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金利規制と総量規制

2009年06月15日 | 経済一般

貸金業法が改正されて以来貸し出し金利の低下が進んでいる。理由は二つほどあって、一つは大手消費者金融によるカルテルが政府の介入によって壊されたことで、もう一つは違法な取立てがより強く規制されるようになったことだ。

長年消費者金融大手4社は4社間のみで顧客の信用情報をやり取りし、実質的なカルテルによって他の大手金融会社の参入を阻んできた。この実質的なカルテルが、総量規制と同時に行われた信用情報の共有によって破壊されたことが、金利競争を生み貸出金利の低下を生んでいる。貸金法改正によって借りられなくなった借り手がいると言っている馬鹿な人がいるが現実を見れば金利低下によって大部分の人が多大な恩恵を受けていることが分かる。

次に、信用情報の共有とも関係しているが、違法な取立てにより厳しい規制が掛けられることになったことが金利の低下のもう一つの要因である。以前は、信用情報をちゃんと得られず、違法な取立てが野放しだったので、銀行などが参入すると焦げ付きの山を気づいて撤退することになった。もし、片方は書面での連絡で、もう一方は家族への脅迫を当たり前のように行うのであればどちらに返済しようとするだろうか。書面で請求するところから借りてでも、脅してくるようなところから借りてくるだろう。そのような自体が発生した結果、大手の新規参入が阻害され金利が高止まりしていたのが昔の状態である。

貸し倒れ率や、アメリカとの比較をしてみればすぐ分かることであるが、一昔の消費者金融の貸し出し金利の高さは市場原理ではまったく説明できないものであった。そのようなことが可能だったのは、カルテルと違法行為による競争相手の排除という反市場的な行為を行っていたからである。だから、そのような状態を政府が積極的に介入することによって取り払ったというのは非常に大きな成果だったといえるだろう。

これからの、課題としてはこのような反社会的な消費者金融が存在したために破壊された日本の金融システムを再生していくことだろう。反社会的な消費者金融やノンバンクを野放しにした日本において、ちゃんとした小口の金融制度が存在せず、違法行為を当然のこととして取り締まってきた他の社会においては、そのような金融制度が経済の発展に大きく寄与していることは、消費者金融やノンバンクを一度破壊することが金融再生の第一段階であることを示しているだろう。しかし、本当の意味で日本に金融制度を復活させるためにはまだ長い道のりが残っていることも事実だ。

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