くすり屋さんの独り言in北京

ヤクザ・イシ(石原 洋一)のブログです。環境・自然に興味あり。最近、中国の環境問題にシフトしました。

「中国の環境を学習する会」報告(その1)

2009年10月12日 18時48分12秒 | Weblog
中国の環境学習会報告     2009/10/04 報告者:石原洋一
 10月4日の日曜日に「中国の環境規制と被害者救済」と題して中国の環境に対する正面からの学習会を日中友好協会愛知県連として持ちました。
 講師は名古屋大学大学院国際開発研究科・助教 櫻井次郎氏です。
現在、中国の環境は胡錦濤総書記が明言するほど水、大気、土壌等の汚染が酷くなっています。
 当日は参加者が約20名ほどで日中愛知県連副理事長の**さんと中部の環境を考える会の代表***さんの挨拶の後、石原の司会ではじまりました。
まず中国共産党の環境問題に対する姿勢の変化は第17回全国代表大会での胡総書記の活動報告において経済成長のパターンが「省エネと環境保護を強化」が入ったように転換されました。
 第11次5ヵ年計画(2006~2010年の5カ年計画、2006年3月決定)においてはGDP成長率を7.5%にするとしながらも・エネルギー単位消費量の20%低減・主要汚染物質(水におけるCOD、大気におけるSOx)の10%削減が拘束性のある指標として決定されました。
近年の法整備は2000年に「大気汚染防治法」に硫黄酸化物(SOx)に排出が基準を超えた場合罰金と措置命令が入りました。2008年には「水汚染防治法」が改正され汚染物質濃度が基準を超えた場合罰金と措置命令が入りました。
しかしながら環境汚染の現状は「2006年中国大気環境状況」によっても大気の環境基準(1級、2級「1年間の100日以上が排出基準をクリアしている」)が1999年には33.1%の都市のみが1,2級であったのに2006年には56.6%の都市が基準を達成しているというように前進しています。とは言え2006年に至っても43.4%の都市が環境基準に達していません。河川の水質においても主要な汚染物質の過マンガン酸塩、アンモニア及び石油類が改善されているとはいえ日本とは随分違うという話でした。
河川の水質の汚染の数値は7大水系(長江、黄河、珠江、松花江、ワイ河、海河、遼河)における412箇所の測定局において何箇所が基準(前述の3大汚染物質の基準量)をクリアしていないかというもので日本とは基準の設定自身が違うので比較するのは困難だが
1類(水源など)、2類(飲用水水源1級保護区域など)でも2006年で27%の測定局でクリアできていない。3類までが飲用水水源だが3類で19%、4類、5類までと劣5類(決めた基準さえ満たさない)の測定局の54.4%が基準をみたしていません。また大気汚染でも日米とは基準そのものが違い直接比較は出来ないものの北京市が発表した汚染程度3級(硫黄酸化物のような粒子の大きい物質を対象としている)に対し米国大使館が館内で測定したPM2.5(超微粒子)の濃度は「要警戒レベル」と発表している。
特に櫻井先生がフィールドにして調査した河南省のワイ河流域は貧困県(売血でエイズになった人が多くエイズの村と言われる)では汚染もひどく村医者(正式の医師ではなく1年更新の即席資格者)がNGO「ワイ河衛士」を立ち上げインターネットで公表してきたために広く知られるようになったこと。
などなど、まだ書ききれない内容が多く有りますが総じて政府も不十分ながら環境に力を入れ始めたということ。中国にも公害被害者を裁判で援護するNGO「政法大学の教授で弁護士である人が中心となった公害被害者法律援助センター」があり農民1721名が原告となり国有化学工場を被告として1審、2審とも差止請求認容、損害賠償支払い、不法投棄廃棄物の期限を明示した処理命令など前進はあるが、工場は現在も普通に稼動しているという事も知りました。CCTVなどの中央テレビ局が報道すると、その村のみが改善されるという事実、重金属などが垂れ流され地下水を通じて住民が飲んで「がんの村」が存在することなども学びました。
(以下は次回書きます)
                         つづく


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