TAKAYAN'S ROOM

主にゲームブックを楽しんでいます

国際版 少年少女世界童話全集⑳ 《金のがちょう》

2022年12月24日 14時00分00秒 | 童話
少年少女世界童話全集の第20巻は…




グリム兄弟の作品です。




三人兄弟の末っ子が見つけたのは…




その鵞鳥を売れば、お金持ちに…




善行を行えば、幸せが訪れるという物語です。




童話と民話が四作ずつ収録されています。




ある所に三人の兄弟がいました。
兄弟の末っ子が森へ木を切りに行くと、そこには小人がいました。

『あんた、何か食べ物を恵んでくれないか?』

小人は末っ子に頼みました。

『僕が持っているのは、灰まみれの菓子とビールだけだよ。
 それでもいいなら、一緒に食べよう』

そう言って、末っ子は包みを広げました。
すると、不思議なことに、お菓子は上等なケーキに、
そしてビールはワインに変わりました。
二人はお菓子と高級なワインを存分に味わいます。
食事が済むと、小人は言いました。

『あんたは親切な人だね。お礼に幸せを授けてあげよう。
 木の根元を調べてごらん』

末っ子が木の根元を見ると…




そこには金の鵞鳥が隠してありました。




その夜、末っ子は金の鵞鳥を持って、宿屋に泊まりました。




金の鵞鳥を見て、宿屋の主人の娘たちは目を輝かせます。

『美しいわ』

『すごく値打ちがありそうよ』

『せめて金の羽を一本だけでも…』

末っ子がいないときを狙って、長女が鵞鳥の羽を取ろうとしました。
途端、手が鵞鳥から離れなくなってしまったのです。

『どうなっているの!?』

そこへ次女がやってきました。

『姉さん、金の鵞鳥を独り占めにはさせないわ』

次女は後ろから手を伸ばしました。
ところが、長女の背中に触れてしまって…

『こ、これは!?』

次女の手は離れなくなってしまいます。そこへ三女がやってきました。
長女と次女は叫びました。

『触っちゃいけない!』

しかし、三女は構わずに金の鵞鳥に近づきました。

『私も鵞鳥の羽が欲しいわ』

三女の手が次女の背中に触れました。そして離れなくなってしまいます。
互いにくっついたままで宿屋の娘たちは夜を過ごすことになりました。




翌朝、末っ子は娘たちに構わずに金の鵞鳥を持って宿屋を出ます。
三人の娘は仕方なく、末っ子と歩き続けるのでした。
末っ子たちの行列を見て、止めようとした牧師や教会の番人、
二人の百姓なども手を触れてしまって、大行列になります。




奇妙な行列は町へ着きました。末っ子は町の人から不思議な話を聞きます。




この町のお姫様(王様の娘)は一度も笑ったことがないそうです。
もし笑わせることができたら、お姫様と結婚できるらしいのです。

『会ってみたい…』

宿屋の娘、牧師さん、番人、百姓たちを連れて、末っ子は城へ向かいます。




末っ子たちの奇妙な行列を見た途端、お姫様は笑いました。
これには王様も大喜びです。




しかし、それだけで結婚を許してくれる王様ではありませんでした。

『娘が欲しければ、わしの出す問題を解くのじゃ』

『はい…』

『では、始めるぞ。地下室にはワインの入った樽が詰まっている。
 それらのワインを一滴も残さずに飲める者を連れてこい』

いきなり難題です。どうすれば…

『そうだ!』

末っ子は小人と出会った森へ行ってみることにしました。




森に入ると、倒れた木の上に一人の男が座っていました。

『ああ、喉が渇いた』

末っ子は男に聞きました。

『喉が渇いたなら、水を飲めば…』

『水だけじゃ我慢できねえ。ああ、樽に入ったワインを飲み干したい…』

『よし、僕と一緒に城へ行こう』

末っ子は男を城の地下室へ連れていきました。
積み上げられたワインの樽を見て、男は喜びました。
そして一滴も残さずに飲み干してしまいました。

『さあ、お姫様を僕にください』

末っ子が頼むと、王様は言いました。

『いや、まだじゃ。この問題を解いてもらおう。
 わしは国中の小麦粉を使って、中庭にパンの山を作らせる。
 それを残さずに食べる者を連れてこい』

またまた難題です。末っ子は森へ行きました。




森に入ると、前とは違う男が木の上に座っていました。

『ああ、パンが食いてえなぁ… いくら食べても腹が減る…』

『一緒に城へ行こう』

末っ子は男を城の中庭へ連れていきました。
大きなパンの山を見た途端、男は飛び付きました。
そして一片も残さずに食べてしまうのでした。

『最後の問題だ。これができなければ、娘は渡さん』

王様は悔しそうな顔で言いました。

『陸も海も自由に走れる船を持ってこい』

王様は意地でも末っ子にお姫様を取られたくないようです。
またまた末っ子は森へ行きました。
そこにいたのは、末っ子がお菓子とビールを分けてやった小人です。




『あんたが親切にしてくれたから、わしもお礼ができるんだよ』

小人は陸も海も自由に走れる船を出してくれました。




さすがの王様も降参して、末っ子とお姫様の結婚を許しました。
やがて王様の亡き後、末っ子が王位を継ぐことになるのです。




仕事の報酬は大きな金塊!




それを一頭の馬なんかと交換してしまうなんて…




おまけに馬に振り落とされる始末…




自身が描いた絵を見て満足…




赤ずきんちゃん、それはお婆さんじゃありませんよ!




人々の財産を奪った魔女…




成敗!




明かりに映し出される顔…




たくさんの動物…じゃなくて、剥製に囲まれて…




愛する人を追って、懸命に泳ぐ美女…


何とか年内に20巻までの記事を書くことができました。
さて、次は文学? それとも伝記?
年が明けてから考えることにしましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際版 少年少女世界童話全集⑲ 《空とぶかばん》

2022年12月21日 16時00分00秒 | 童話
アンデルセンの作品です。




子供の頃に読みましたが、あらすじを覚えていません…




というわけで、ケースから取り出して…




改めて読んでみましょうか。




働かずして生活は成り立ちませんよ。




六つの作品が収録されています。




偉大な商人が亡くなり、息子が財産を受け継ぎました。
しかし、彼は働きもせずに、いつも遊んでばかり…
時には金貨を川へ投げ込んでしまうことも…
そんなわけで、数日後には文無しも同然になってしまいます。
ある日、商人の息子を哀れんだ友達が大きなトランクをくれたのですが…




商人の息子はトランクに入れられるような物を持っていません。
仕方なく、自分が入ってみると…




突然、トランクが浮き上がり、空へ舞い上がったのです!




しばらく飛ぶと、少しずつトランクが降下してきました。
そして地面に墜落してしまいます。
驚いたことに、そこはトルコの森の中でした。
息子はトランクを隠すと、歩いていきます。
やがて大きな城が見えてきました。




息子は通りすがりの女性に聞きました。

『あの城ですが、なぜ高い所に窓があるんですか?』

『あそこには美しい王女が住んでいらっしゃいます。
 ある日、占い師が言ったのです。
 王女に恋人ができると、不幸が訪れるとか…』

『美しい王女…』




息子はトランクに乗って、城へ飛びました。そして王女の寝室へ…




王女は驚きましたが、怒りはしませんでした。

『退屈していたのよ…』

『私はトルコの神です。楽しい話をお聞かせしましょう』

『神様ですって!?』

『では、始めます…』

息子が作り話を聞かせると、王女は嬉しそうに微笑みます。

『あなたって、すごいわね!』

『お気に召しましたか。では、はっきり言います。結婚してください!』

『まあ! せっかちな神様ね。そうそう、私の両親も楽しい話は大好きよ。
 あなたが両親を楽しませれば、私たちは結婚できるかもしれないわ』

『わかりました!』




王女にもらった刀を売って、商人の息子は新しいガウンを買いました。
さて、いよいよ王女の両親に楽しい話を聞かせる日が来たのです。
果たして王様と妃を喜ばせることができるでしょうか。













自慢話をするマッチ…




『僕たちは大きな松の木から生まれたのさ。
 ある日、木こりがやってきて、その松の木を切り倒した。
 太い幹は船のマストに… 他の枝も様々な物に変えられた。
 そして僕たちマッチは火を生み出すという役割を授かったんだ』




マッチに負けじと鍋が口を開きました。

『私は生まれると、火で炙られたり、体を擦られたりしたわ。
 それでも私は幸せなの。この台所が大好きよ。
 夕飯の後、体を磨いてもらうのが一番の楽しみなの』




鍋の話を聞いた火打ち箱が火花を散らします。土鍋が叫びます。
箒や椅子たちも騒ぎ始めました。




そのとき、ドアが開いてお手伝いさんが入ってきました。
お手伝いさんがマッチを擦ると、マッチは嬉しそうに言います。

『この輝きには誰も勝てまい』

しかし、直後に燃え尽きてしまいました…













『すごく楽しかったわ!』

王女は感激しました。

『見事じゃ! そなたと娘の結婚を許そう』

『結婚式は次の月曜日がいいわね』

王様と妃も楽しめたようです。二人の結婚を認めてくれました。




『王女が結婚!?』

たちまち町中に噂が広まりました。




商人の息子はトランクで空を飛びながら花火を打ち上げます。
初めて花火を見たトルコの人たちは驚きました。

『空が燃えているぞ!』

『飛んでいるわ。間違いなく飛んでいるわ!』

『神様だ。あれは神様だ』

人々の声を聞いて、商人の息子は有頂天になります。

『さて、そろそろ寝るか。明日は早いしな』

ところが、トランクを隠すために森に入ったとき、悲劇は起こりました。

『ああ!!』

花火の火でトランクが燃えているのです。もう空を飛ぶことはできません。
愛しい王女に会うことも叶わなくなってしまったのです…

『王女様、さようなら…』

商人の息子は歩いて旅をすることにしました。




何も知らない王女は婚約者を待ち続けます。いつまでも…




長い冬が終われば…




春が来ます。さあ、大空へ飛び立ちましょう。




お人形さんの寝床は…




優秀なピアニスト!




優雅な曲に合わせてヒヤシンスとチューリップが踊ります。




この巻には《にんぎょひめ》も収録されています。
凛々しい王子を見た瞬間、人魚姫の胸は熱くなりました。




その夜、嵐がやってきました。人魚姫は必死に王子を助けます。




『人間になりたい。そして王子様と結婚したいわ…』

人魚姫は魔女に頼んで、自分の声と引き換えに人間の足を手に入れました。




ところが、王子は隣の国の王女と結婚することになっていました。
声を失っているので、人魚姫は嵐の日の事実を王子に話すことができません。

『王子が私以外の人と結婚すれば、私は海の泡になってしまう…』

人魚姫は魔女の言葉を思い出しました。




悲しむ人魚姫の所に姉たちがやってきました。

『魔女から魔法のナイフをもらってきたわ』

『このナイフで王子の胸を刺しなさい。
 王子の血を足に掛ければ、あなたは人魚に戻れるのよ』

『早くしなさい! みんなが心配しているわ』

人魚姫はナイフを受け取ると、王子の寝室へ入りました。
そして王子の優しそうな寝顔を見た途端…

『できない… 私には…』




人魚姫は海へ飛び込みました。体が泡になっていきます。そして空へ…

(どこまで飛んでいくのかしら…)

不思議な声が聞こえてきました。

『あなたは風の精になったのです』

『新しい旅が始まるのよ』

『さあ、世界中に花の香りを振り撒きましょう』

『私が風の精…』

人魚姫は涙を流しながら神様に感謝するのでした…




いつだって男は女性の味方です。




すごい形相で追ってきます!




空から舞い降りた美女…




息子が結婚… しかし、母親は一人ぼっちに…


《空とぶかばん》ですが、思ったよりも楽しい話でした。
やっぱり真面目に働かなければ、幸せは巡ってこないのですね。
そして《にんぎょひめ》… 悲しい結末でした…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際版 少年少女世界童話全集⑱ 《美女とやじゅう》

2022年12月17日 21時00分00秒 | 童話
18世紀に書かれた物語なのですね。




21世紀になっても、名作の魅力は色褪せません。




獅子の顔を持つ男… 向かい合っているだけで怖いです。




心優しき少女の名はベル…




些細な願いのつもりが…




相変わらず美麗な挿絵です。すごく豪華な感じです。




商人である父親が事業に失敗して、ベルたちは粗末な家に住むことに…




しかし、ベルは一生懸命に洗濯や炊事をするのでした。




また、自分で畑を作って、野菜を育てたりもしました。
そんなベルを見ても、姉たちは嘲笑うだけです。
さて、不慣れな生活が始まってから一年が過ぎた頃です。
ベルたちの父親に一通の手紙が届きました。
『あなたが数年前に仕入れた品物を積んだ船が港に着いた』と書いてあります。
商人は全てを失ったわけではなかったのでした。
それらの品物を売れば、また裕福な生活に戻れるはずです。




『お金が入ったら、私は絹のドレスが欲しいわ』

『私は毛皮のマフラーよ』

二人の姉は好き勝手なことを言っています。商人はベルに聞きました。

『ベル、お前は何が欲しい?』

ベルは小さな声で『薔薇の花を一輪だけ…』と答えました。




商人は港を目指して出発します。




しかし、港に着いてみると、商人の品物は無くなっていました。
商人は多額の借金を抱えていたので、取り上げられてしまったらしいのです。
肩を落として帰ろうとすると、空が暗くなってきました。
瞬く間に雨が降りだします。嵐です!
商人は必死に馬を走らせましたが、森の中に迷い込んでしまいました。




『このまま死んでしまうのか…』

そう思ったとき、森の奥に小さな光が見えたような気がしました。
商人は手綱を握ると、光の方へ馬を走らせます。
しばらく行くと、大きな城が見えてきました。




馬小屋には秣が用意され、部屋の中には暖炉があります。
そしてテーブルには温かい料理が並んでいました。
商人は料理を食べると、ベッドの上に転がりました。
そして朝まで眠り込んでしまいます。
翌朝、目を覚ますと、汚れた自分の服の代わりに、
豪華な服が置いてありました。
商人は着替えると、城の人を待ちましたが、誰も現れません。




『申し訳ないが、帰らせてもらおう』

商人は馬小屋の方へ向かいます。庭には見事な薔薇が咲いていました。

『そういえば…』

ベルとの約束を思い出して、商人は薔薇を摘み取りました。すると…




野獣の顔を持つ男が現れました!!

『お前は何という恩知らずだ! 私はお前を城へ迎えてやった。
 温かい料理とベッドも用意してやった。
 それなのに、私が大事にしている薔薇を盗もうとするとは…』

『申し訳ありません。娘のことを思えばこそ…』

『娘だと!?』

商人の言葉を聞いた野獣は言いました。

『ならば、代わりに娘の一人を連れてくれば、許してやろう。
 だが、三ヵ月以内に戻ってこい』




商人は城を出て、娘たちの待つ家に帰りました。
そしてベルに薔薇を渡すと、野獣のことを話します。

『ベル、あなたが薔薇なんか頼んだせいよ!』

『どうするの!?』

二人の姉がベルを責めます。ベルは答えました。

『わかりました。私が野獣の城へ行きます…』




商人とベルを乗せた馬は、野獣の城へ向かいます。




城に着くと、二羽の小鳥が商人とベルを出迎えました。
小鳥たちはベルの周りを飛び回ります。『どうぞ』とでも言うように…
不思議な力に引き寄せられ、ベルは城に入ります。
部屋の中には美しいドレスが置かれていました。

『ベル、そのドレスに着替えなさい』

小鳥たちに言われるままに、ベルはドレスを着ました。
そのとき、恐ろしい音が響き、あの野獣が現れたのです!

『ベル、お前は父親の命令でやってきたのかね?
 それとも自分の意思でやってきたのかね?』

『私は自分の意思で来ました』

ベルの言葉を聞いて、野獣は商人に言いました。

『明日の朝、お前は一人で帰るのだ。心優しい娘に感謝するんだな』

商人は言われた通りにしました。




ベルは野獣の城で過ごすことになりました。

『神様、私をお守りください…』

涙が頬を伝います。

『いいえ、私自身が勇気を出さないと…』

ベルは自分を励ますように、独り言を言ってから立ち上がると、
美しい泉の前に腰を下ろします。
お昼になれば、野獣とベル以外に誰もいないはずなのに、
広間には食事が並んでいました。
夕食の時間にも同じように、テーブルには料理が置かれているのでした。
ある日の夕食のときです。野獣はベルを見つめながら言いました。

『ベル、私の妻になってくれないかね?』

『えっ!?』

ベルは驚いて野獣の顔を見つめました。
断ったら、野獣は怒るかもしれない。しかし…

『それは無理です…』

『……』

ベルが答えると、野獣は静かに広間を出ていきました。




それから数日後のことです。城にある魔法の鏡にベルの家が映りました。
ベルの父親である商人が病気で倒れてしまったようです。

『今回限りです。一週間だけでいいんです。
 私を父の所へ行かせてください』

ベルは野獣に懇願しました。

『どうしても行くのだね。じゃあ、行っておいで。
 ここへ戻りたくなったら、この指輪をテーブルの上に置くのだよ。
 必ず七日以内に帰ってきてくれ』

指輪を受け取ると、ベルは寝室で眠りに就きました。翌朝、目が覚めると…




ベルは懐かしい我が家の前に立っていました。
商人は寝込んでいましたが、ベルの顔を見た途端、元気を取り戻します。
二人の姉はベルの着た服を見て驚きました。

『見事なドレスだと思わない?』

『ベルは幸せなんだわ。だけど、なぜ野獣はベルを殺さないのかしら』

『確か野獣との約束は七日だったわよね』

『できるだけベルを長く引き留めておきましょう。
 期日を守らなければ、ベルは野獣に殺されるわよ』

姉たちは野獣にベルを殺させるために、無理に優しく振る舞いました。
そのせいで約束の日が来ても、ベルは城へ戻る気になれません。
しかし、野獣のことが気掛かりでならないのでした。

『私が帰ってこないので、あの野獣は悲しんでいるに違いないわ…』

その夜、ベルは泣きながら目を覚ましました。
野獣が小川の近くにある草村に倒れている夢を見たのです。

『私って、何て恩知らずなの…』

ベルは城へ戻ろうとしましたが、指輪が見当たりません。
意地悪な姉たちが隠してしまっていたのです。

『ああ、どうしたら…』

ベルは泣きじゃくり、いつの間にか眠ってしまいました。
ところが、目が覚めたとき、ベルは城の中の美しい広間にいたのです。

『いつの間に…?』

ベルは急いで庭へ行きました。




野獣は小川の近くの草村に倒れていました。夢で見た通りです。
ベルは夢中で駆け寄ると、野獣の胸に手を当てました。

『まだ動いている。きっと助かるわ』

ベルは小川の水を野獣の顔に浴びせました。

『うう…』

野獣が目を開けました。

『ベルだね。ああ、やっと戻ってきてくれたのか。
 お前が留守の間に、私は生きる望みを失ったんだよ。
 だけど、死ぬ前に会うことができた。もう思い残すことは…』

ベルは泣きながら叫びました。

『私は優しいあなたが好きです。死なないで!』




すると、不思議なことが起こりました。
野獣の倒れていた草村に凛々しい王子が立っていたのです。

『ベル、ありがとう!』

城に美しい音楽が流れ出しました。

『あなたは…!?』

ベルが聞くと、王子は優しく微笑みながらベルを見つめました。
そして今までのことを話すのでした。

『私は恐ろしい魔法で野獣の姿にされてしまったのです。
 しかし、あなたのおかげで魔法は解けました。
 ベル、私の妻になってください』

『はい、喜んで!』

ベルは王子の告白に答えると、両手を差し出しました。

『ベル、あなたの優しい心は決して忘れません』

『姿や形ではなく、心の美しさこそが真実だと思います。
 野獣の姿だったときも、あなたは私に乱暴なことをしなかった…』

『ベル…』

王子はベルを抱き締めました。二人は結婚して、幸せに暮らしたそうです。




夏に頑張っていないと、冬に苦労するという話…




都会と田舎… どちらに住むのがいいのか…




食べられるリスクを負いながらの診察…




狐には飲みづらい容器…




ああっ、ミルクの壺が!




もう少しで届くのに…




どれだけ食べたのでしょうね。




羊さん、逃げたほうがいいですよ!




互いに助け合って…




青い鳥と美女…




フィアンセを裏切ってしまった…!




水面を優雅に滑る白鳥…




誰だって自分の子は大切です。




畑を荒らす犯人は? 待ち伏せる人たち…




さあ、目覚めの口づけを…


《美女とやじゅう》は名作ですね。
ありがちなストーリーですが、夢中になってしまいました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際版 少年少女世界童話全集⑰ 《こうのとりになった王さま》

2022年12月15日 23時00分00秒 | 童話
ますます寒くなってきました。個人的には嫌な季節です。




忙しかったので、更新が滞ってしまいました。




梟の姿も見えます。




どんな物語なのでしょう。




そんな粉薬が欲しい!




この巻には七つの作品が収録されています。






ある日のことです。王様の城に一人のお爺さんが訪ねてきました。
お爺さんは王様に小さな箱を差し出します。
箱の中には粉が詰まっていました。
お爺さんの話では、これは魔法の粉だそうです。
この粉の匂いを嗅いで『ムタボール』という魔法の文句を唱えれば、
動物に化けられるらしいのです。
また、動物に姿を変えている間は笑ってはいけないそうです。
笑ってしまうと、『ムタボール』という文句を忘れてしまって、
元の姿に戻れなくなるのです。




次の日、王様は大臣を連れて、魔法の粉を試してみることにしました。




池の近くに二羽の鸛がいました。




王様と大臣は粉の香りを匂いを吸い込むと、声を揃えて『ムタボール!』
たちまち二人は鸛に姿を変えました!




それと同時に、二羽の鸛の声が聞こえてきました。

『あの五位鷺の奥様って、嫌な方ですよねぇ』

『そうですわねぇ』

『この間のことですわ。カエルを捕まえたから持っていってあげましたの。
 すると、『私たちは泥鰌しか食べません』なんて言ったのよ』

『まあ! 失礼しちゃいますわね』




話を聞いていた王様と大臣は思わず笑ってしまいます。

『し、しまった! 大臣、魔法の文句は覚えているか?』

『それがさっぱり…』

一大事です! このままでは、二人は鸛の姿で一生を過ごすことに…




それから四~五日が過ぎました。
王様と大臣が城の上で羽を休めていると、賑やかな一団がやってきます。

『新しい王となったミズラ様に拍手を!』

町の人々が歓声を上げています。

『あのミズラが王だと!?』

王様の顔色が変わりました。ミズラというのは、非常に悪賢い男です。
今までに何度も城を乗っ取ろうとした悪人なのです。

『魔法の粉を持ってきた老人はミズラの手先だったのだ!』

ミズラは王位を奪うために、あの老人を城へ送り込んだのです。
王様たちはミズラの計略に引っ掛かって、鸛になってしまったというわけです。

『王様、これからどうしましょう?』

『とりあえず隠れよう。そして今後のことを考えるのだ』

王様と大臣は空へ飛び立ちました。




しばらく飛んでいると、廃墟が見えてきました。
崩れた柱や壁… どうやら昔は立派な城だったようです。
王様と大臣は廃墟に舞い降りました。おや? どこからか声が…

『誰かが泣いているような… 行ってみようか』

『王様、およしなさいまし』

大臣は止めましたが、王様は声の聞こえる方へ近づいていきます。




声の主は梟でした。何か悲しいことがあったのでしょう。
王様は梟に優しく声を掛けました。

『梟さん、何を嘆いていらっしゃるのかね?』

『あら? 鸛さん、こんな所に何の用が?』

『いやいや、こう見えても我々は人間なのです』

王様は今までのことを梟に話しました。




話を聞いた梟が口を開きます。

『ある日、一人の魔法使いがやってきました。
 この城の一人娘である私に、『ミズラと結婚しろ』と言うのです。
 私が断ると、魔法使いは父を殺しました。
 そして私も梟に変えられてしまったのです』

『許せん!』

王様は腹を立てて叫びました。

『ああ、元の姿に戻れないだろうか。
 そうすれば、ミズラを懲らしめてやれるのに…』

『それでしたら、いいことがございますわ』

梟の姿の姫が言いました。

『今日は魔法使いたちの宴会が開かれる日です。
 この城に大勢の魔法使いが集まるはずです』

これはチャンスです!
うまくいけば、大事なことを盗み聞きできるかもしれません。

『よし、任せてください!』

王様と大臣は柱の陰に隠れて、魔法使いたちが来るのを待ちました。




やがて魔法使いたちが次々に集まってきて、宴会が始まりました。
その中には魔法の粉を作った魔法使いの姿も…!

『この間、王様と大臣に魔法の粉を使わせたんだ。
 あいつらは一瞬にして鸛になっちまった』

『もう元に戻れないのか?』

『ああ、ムタボールという魔法の言葉を忘れてしまったからな!』




人間に戻る文句がわかったので、王様たちは小躍りしました。




『ムタボール!』

こうして王様と大臣は元の姿に戻ることができました。
しかし、姫は梟のままです。

『私の呪いを解く方法は一つしかありません』

『その方法とは?』

『誰かが私に結婚を申し込んでくださることです』

王様は悩みましたが…

『あなたのおかげで私は元の姿に戻れました。どうか結婚してください』




呪いが解けて、梟は美しい女の人に変わりました。
王様はミズラと魔法使いを捕まえると、魔法の粉で二人を鸛に変えました。
その後、ミズラたちの姿を見た者はいないそうです。
王様と姫は姿を変えられていたときのことを思い出しながら、
幸せに暮らしているそうです。




秘密の部屋を覗くと…




一位でゴールイン!




何を話しているのでしょう。




パンを作るカエル…?




見事なダンスです。




視線が集まります。




突然、目の前に見たこともない景色が…




氷の上で歌い続ける少女…




いくつもの嘴が襲ってきます!


世界に伝わる童話だけのことはあります。楽しく読むことができました。
他の収録作品も熟読したいですが、なかなか時間が…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際版 少年少女世界童話全集⑯ 《ブレーメンのおんがくたい》

2022年12月06日 09時00分00秒 | 童話
グリム童話の名作の一つですね。。




何回読んでも楽しいです。




どんなドラマが待っているでしょうか…




飼い主に見捨てられた動物たち…




目次です。挿絵を見るだけでも楽しくなってきます。




飼い主は老いたロバを『太鼓の皮にする』と言い出しました。
今まで必死に働いていたのに、何という仕打ちでしょう。




ロバは小屋から逃げ出しました。
どこへともなく歩いていると、リスに呼び止められます。
ロバが『銀行員や科学者になりたい』と言うと、リスは嘲笑いました。

(今に見ていろ。きっと立派な仕事を見つけてやる)

そう思ったとき、弱々しい声が聞こえました。




声の主はロバと同じぐらい年老いた犬でした。
この犬も飼い主に『もう役に立たない』と言われて、家を出てきたのです。




『僕らは気が合いそうだ』

ロバは犬と一緒にブレーメンを目指すことにしました。
音楽家になるという夢を抱いて…




ブレーメンへ向けて歩いていると、脇道から猫が飛び出してきました。
この猫も家から逃げ出してきたのです。

『ネズミの代わりに鶏を追い回したら、飼い主に殺されそうになった』

『ひどい話だ』

『一緒にブレーメンへ行かないか?』

こうして猫も仲間になりました。




ロバ、犬、猫の三人はブレーメンへの道を急ぎます。
村外れまで来たとき、鳥小屋から雄鶏の悲しい声が聞こえてきました。




『明日になれば、シチューの具にされるか、ローストにされるか…』

『僕らの仲間にならないか?』

雄鶏は喜びました。




ロバはギター、犬はドラム、猫はラッパ、雄鶏はボーカルという具合に、
それぞれのパートも決まりました。
さて、ブレーメンへ行くなら、深い森を抜けなければなりません。




しかし、一日で森を抜けるなんて無理な話です。
暗くなってきたので、四人は森の中で夜を明かすことにします。

『明かりが見える!』

木の枝の上で雄鶏が頓狂な声を上げました。




『本当だ!』

四人は明かりの方へ向かいます。




やがて一件の家が見えてきました。
窓に近づくと、おいしそうな料理の香りが漂ってきます。
背の高いロバが覗いてみると…




中にいたのは悪者たちでした!




『何とか悪者たちを追い出そう』

『絶対に失敗できないぞ』

四人は策を練ります。そして窓から飛び込むことに決めました。
ロバの上に犬が乗って、犬の上には猫が乗って、猫の上には雄鶏が…




四人は一斉に大声を上げて、窓ガラスを蹴破りました!




驚いた悪者たちは一目散に逃げてしまいます。
四人は食事と寝床にありつけたのでした。




真夜中に親分が様子を見に来ます。

『いったい何者だったんだ…?』

親分は四人の正体を探ろうとしました。

『おっ、こんな所に火種がある。よし…』

ところが、それは火種ではなくて、猫の目だったのです。




猫は怒りました。他の三人も奥から飛び出してきます。
真っ先に犬が飛び掛かり、ロバが蹴飛ばします。
親分は慌てて逃げ出しました。それを見て雄鶏が勝鬨の声を上げます。




四人は森の中の一軒家を手に入れました。
そして誰にも咎められず、のんびりと仲良く過ごしました。ところで…

『ブレーメンで音楽家になる』という夢は…?(・_・) 

まあ、深く考えないことにしましょう。




岩に閉じ込められていた美女…




おいしそうです。




ああ、ジャムを塗ったパンが…




お爺さんが長男にくれたテーブル…




声を掛ければ、ごちそうが…




しかし、宿屋の主人に盗まれてしまいます。




次男はロバをもらいました。




これはすごい! ところが…




宿屋の主人の目が光っています。




馬車の旅…




彼女は許してもらえるでしょうか。




捕らわれてしまった美女…




色鮮やかな挿絵です。


様々な国の童話や民話が収録されています。
時間があれば、全ての作品を熟読したいですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする