だまり保育園」を訪れました。古民家を移築再生した保育園です。



 迎えてくださったのは、社会福祉法人陽向の木村理事長です。「昔ながらの『古民家』で保育を行うのは、シンプルに、ダイレクトに、子どもたちに伝わりやすい環境づくりを目指しているからです。」



 明治23年建築の風格を伝える、むくり付き和風破風の玄関がありました。



 園庭には小高い築山があり、保育棟と乳児棟(手前)が見渡せます。子ども達はこの築山が大好きなのだそうです。



 保育棟の入口を入ると広い土間があり、土間を囲むように板の間があります。それがそのまま大広間と幼児保育室と事務室として使用されています。





 乳児室とホール(遊戯室)は、住民にも開放しているとのことでした。



 壁には「益子焼」に使うのと同じの土で土壁とし、床はヒノキの縁甲板としています。また、建具は別の古民家から譲り受けたものだそうです。小屋組みは、原則として移築された梁と柱を再利用しています。ただし、梁については、安全性向上のため、法令に基づきもっと太い梁が必要とされました。このため、新たに木造の梁を買わなければならないこととなり、予想外の工事費が必要となりました。「梁募金」を一般から募ったところ、地域の人々から多額の援助が得られ、保育園に対する期待と愛着が一層強まったと感じているそうです。



 高窓から吹き放しになっており、心地よい空間を形づくっています。



保育室には畳が敷かれ、板戸で仕切られています。日本の美を象徴した空間になっています。





 縁側には、やわらかな陽ざしがこぼれています。



 食器は益子焼、収納には歴史ある水屋箪笥を贅沢に使っています。食事はバイキング形式でお代わり自由となっています。




 年少から年長まで、年齢の壁をつくらず同じクラスに編成し、一緒に遊んでいます。3月なのに、みんな素足だったのには驚きました。土間からは、保護者や地域の人たちが見守っています。







 移築されたとはいえ、古民家は、永く人の生活を受け入れた空間として、ぬくもりに満ちています。
 土間のたたき、土壁などを子供たちや地域の人々とともに、昔ながらの作業で作り上げた過程も、空間を心地よいものにしています。マロニエ建築・環境賞の受賞理由にも、これらのことが挙げられています。
 木村理事長は、これからは園庭をさらに整備するとともに。隣接する小高い森を里山風に整備したいとおっしゃっていました。次のステップに向け、力強く歩みだそうとしている姿が印象的でした。






 木の柱や梁、障子、襖、畳、土壁、縁側、雨戸、土間など伝統的な日本建築に見られる特徴は、日本人が日本の気候風土に合わせて形づくってきた文化です。しかし、最近はそうした文化の中で生活する機会は著しく減少しています。子ども達が生活の中で日本の文化に肌で触れることは、次世代の日本人を育成し、日本の文化を守ることにつながります。武井武雄生家もぜひそのようなかたちで活用し、未来を担う子ども達のために役立ててほしいと願っています。


<古民家を活用した保育園を視察してきました 完>

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