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MARUMUSHI

映画とかTwitterとかとか。

【ギア ―GEAR―】

2016-02-11 21:12:31 | 映画日記
【ギア ―GEAR―】を観てきた。
舞台なので映画にカテゴライズするのは違うけれど、まぁ、このカテゴリで。

全然知らない舞台。
今日『オデッセイ』を観る前に四条辺りをウロウロしていて、偶々見つけた劇場。
チラシすら見ないで、何で気が向いたのか不思議。
何で行こうと思ったのかも不思議。でも、観たいと思った。
当日券でギリギリの残りだったので、
「立ち席になりますが」と言われた。
この舞台のことを何一つ知らないのに、当然、映画と違って、チケットは割高。
それでも「観たい」「面白そう」と思った。あまり悩まず、
「お願いします」と答えた。

凄かった。
吃驚した。
心の底から、本当に拍手をしたのはこの舞台がはじめて。こんなに面白い舞台があるなんて、と思った。80分程度立ちっぱなしでも全然苦にならなかった。
パントマイム、ジャグリング、マジック、ダンス。それぞれのパフォーマー全てがプロ。
光の使い方が凄く綺麗。
クラシックな工場が光の効果で現在の工場のようにも、未来の工場にも見える。
ラストは、泣いた。
どこかで分かっていたけれど、やっぱり切ない終わりだ。

荒廃した世界の中で、それとは関係なく働き続ける4体の「ロボット」。
そこに、その工場で作られていた「ドール」がどこかから落ちてくる。
ドールにロボットが触れている間に、ドールに魂が宿る。
そして、ドールに触れる度、ロボットたちに人としての魂が発生する。一時的だけれど。
ドールはロボット戯れるうちに、どんどん人になっていく。
そんなときに、工場にトラブルが発生。ロボットたちは電源が落ち、機能しなくなる。
死。
ドールは願う。涙を流し、手を組み、天を仰ぎ、搾り出すような声を出し、「神」に祈る。
電源が回復した工場。ロボットたちが見たものは。。。

ロボットはノイズを排除されて創られている。
人はノイズの中で生きている。
人のノイズが入ったドールに触れることで、ロボットはノイズを組み込まれ、人としての魂が発生した。
そして、人としての魂を持ったロボットと触れ合うことで、ドールの魂は人へと近付いていく。

心は自分が持つ物でも、他者が持つでもなく、その関係性の中で生まれるものだ。
人とロボットとの間に心は発生する。僕はそう思っている。では、ロボットとロボット、ロボットとドールの間に心は発生するだろうか?
僕は、願う。心が発生して欲しいと。
荒廃した世界の中でも、心を通じ合わせ生きている何かがいて欲しい。
魂がなくても心は発生すると証明して欲しい。
他者のために有りもしない「神」に祈って欲しい。
そして、涙を流して欲しい

本当に観て良かった。
この偶然に感謝したい。
この舞台に出会えたことがうれしい。