Shevaのブログ
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Wimbledon





フェデラー全英五連覇達成後のインタビュー

An interview with Roger Federer
8 July 2007, after the victory, the 5 consecutive winning in Wimbledon

Q:4セット目、ナダルの2ゲーム・アップでのあなたのサーブ・ゲームで、サーティー・オールで、ナダルがほんの何インチか長いボールを打ちました。あなたも審判のカルロス・ラモスも確実にアウトだと思った。そこでナダルはチャレンジ権を行使しました。ホーク・アイはボールがタッチング・ラインにかかっている画像を映し出しました。(*) あなたは先週、ホーク・アイは正確だと述べましたが、その考えを翻しますか?

ロジャー・フェデラー: 何ともはやね。どうせ僕がホークアイに反対したら、フェデラーはなんにでも文句をつけるんだと言われるんだろ。
どうやってこんな測定器だがなんだかを進化させているのかは知らないが、全部の可能性を考慮に入れてるんだとしたらだけどね、ボールがどう放物線を描いて、どういうふうにはずんでとかを。3Dで、すべてをだよ…
僕は審判に言ったのはね、僕にはボールはアウトだとわかってたから、ナダルがチャレンジしてくれてありがたいねってことだよ。ところがホーク・アイを見たら、インだって。サーティ・オールのポイントだよ。すごく大事なところだったんだ。(**) もちろん僕はインだったのですごくショックを受けたよ。
でもね、もうどうでもいいんだ。もう気にしない。あれは入ってた。そういうことだったんだよ。

Q:試合後のコートでのあなたのインタビューを聞いてびっくりしたのですが、…勝てるうちに勝っておかなきゃなんて。あなたはほんとにラファエルがここや世界中のコートであなたを負かすと感じているのですか?

RF:僕が言いたかったのは、ラファのテニスは瞠目すべきであるということです。ラファはまたもや進化した。昨年よりもゲーム・プランを考えてきました。昨年の彼はハード・ヒッター1本槍でした。

今年は自分のテニスを変えてきました。積極的にプレーするようになって、グラス・コートもよくわかってきました。だから彼はクレイ・コートのスペシャリストではなくて、とても上手なオール・ラウンド・プレイヤーだと僕は思ってますよ。

どっちみちそれは近い将来、起こることなんですよ。みんないろんなサーフェスのコートでプレーできるようになるんです。ペースがスロウになってね。敵を無力化するために、ベースラインからネットまで出てくのはほとんど不可能でした。

僕が言いたかったのは、きょう、ナダルがすごく勝利に迫ってたということ。彼が勝っててもおかしくなかった。ラファは今の調子より悪くなることはないだろうし。きょうはタフな試合だった。彼には最高級の尊敬の念を抱いています。

Q: 試合を振り返って、一番記憶に残ることはどんなことでしょうか?

RF: きょうは、なんとも特別な状況でした。すごくプレッシャーを感じましたね。だってそこにビヨン・ボルグがいて、あそこにジミー・コナーズがいて、こっちにはジョン・マッケンローがいて、ボリス・ベッカーもいたんですから。だからすごいことでした。
そしてついに賜杯を掲げたときは、もう…特別な記憶です。一生忘れ得ないでしょう。

Q:ジャック・クレイマーをお忘れですよ。

RF:クレイマーさんもいらしてたんですか? それは知らなかったです。申し訳ありません。

Q: 大事なところでサーブが決まってたのでよかったですね。

RF: よかったです。試合全体を通じてそうでしたから。自分でもよくやったと思いますよ。サーブにはすごく集中できたので、サーブの時にプレッシャーは感じませんでした。
第1セットで早々とラファをブレークできたのに、残念ながらブレーク・バックされてしまいました。でもラファはすごくうまくて、リターンが特にすばらしくて、僕のサーブを前の方で返すようになったんです。第4セットの初めには、僕はサービス・エースをここぞというところで奪えなくなった。それできょうは難しい展開になったんです。

でもベースラインの打ち合いでは彼が僕に勝ってたわけではありません。でも僕はいろんな点でラファの方が優勢だとずっと感じていたので、ゲーム・プランどおりにはいかず、昨年のようにアグレッシブにはプレーできなかったんです。

でも僕にはサーブという武器がありました。大事なところでサーブが決まった。それがきょうの最大の勝因でした。

Q: 試合後にビヨン・ボルグにお会いになった感想はいかがですか?

RF: それは格別なものでした。お互いにスウェーデン式のハグをしてね、とてもすばらしかったです。僕らはお互いにしゃべらなくても大好きなんです。
だから試合後に会えてよかったです。彼が待っててくれたなんて感激でした。

Q: 勝利の瞬間、あなたがコートに崩れ落ちた瞬間脳裏をよぎったことは?

RF: 僕は(ファイナルセット、ゲームカウント)5-2でアップしている時点でもう泣きそうになってました。それで落ち着かなくちゃいけなかったんですが、ナダルのサービス・ゲームが0-15(ラブ・フィフティーン)で始まったものですから、もうどうしよう、うまく行き過ぎだよって。ところが当然のことながらラファがゲーム・ポイントまで行ったので、僕はとにかく集中しなくてはいけないと。
でもなかなかそれが難しいんですよ、いろいろなことが頭をよぎって。マッチ・ポイントですが、2回あって、最初のマッチ・ポイントではうまくプレーできたんですが、ラファがいいスライス・ショットで防ぎました。そして次のマッチ・ポイントで、さあ、今度こそって、セカンド・サービスを返して積極的にいきました。それが功を奏しました。そして感激の瞬間が訪れたのです。

Q:あなたは決勝前の練習相手にゴラン・イヴァニセビッチを選びましたが、ゴランは左利きですよね。ラファと対するには効果がありましたか?

RF:決勝前に左利きの選手と30分間練習できたのはとてもよかったです。その前に戦った6人はみんな右利きの選手でしたから。

そう、もちろん左利きの選手と対戦するのは厄介なことです。特にリターンのときにそう感じますね。すべてのやり方が違ってきちゃうんでね。普通バックハンドのクロスを打ち込むところ、ラファが相手だと、バックハンドの長いボールを打たなくちゃいけないのです。

僕はきのうゴランに頼んだんです。僕とラリーしてくれないかって。ゴランは言ってくれた、「もちろんあいてるよ。」って。ゴランが相手をしてくれてとてもうれしかったです。

Q:あなたはまさに「伝説的存在」(の過去の名選手)と共にゲームに臨んだわけですが、ちょっと振り返ってみると、全豪オープンでのロッド・レーバー、昨年の秋はタイガー(ウッズ?)、彼らと比較して今日のボルグさんはどうでしたか。

RF: もちろんすばらしい選手が見に来てくれるのはうれしいことです。特に昨年(今年?)の全豪では感激しました。ロッド・レーバーが僕にトロフィーを渡してくれたんです。文字通り彼のコートでね(ロッド・レーバー・アレーナ)。それでようやくほんとに全豪を勝ったんだって実感できました。なにしろ疲れきっていたもので。

今回はまた違う経験でした。ボルグさんがコートに降りてきて僕にトロフィーを渡してくれるなんてことは思ってなかったですが、ボルグさんがスタンドで見てらっしゃる姿を見るだけで、誇りで胸がいっぱいになりました。精神的にプレッシャーも感じましたがそれは優勝した瞬間吹き飛びました。親友やガールフレンドと喜びを分かち合うことは僕にとってとても大切なことなんです。

でももちろんその後ボルグさんにお会いできてとても幸せでした。あんなすばらしい人と時間を過ごせるなんて。

Q: あなたはナダルと最近の6つのメジャーな大会(グランド・スラム)の決勝のうち4回も(昨年の全英、全仏、今年の全仏 全英)戦っていますね。
これはまさにライバル関係というわけですよね。これはどうですか? それともあなたはあるときはサフィンあるいはロディック、あるいはヒューイットととの方がいいんですか? 決勝で当たるのは?

RF: いや、僕は気にしませんよ。僕は自分の勝ち分は勝つし、彼は彼の勝ち分は勝ってます。すばらしいライバル関係ですよ。僕らはもう100週間もワン・ツー・フィニッシュ(世界ランク1位と2位)ですから。偉大なライバル関係を作り上げていると言ってもいいかな。

でも皆さんのご期待に添えないときもありますよね、ここのところのメジャーな大会では特にね。(決勝で当たらなかった)いろいろ問題があってね。それにファイブセットマッチを戦えるなんてなかなかないことですから、きょうは楽しかったよ。しかも僕が勝ったんだから言うことないね。

Q: あなたはすでに相当なことを成し遂げていますが、テニスにおいてまだ残っている野望はありますか?

RF:たくさんありますよ。全仏とデビス・カップとオリンピックは勝ってない。ほかの試合もまだ勝ちたいし。でも全部勝てなくってもいいんです。すごく楽しんでますから。

僕はテニスを楽しんでやりたいのです。年がら年中、自分にプレッシャーを与えるだけではなくてね。だってもし自分が例えばオリンピックで勝てなかったら、僕は一生安眠できないでしょう。そういう生き方はしたくない。

僕は今の調子でツアーしていてすごく楽しいし、特にウィンブルドンは最高の大会ですから、いついかなる時も愛すべき瞬間でした。それだけははっきりしてます。

Q: ピート・サンプラスの記録に並ぶのにあと3つです。より現実的なものと感じられようになりましたか? まだこんなに若いのに。

RF:それは確かに頭にはありますよ。でも、また言いますが、彼の記録を破らなきゃだめだなんて、おいそれと言える事ではありませんよ。

ピート・サンプラスはおそらく人類史上最高の選手です。だから彼の記録を破るなんてことはたやすいことではないと、僕にはわかってます。ここまで彼の記録に迫るのに、ウィンブルドンを5回勝って、全豪と全米をそれぞれ3回ずつ勝たなくてはいけなかったんです。それだけでもどんだけ彼がすごいかわかるというものです。

僕が今後どのくらいの間、今の調子でプレーを続けていけるかはわかりません。ただ、自分が精神的にも肉体的にもまだ何年もやっていけることは確信していますよ、でもだからといって、優勝し続けていけるとは限らないのです。自分自身にそれを課し、可能性を追及しなくてはいけないのです。

僕は今までそうやってきました。サンプラスの記録に並ぶことを熱望していますし、それを第一に考えています。僕の憧れの存在だったサンプラスと同じレベルになるということは、まだ道半ばであってもすばらしいことです。僕はまだそこにたどりついてはいませんが。

Q: あなたはビヨン・ボルグの若い頃のプレーをどのくらいビデオでご覧になってます?

RF:あんまり見ていません。

Q:あなたのプレーと共通点はありますか?

RF: あんまりないと思うんですが(微笑みながら)。ちょっと今考えてみても、うんやっぱりあんまりないですね。コートでの態度は似ていると思いますが、プレースタイルは違いますね。違うと思います。

Q: ファイナル・セット、ゲームカウント1-1でのブレークポイントとゲームカウント2-2でのブレーク・ポイントで、あなたはもうだめかもと肝を冷やしたのでは?

RF: えぇ、ちょっとね。そりゃそうです。こんなでした。どうしよう、もうダメだ(笑)、いやだ~

とてもきつい局面でした。僕はナーバスになってました。最初のブレークポイントは多分逃れられるだろうと思っていました。次にまたラファのブレークポイントが来たときはこんな感じでした。まいったな、またかよって。

この危機を回避できるのか僕にはわかりませんでした。芝のコートではいいサーブをすることが必要です。ベースラインの打ち合いでは、ラファは試合の終盤においてはやや優勢に立っていましたから。

でも僕はいいサーブをして賢くプレーできました。僕の判断は正しかったんです。だからこういう結果になったんです。この危機を脱したとき僕はしめたと思いました。ラファが自分のチャンスをうまくいかせなかったからです。僕にチャンスが来たら僕は逃さない。そして実際、そうなったのです。

(中略)

Q: このウィンブルドンの勝利が5連覇だったということや記録的意味をおいといても、これは充分スペシャルなものだったでしょう? あなたがこんなに試練を受けたわけですから。あなたは普通のトーナメントでも、ウィンブルドンの決勝においてさえも、5セットまで戦ったことはなかったんですから。だから勝利の味も格別でしょう。勝ち取るのに死力を尽くしたんですから。

RF: どうかな。グランド・スラム大会の決勝でファイナル・セットまで戦ったことは初めてだと思います。それだけでも感覚が麻痺してきますね、終盤では体力的にも精神的にも消耗しきっていますから。

最後まで精一杯戦い続けるのみです。そして最後の瞬間に勝者でいられることを望むのです。さもなければあとちょっとのところで悔し涙を流すことになるんです。

記録がかかっていたので、それこそいろんな記録が、なんやかやでプレッシャーがすごかった。僕はここ数年5セットマッチをファイナルセットまでもつれこんだことはなかったんです。記録を見るとね。つまり僕は圧倒的に勝つか、ころっと負けるかのどっちかだったわけです。

でも最近は5セットマッチの試合を負けてるというわけではありませんから。これがビッグマッチで、多分僕の人生で最大の試合であるとわかってましたから。勝者として勝ち抜けて実にうれしいです。

(中略)

Q: あなたは第4セットで審判に文句を言いましたが、子供のとき以来の大激怒だったんじゃないですか?

RF: 激怒したわけじゃありませんよ。審判と普通に会話しただけですから、激怒じゃありません。激怒ってのはもっと違うでしょ。もし見たいなら激怒してお見せしますよ、多分勘弁だと思われるでしょうが(笑)。

僕は第4セットの第1ゲームでブレークされていたのに、また第3ゲームもブレークされたのでいらいらしていたんです。審判だってあのボールはアウトだってコールしたんです。ラモスさんだってあれが入ってたなんて信じられなかったでしょう。僕なんかショックを受けちゃいましたよ。

僕は突然こういう思いにとらわれたんです。僕がチャレンジしても全部失敗しちゃうんじゃないかって。何もかもすべてが裏目にでちゃうって。

だからそういう思いを振り払うのに、何ゲームかが必要でした。そしてファイナル・セットに備えたのです。ありがたいことにそれでうまくいきました。

(了)

*****************


*チャレンジシステムについて:

フェデラー大激怒。第4セット、ナダルのゲームカウント3-0、チェンジ・コート時にフェデラーは審判のカルロス・ラモスさんに毒づいた。

"Happy challenge!"

"How in the world was that ball in? Shit. Look at the score now. It's just killing me today. What is this system?"

「いったいなんだってあのボールがインなんだよ。
くそっ! ひどいスコアになった。ホークアイのせいで負けそうだ! 何だってんだよ、このシステムは!」


Federer was heard using an expletive(***) during the changeover after saying the system "is killing me".

"I was frustrated because already I got broken and then to be broken this way was very irritating.

"The umpire told me, too, he saw the ball out. He couldn't believe it was in. I was like, all of a sudden, anything you challenge now is just going to go against me."

Federer let fly a four-letter word while complaining about line machine Hawk-Eye midway through the fourth set.
The BBC promptly apologised for his language.
"sorry about that --"
"but he used the word -"

** このチャレンジで30-40となり、ナダルにブレークされる。

breathe down …'s neck = 人の一挙手一投足に気を配る.
outplay = To surpass (an opponent) in skill or technique or in scoring points.
get [gain, have] the upper hand (of, over) (…より)優勢である; (…を)支配する
*** expletive = 罵り言葉 この場合は "S-H-I-T" とおっしゃいました。


Wimbledon 2007
25 June - 8 July

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