MARUMUSHI

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『大仏廻国』。

2019-01-26 22:47:47 | 映画日記
#大仏廻国
『大仏廻国』を観た。

低予算で頑張ったなぁ、という感じ。
BGMに物凄い熱量を感じるね。凄いよ。
特撮映画でありながら、精神的というか超自然的な世界の描写が多い。

大仏は生とシの両方の間にいて、時に人の生シの境目に割って入ってくることがある。
生きるべきだった人がシに、シんだほうが良かったほうが生きる。
特に自然災害でそれは起きる。
そして、シんだ方には愛を、生きた方には苦難を残す。
巨大大仏の廻国はその作業なのだろうか。最後に自分の姿を見せ双方に、一瞬の、魂の安定を与えるため。
作中に登場するプロダクションの男は、生きる側に残された。
彼は、なぜ自分が生きる側に残されたのか、分かっている。ただの瓦礫と化した国で、下らない番組を完成させようとするのが証左だ。でも、それは向こう側になにもいない空虚な作業だ。
彼は少しずつその出来事の、時代のテラーとなっていくのだろう。


原作であり消失してしまった『大仏廻国』の監督 枝正義郎。
1934年。日本が少しずつ戦時色を強めていった時代。数年後には226事件が発生している。
彼は、その世界に少しでも警鐘を鳴らしたかったんじゃないだろうか。
この道を進めば、残るのはただの空虚な終わり。
宝田明が語るように、科学は寄与と弊害を常に生じさせる。特撮映画とはそれを語り継ぐためにあるのだ、と。
そういった観点からもオリジナル『大仏廻国』が消失してしまったことは残念に思う。



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