MARUMUSHI

映画とかTwitterとかとか。

『BOX 袴田事件・命とは』。

2010-06-26 22:05:36 | 映画日記
『BOX 袴田事件・命とは』を観てきた。

黒は強さの象徴。何物にも染まらない。
黒とはそんな色だ。
だから、裁判官は黒衣を纏う。
だけど、着ている人間は何色にでも染まる。
白でも黒でも。時と場合と、相手によっても色んな色を纏う。

だから、袴田容疑者は死刑囚になった。
もし、この作品が事実で、熊本元裁判官が嘘を言っていないなら、彼は2つの罪を犯したことになる。
1つは無罪の者を有罪としたこと。
そしてもう1つは、有罪の者を無罪としたことだ。
暴走する社会正義に便乗し、身の保身や見栄のために間違っている道を進もうとする仲間の裁判官の暴走を止められなかった。

裁判官が多数決で判決を決めたなど、赦されることではない。
彼は裁判官を辞した後、袴田事件を一人で再調査しはじめ、袴田容疑者の控訴審を独自に支援する。
立派なことをしているように見えるが、違う。単なる懺悔なのだ。

葛藤や怖れのない、無邪気な正義などただの漫画でしかない。
社会正義は、この漫画の正義だ。正しいことを言い続け、声高に悪を罰する。
自分達は正義、とまで言わなくても、悪ではなく、普通であると盲目的に信じている。
犯罪者と自分が、全く同じ地面の上で生きていることに目も向けず。


偉そうで青臭いことを書いた。たかが映画の感想のために、ブログという安全な場所から一個人を攻撃している。
俺は最低だ。
強いものには屈するし、多数には巻かれる。弱いものにも、無理をしてまで手をさしのべようとは思わない。楽な方に流れたい。
それが俺なのだ。


熊本さんは、葛藤があった。自分に対する怒りがあった。その上で自分の間違いを改めようとする。
だから、彼は正義だ。
俺はそう思う。


袴田死刑囚も熊本さんもまだ存命だ。
事件は紙の上や、多くの人の中では、終わったことになっている。
けれど、彼らにとっては、まだ終わっていない。



今日も、袴田死刑囚の立つ地面は、俺の立つ地面と繋がっている。


『ザ・ウォーカー』。

2010-06-26 11:14:23 | 映画日記
『ザ・ウォーカー(原題:The book of Eli.)』を観てきた。

自分達が起こした戦争で荒廃した世界が舞台。
その世界を一人の男が西へ歩き続ける。一冊の本を抱えて。
危害を加えようとする者は容赦なく切り捨てる。また、絶対に誰にもなびかない。
ただ西へ歩き続ける。
そして、その本を狙う男達が彼の命を狙う。

彼の持つ本は、なんなのか?何が書かれているのか?
そして、西にはいったい何があるのか?


色々と謎を含んだまま、物語はアクション要素が色濃く、淡々と進む。
本に何が書かれているのかは、序盤で分かる(ていうか予告編で分かる)。
けれど最後に一気に謎が解けて、かなりビックリ。
ヽ(`Д´)ノスゲェ!!



本は、ただ読むだけに非ず。人に知識・教養を与えるものであり、知識・教養は誰かのために使うものだ。
己のために、まして己の願望のために本を使う者には、本は何も与えてくれない。



こんなに面白い映画とは思ってなかった。
おすすめ。