中国の環境学習会報告 2009/10/04 報告者:石原洋一
10月4日の日曜日に「中国の環境規制と被害者救済」と題して中国の環境に対する正面からの学習会を日中友好協会愛知県連と中部の環境を考える会の共催で持ちました。
講師は名古屋大学大学院国際開発研究科・助教 櫻井次郎氏です。
現在、中国の環境は胡錦濤総書記が明言するほど水、大気、土壌等の汚染が酷くなっています。
当日は参加者が約20名ほどで日中愛知県連副理事長の溝口さんと中部の環境を考える会の代表宇佐見さんの挨拶の後、石原の司会ではじまりました。
まず中国共産党の環境問題に対する姿勢の変化は第17回全国代表大会での胡総書記の活動報告において経済成長のパターンの報告の中に「省エネと環境保護を強化」という項目が入った事に示されています。
第11次5ヵ年計画(2006~2010年の5カ年計画、2006年3月決定)においてはGDP成長率を7.5%にするとしながらも片方では・エネルギー単位消費量の20%低減・主要汚染物質(水におけるCOD、大気におけるSOx)の10%削減が拘束性のある指標として決定されました。
近年の法整備では2000年に「大気汚染防治法」において硫黄酸化物(SOx)が排出が基準を超えた場合には罰金と措置命令が新しく入りました。2008年には「水汚染防治法」が改正され汚染物質濃度が基準を超えた場合にも罰金と措置命令が入りました。
しかしながら環境汚染の現状は「2006年中国大気環境状況」報告によっても大気の環境基準の1級と2級(1級、2級「1年間の100日以上が排出基準をクリアしているという条件」が1999年には33.1%の都市のみが1,2級であったのに2006年には56.6%の都市が基準を達成しているというように前進しています。とは言えすなわち2006年に至っても43.4%の都市が環境基準に達していないということです。
河川の水質においても主要な汚染物質である過マンガン酸塩、アンモニア及び石油類は以前と比べ改善されているとはいえ日本とは随分違うという話でした。
河川の水質の汚染の数値は7大水系(長江、黄河、珠江、松花江、ワイ河、海河、遼河)における412箇所の測定局において何箇所が基準値(前述の3大汚染物質の基準量)をクリアしていないかというもので日本とは基準の設定自身が違うので比較するのは困難ですが1類(水源になる綺麗な源流の川)、2類(飲用水水源1級や保護区域など)の両方を合わせても2006年で27%の測定局でクリアできていません。3類までが飲用水水源利用可の川ですが3類で19%、そして4類、5類までと劣5類(決めた基準さえ満たさない)の測定値を測定局の54.4%が基準をみたしていませんでした。
また大気汚染でも日米とは基準そのものが違い直接比較は出来ないものの北京市が発表した汚染程度3級(硫黄酸化物のような粒子の大きい物質「SPM」を対象としている)に対し米国大使館が北京市内の大使館内で測定した「PM2.5(超微粒子)・・・先進国の汚染基準標準測定物質」の濃度は「要警戒レベル」と発表しています。評価対象物質が違うので直接比較は困難ですが北京市の大気汚染は北京オリンピック後においても先進国と比べ悪いといえます。
特に櫻井先生がフィールドにして調査した河南省のワイ河流域は貧困県(売血でエイズになった人が多くエイズの村と言われる)では汚染もひどく村医者(正式の医師ではなく1年更新の即席資格者)がNGO「ワイ河衛士」というサイトを立ち上げインターネットで公表してきたために広く知られるようになりました。また貧困村の共産党党書記や村民委員会等の党の末端組織は真実「何とかしたい!」と願いNGO「ワイ河衛士」と相談し努力や中央委への陳情を繰り返しています。
「がんの村」の悲劇は企業の垂れ流しによりワイ河の支流から灌漑用水が汚染され→低層井戸水(川と同じ臭いと色)→村民に消化器障害が多発していることを調査し発見されたことに現れています。その内容はNGOの宣伝の影響もあり中国の中央テレビ局(CCTV)が取材、放送しました。その結果放送された「その地域だけ」深井戸が掘られたという事です。しかし保守管理が出来てないため半年経たないうちに電気系統が壊れて水が出なくなった村もあるということでした。
などなど、まだ書ききれない内容が多く有りますが総じて政府も不十分ながら環境に力を入れ始めたということは事実のようです。中国にも公害被害者を裁判で援護するNGO「政法大学の教授で弁護士である人が中心となった公害被害者法律援助センター」があり農民1721名が原告となり国有化学工場を被告として1審、2審とも差止請求認容、損害賠償支払い、不法投棄廃棄物の期限を明示した処理命令など画期的な判決が出ました。
しかし工場は現在も普通に稼動しているという事も知りました。印象的なのはCCTVなどの中央テレビ局が報道すると、その村のみが改善されるという事実、重金属などが垂れ流され地下水を通じて住民が飲んで「がんの村」が存在することでした。
そして今後の私たちの活動も先を急がず現地の要求を具体的にしり何が具体的に支援できるかを知ることがまず大事であると櫻井先生から指摘を受けました。
「中国の環境専門チーム」には櫻井先生は協力すると明言されましたし、終了後開いた懇親会では、もっともっとたくさんの話を聞き交流が出来ました。
これからが出発です。
(中国の環境問題についての質問、ご希望などは日中友好協会愛知県連常任理事の石原洋一 e-mail: ta43447@qa2.so-net.ne.jp までお知らせください)
10月4日の日曜日に「中国の環境規制と被害者救済」と題して中国の環境に対する正面からの学習会を日中友好協会愛知県連と中部の環境を考える会の共催で持ちました。
講師は名古屋大学大学院国際開発研究科・助教 櫻井次郎氏です。
現在、中国の環境は胡錦濤総書記が明言するほど水、大気、土壌等の汚染が酷くなっています。
当日は参加者が約20名ほどで日中愛知県連副理事長の溝口さんと中部の環境を考える会の代表宇佐見さんの挨拶の後、石原の司会ではじまりました。
まず中国共産党の環境問題に対する姿勢の変化は第17回全国代表大会での胡総書記の活動報告において経済成長のパターンの報告の中に「省エネと環境保護を強化」という項目が入った事に示されています。
第11次5ヵ年計画(2006~2010年の5カ年計画、2006年3月決定)においてはGDP成長率を7.5%にするとしながらも片方では・エネルギー単位消費量の20%低減・主要汚染物質(水におけるCOD、大気におけるSOx)の10%削減が拘束性のある指標として決定されました。
近年の法整備では2000年に「大気汚染防治法」において硫黄酸化物(SOx)が排出が基準を超えた場合には罰金と措置命令が新しく入りました。2008年には「水汚染防治法」が改正され汚染物質濃度が基準を超えた場合にも罰金と措置命令が入りました。
しかしながら環境汚染の現状は「2006年中国大気環境状況」報告によっても大気の環境基準の1級と2級(1級、2級「1年間の100日以上が排出基準をクリアしているという条件」が1999年には33.1%の都市のみが1,2級であったのに2006年には56.6%の都市が基準を達成しているというように前進しています。とは言えすなわち2006年に至っても43.4%の都市が環境基準に達していないということです。
河川の水質においても主要な汚染物質である過マンガン酸塩、アンモニア及び石油類は以前と比べ改善されているとはいえ日本とは随分違うという話でした。
河川の水質の汚染の数値は7大水系(長江、黄河、珠江、松花江、ワイ河、海河、遼河)における412箇所の測定局において何箇所が基準値(前述の3大汚染物質の基準量)をクリアしていないかというもので日本とは基準の設定自身が違うので比較するのは困難ですが1類(水源になる綺麗な源流の川)、2類(飲用水水源1級や保護区域など)の両方を合わせても2006年で27%の測定局でクリアできていません。3類までが飲用水水源利用可の川ですが3類で19%、そして4類、5類までと劣5類(決めた基準さえ満たさない)の測定値を測定局の54.4%が基準をみたしていませんでした。
また大気汚染でも日米とは基準そのものが違い直接比較は出来ないものの北京市が発表した汚染程度3級(硫黄酸化物のような粒子の大きい物質「SPM」を対象としている)に対し米国大使館が北京市内の大使館内で測定した「PM2.5(超微粒子)・・・先進国の汚染基準標準測定物質」の濃度は「要警戒レベル」と発表しています。評価対象物質が違うので直接比較は困難ですが北京市の大気汚染は北京オリンピック後においても先進国と比べ悪いといえます。
特に櫻井先生がフィールドにして調査した河南省のワイ河流域は貧困県(売血でエイズになった人が多くエイズの村と言われる)では汚染もひどく村医者(正式の医師ではなく1年更新の即席資格者)がNGO「ワイ河衛士」というサイトを立ち上げインターネットで公表してきたために広く知られるようになりました。また貧困村の共産党党書記や村民委員会等の党の末端組織は真実「何とかしたい!」と願いNGO「ワイ河衛士」と相談し努力や中央委への陳情を繰り返しています。
「がんの村」の悲劇は企業の垂れ流しによりワイ河の支流から灌漑用水が汚染され→低層井戸水(川と同じ臭いと色)→村民に消化器障害が多発していることを調査し発見されたことに現れています。その内容はNGOの宣伝の影響もあり中国の中央テレビ局(CCTV)が取材、放送しました。その結果放送された「その地域だけ」深井戸が掘られたという事です。しかし保守管理が出来てないため半年経たないうちに電気系統が壊れて水が出なくなった村もあるということでした。
などなど、まだ書ききれない内容が多く有りますが総じて政府も不十分ながら環境に力を入れ始めたということは事実のようです。中国にも公害被害者を裁判で援護するNGO「政法大学の教授で弁護士である人が中心となった公害被害者法律援助センター」があり農民1721名が原告となり国有化学工場を被告として1審、2審とも差止請求認容、損害賠償支払い、不法投棄廃棄物の期限を明示した処理命令など画期的な判決が出ました。
しかし工場は現在も普通に稼動しているという事も知りました。印象的なのはCCTVなどの中央テレビ局が報道すると、その村のみが改善されるという事実、重金属などが垂れ流され地下水を通じて住民が飲んで「がんの村」が存在することでした。
そして今後の私たちの活動も先を急がず現地の要求を具体的にしり何が具体的に支援できるかを知ることがまず大事であると櫻井先生から指摘を受けました。
「中国の環境専門チーム」には櫻井先生は協力すると明言されましたし、終了後開いた懇親会では、もっともっとたくさんの話を聞き交流が出来ました。
これからが出発です。
(中国の環境問題についての質問、ご希望などは日中友好協会愛知県連常任理事の石原洋一 e-mail: ta43447@qa2.so-net.ne.jp までお知らせください)
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