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MARUMUSHI

映画とかTwitterとかとか。

『桜ノ雨』。

2016-03-06 11:52:31 | 映画日記
『桜ノ雨』を観てきた。

合唱。
小学校、中学校で一回ぐらいはやったことがあると思う。

”力を併せて!”とか”心をひとつに!”といった場面で意味が分からない子供だった。
特に”心をひとつに”という観念が分からなくて、とにかく周りに合わせてやり過ごしていた。それは今でも変わらない。
チームという方向性を持った単位が出来ると、主役と脇役が出来る。能力差が明らかになる。僕はそれを是とは出来ない。気持ちが悪い。

まさかと思うけれど、”一人ひとりがかけがえのない・・・”という言葉を鵜呑みにしているわけじゃないだろう?そんなことよりも、空気を読み、時節をわきまえ無難にやり過ごす。
学校だろうが社会だろうが、それが処世術になっている。
人は平均を望む。自分が突出した何か出ない、と悟ったときから。
”出来ない自分を曝したくない”

でも、人はそこから抜け出したいとも思う。
自分の考えを言葉にしたい。
自分の考えを行動にしたい。
誰かに想いを伝え、心をつなげたい。誰かに分かってもらいたい。
たぶん、その想いは人それぞれで、集団としてはごった煮だろう。
でもそのためなら、人と”力を併せ”ることも厭わない。
それが”心をひとつ”にするということなんだろう。
この映画を観て、そのことが少し分かった気がする。

心は、人と何かの間で発生するもの。
そこにあるものではない。
だから、心が発生しなければ魂の結びつきは産まれない。
そして、どんな練習も心の発生には、魂の結びつきには勝てない。
ピアノ演奏の部長の彼は、全ての練習を捨てた。長い日々を費やした練習を。
最後に、そこにいる数十人の部員たちと心をひとつにしたかったから。


ひとつを得るために、自分の多くを捨てる。
そういう行為を、僕は素晴らしいと思う。