五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

青森のザッハートルテ

2011-11-01 18:15:43 | 

 旅行から結構な時間が経過したのだが、相変わらずオーストリア病ないしウィーン熱はさめやらない。先だっての「マイヤーリング」では束の間の楽しい時間を過ごしたが、そうそう行けるところではない。


 だがそういえば、と思い出した場所がある。青森の新町通りというか、夜店通りに入ったところに、ザッハートルテを売っているお店があったような。確か場違いなくらいに豪華な雰囲気を醸し出していたような気がする。

 調べてみるとすぐにわかった。「シュトラウス」というお店である。さっそく出かける。国道7号線をひた走って、古川のところで左に入る。休日とあって、市場周辺のお店のほとんどはお休みだ。

 お目当てのヴィーナー・カフェ・コンドティトライ「シュトラウス」に着く。いつも前を通り過ぎるだけだったが、扉からしてすっかりあちらの雰囲気である。中に入り、テイクアウト用のショーケースの中身をちらりと眺め、螺旋階段を上る。その色遣いは、まさにハプスブルク家のイメージ。

 2階のカフェに入る。店内には金色のシャンデリアが下がり、フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートの肖像画が目に留まる。ああ、ここはまさにウィーンではないか。迎えてくれたマダムの衣裳もまたカフェ・ザッハーの店員さんを彷彿とさせる。

 壁際の、ゆったりとしたソファー席に案内された。すぐ傍らには老皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の肖像画がある。うーん、素敵だ。でも窓の外を見やると、夜店通りのちょっとくたびれた商店街の眺め。これはこれでいいのだが、こちらにいる間は極力視界の外に追いやる。

 メニューももちろん本格的だ。メランジェの他にも、マリア・テレジアやアインシュペナーといったウィーンのコーヒーが揃っている。どれを頼もうか、目移りする。ケーキの種類もいろいろとある。ケーキセットは680円とリーズナブルで、周りのお客さんの多くはこちらを注文している。だがやはりザッハートルテである。アインシュペナーとザッハートルテを注文した。

 出てきたザッハートルテは、やはり生クリームが添えてある。甘さは抑えめのようだ。こちらでもクリームとトルテとを一緒に食べると格別。そしてアインシュペナーは、透明なガラスのカップに入っている。これもまた本場と一緒だ。香りも味もよい。クリームがたっぷりと入っていても、コーヒーそのものが大変よいものであることはわかる。



 時間をかけて、ゆっくりとぜいたくな空間を味覚と視覚と嗅覚とで楽しむことができた。青森にはウィーンがある!青森にはいい喫茶店が多いが、こちらもまた素晴らしいお店である。青森に出かける楽しみがまたひとつ増えてうれしい。

 支払いのときに、少しばかりお店の方とお話しをした。こちらのご主人は7年間ウィーンで修業をされて、お店を構えたのだとのこと。個人的にはデーメルやザッハーのザッハートルテよりもおいしく感じた。日本人の口に合うようになっているのだろう。

 1階に下りると、お店が「甘精堂本店」と内部でつながっているのに気づいた。「シュトラウス」は、こちらの和菓子の老舗が出しているお店なのである。和菓子と洋菓子両方扱うお店は結構あるけれど、ここまで本格的にオーストリア菓子を専門に扱っているのは実に面白い。

 2つの百貨店で買い物をする。「中三」も「さくら野」も、青森だけでなく弘前にも店舗を構えているが、やはり青森店のほうが広いし、百貨店の風格をまとっているような気がする。このあたり、さすがは県都の面目だと思う。

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