MARUMUSHI

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『繕い裁つ人』。

2015-02-08 00:13:42 | 映画日記
『繕い裁つ人』を観てきた。

[繕う]①破れた物を直し、再び使える状態にする。②世間の人にいい感じを与える(けいべつされない)ように、体裁を良くする。
[裁つ]衣服に仕立てるために、布を切る。
金田一京助編・新明解国語辞典(三省堂)より


彼女は繕い続けている人だ。
死んだ祖母の仕事を繕い続ける人。

彼女は、生と死の間の時間を生きているんじゃないだろうかと思った。
生は、今ではない。でも、もちろん死でもない。
繕うことが己の存在意義、と諦めている。それは生きている、とは少し違う。

[繕う]①破れた物を直し、再び使える状態にする。
繕い、再び身に纏われる衣服や着る人は喜ぶ。

[繕う]②世間の人にいい感じを与える(けいべつされない)ように、体裁を良くする。
そうすることで彼女は自分の殻に閉じこもっていられる。
新しい道に踏み出すことを恐れている自分を考えなくてすむ。
チーズケーキの味もコーヒーの香りも、いつもどおり美味しい。

僕は一所に留まり続けることが悪いとは思わない。
そこに根を生やし、日々を過ごす。良い事だと思う。
でも、自分自身を一所に縛り付けてしまうのは、少し違う。


主を亡くしたスリーピーススーツと、3人の少女たちを前に彼女は言う。
「今生きているお客様には、今生きている私にしか、作れないんですもの」


そして彼女は、裁つ人になるのだ。
[裁つ]衣服に仕立てるために、布を切る。
少女たちが胸躍らせるようなドレスを仕立て上げるために、布を切るのだ。


2015年02月07日のつぶやき

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