文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

キッシンジャーが『ロッキード事件は間違いだった。あれはやりすぎだったと思う』と密かに言った。

2024年01月27日 11時30分31秒 | 全般

以下は月刊誌WiLLに、角栄の一言「キッシンジャーにやられた」と題して掲載された、数少ない本物のジャーナリストの一人である佐々木類の論文からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
見出し以外の文中強調は私。

前文省略
キッシンジャーの呪い 
前項で米国の謀略の匂いがすると書いたのは、以下の理由による。 
折しも、第四次中東戦争に端を発するオイルショックから、角栄は世界を支配するオイルメジャーに対抗する形で、独自の資源外交を展開した。
これがニクソン米政権の虎の尾を踏み、「ロッキード事件の淵源となった」(「新潮45」2010年7月号、中曽根康弘元首相『私と角栄氏とキッシンジャーの言葉』)との見方があるからだ。 
他方、米国に先駆けて日中国交正常化を成し遂げた外交成果が、米国をいたく刺激したため、田中失脚の報復に出たとの見方もある。 
日中首脳会談直前の1972年8月、キッシンジャー米大統領補佐官は駐ベトナム米大使との会談で、「汚い裏切り者どもの中で、よりによってジャップがケーキを横取りしたのだ」(小学館・孫崎享著『アメリカに潰された政治家たち』)と語り、怒り心頭だったという。 
中曽根はのちに、「角栄逮捕後、来日したキッシンジャーと二人きりで話していた際、キッシンジャーが『ロッキード事件は間違いだった。あれはやりすぎだったと思う』と密かに言った。
彼は事件の本質、真相をおそらく知っていたに違いない」(「新潮45」同)と述懐している。
角栄の側近だった石井一元国土庁長官は、角栄の「キッシンジャーにやられた」との言葉を聞いている(産経新聞出版・石井一著『冤罪』)。

*石井一氏が民主党の副代表だった頃の事である。
私はビジネスで、年齢的には大先輩の、神戸市内で有数の工務店経営者にとても親しくさせて頂いた。
それには幾つかの理由があった。
弊社出入りの業者から、その経営者を紹介され、彼の本社で社長室に招かれたのが初対面だった。
初対面から意気投合した。
彼は、何と、長谷川武彦が長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)を創業した時からのメンバーで、腹心と言っていい存在の人物だったのである。
人生を大幅に横道にそれた私が、長谷工に途中入社した事が、不動産業を開始する事になった経緯は既述の通り。

その翌年のお正月だったと思うが、彼に自宅に招待された。
彼は私と同様に大の温泉好きだった。
神戸市の郊外に彼は豪邸を建てて、温泉を掘り、自宅に有馬温泉と同質の温泉を備えた浴室を作っていた。
当時、ゴルフフリークだった私が、頻繁に訪れていた神戸郊外のゴルフ場密集地帯の近所に彼の豪邸はあった。
友人を連れて訪問した私は、とびっきりの歓待を受けた。

おせち料理が所狭しと並べられた実に見事なお正月風景だった。
私も、このようにして、お正月の3日間を過ごすような人生を送っていたかったんだがな、と思いもしながら。

彼が堀った源泉の泉質は、天下の名湯である有馬温泉に勝るとも劣らず。
およそ、これ以上の贅沢はない。
夕食までご馳走になっていた頃、彼が後援会の会長を務めている上記の石井一氏が家族で現れた。
彼は、私が歌が上手であると知っていたからだろうが、石井氏に、私の歌を聞かせてくれと頼まれた。
数曲を歌わされる羽目になってしまった。

友人の帰りの時間がギリギリになって、ようやく、私は、素晴らしい正月の宴を去った。
石井氏は玄関先まで見送りに来てくれた。* 

日本全体が、米国の準備した用意周到な罠に嵌められ、嬉々として踊らされていたのである。
戦後、日本人をダマし、裏切ったのは、キッシンジャーだった。
キッシンジャーが2007年に来日した際、当時政治部デスクだった筆者は、都内のホテルで会見を開いた彼にロッキード事件について、その当時の所感を質問したことがあった。
気のない返事だったから中身は覚えていないが、筆者のほかに質問をした記者が皆無だったことは覚えている。 
このとき、キッシンジャーはすでに遠い過去の人となっていた。 
昨年11月に死去したキッシンジャーについて、米中外交を礼賛する追悼文は目にしたが、ロッキード事件に関して興味を引く論評は少なくとも筆者は目にしなかった。 
100歳となった同年7月に訪中し、習近平国家主席と面談した際は、「旧友は忘れ去られることはない」と持ち上げられて悦に入り、その老醜をさらしていた姿は見苦しかった。
この稿続く。

2024/1/25 in Kyoto


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