車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

爆笑の奥野禮子

2009年02月18日 | 経済一般

奥野禮子氏(人材派遣会社ザ・アール社長)の「派遣切り・社会が悪いは本末転倒」というのがgooの特集記事で出ていた。内容は、この人を知っている人には読まなくてもわかると思うが、お約束の自己責任論、派遣社員批判である。

このような主張の最大の問題は、経済学的な理論にまったく基づいていないということだ。だから当然評論家や労働組合関係者、政治家の中にはこのような発言に賛意を示す人がいるが学者はそのようなものを支持したりはしない。経済学的には、資源の分配がどのようにしたら効率的になるかを考える。そして、所得の分配がどのようにしたら公平になるかを考える。どちらの議論においても、労働市場が分断されて流動性がないという状態は資源の分配・所得の分配いずれにおいても、まったくもって望ましくないので問題外だ。

唯一この人の発言で正しいとしたら小泉改革を非難するのはおかしいという点だろう。確かに、小泉改革に現在の問題の責任を求めることはおかしく、最大の原因は正社員の保護が強化されすぎその保護を緩和することが出来なかったことである。しかし問題は、現在のような正社員と非正社員との身分制社会が発生した原因は、奥野禮子氏のような人物が労働組合にとって都合のいい労働制度を容認し、正社員と特権を剥奪するような改革を断行しようとしなかったことになる。その意味で、奥野禮子氏には間接的に労働組合が求めるような労働市場改革を支援したという責任があるといえるだろう。

これは、結局のところ新自由主義を唱えているつまりになっていた人が実はそれからかけ離れた非自由競争的な制度を間接的に支援してしまったということに過ぎない。その点で、労働組合ともども奥野禮子氏には非常に大きな責任があるといえるだろう。

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