あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

血中のエイズウイルスが検出限界以下になっていました!

2006年09月29日 21時19分00秒 | FUZEON(T-20)体験記

  こんばんは。一昨日くらいから37.7℃くらいの微熱が止まらないsunburst2006です。でも体はそんなにつらくなくて、食欲もあります。病院で出る3食では足りなくて、売店でお弁当やらパンやらを買ってきて、一日4~5食は食べています。病院の食事が1800kcalくらいなので、合計すると3000kcalくらいになるでしょうか。
 HIVの症状の1つにスリム症というのがあって、病状が進むとどんどん痩せてきます。これはエイズ発症の1つの基準になることもあります(→
HIV感染とエイズ発症の違い=注1)。3000kcalというと、みなさん「どんだけ食ってんだ?」と思われるかも知れませんが、私の病状もかなり進んでいますので、実はこれくらい食べていないと体重が落ちてしまうのです。というわけでガンガン食べて、FUZEONを打つ皮下脂肪も増やしてしまおう大作戦です。お見舞いに来てくれた友人は「食ってる奴は死なねえっていうから、大丈夫そうだね」と言いましたが、確かによく食べるから体がここまでもっているのかもしれません。
 さてさて、そんなわけで今日もむしゃむしゃ食べながら、元気にブログを更新しているわけですが(笑)、1つ嬉しいお知らせがございます。

 HIVの病状を測る検査結果として、血中のCD4という免疫の量と、HIVのウイルス量というのが一番重要になってきます。特にHIVのウイルス量は、これが低ければそんなに悪さをすることができず、またウイルス量が低い状態を保てればウイルスの耐性化(抗HIV薬が効かなくなること)を防ぎやすいとも言われています。HIV治療の一番のポイントは、効果のある抗HIV薬を複数使い、HIVウイルス量を検出限界以下(UD:Under Detection)に保つことです。そうすれば、CD4は自然と増えてくることが予想されます。

 今は抗HIV治療(HAART)を中断していますが、私が9月5日にFUZEON(T-20)、Prezista(TMC-114)、ノービア(リトナビル)、ツルバダ(エムトリシタビン/テノホビル)のHAARTを開始する直前、私のHIVウイルス量はだいたい3万前後でした。
 HIVのウイルス量測定は誤差が多く、3万と2万ですら、誤差範囲と言われます。そのため、HIVウイルス量が減っているか増えているかは、ウイルス量が何桁あるかで見るようになっています。3万というと、3×104(10の4乗)ということで、私のHAART以前のウイルス量は「104(10の4乗)」という風に言われます。

 FUZEONの硬結によってHAARTを中断する直前の9月20日、ちょうどHAARTを開始して2週間くらいのところで、一度HIVのウイルス量を検査に出していました。この時点でどれくらいウイルス量が減っているかで、薬が効くかどうかの予測もできます。この結果が昨日返ってきまして、それが上の写真なのですが、見事、検出感度以下、400以下になっていました!
 大体、耐性ウイルスをもっていないHIV患者が、現在一番強いと言われているカレトラ(ロピナビル・リトナビル)を含めた3剤の治療を開始すると、2週間でこれくらいの結果になるそうですが、私のように耐性ウイルスだらけの体では、通常2週間でここまで下がることはあまり期待できません。そのため、医師もウイルス量の検査で、高感度検査という50まで測れるものと、通常検査の400まで測れるものの2種類があるのですが、まさかここまでは下がらんだろうということで、通常検査で出していました(写真でLT 400=Limit 400と書いてありますね)。
 400以下、いくつまで下がっていたかはわかりませんが、仮にウイルス量が400だったとしても、400は4×102(10の2乗)ということで、104(10の4乗)から見るとウイルス量は2桁(2log:2ログ)下がっていたということです。
 これが何を意味するかというと、
このHAARTを再開した際、耐性ウイルスができていなければかなりの効果が期待できるということです。FUZEONとPrezista、ノービア、ツルバダ、バンザイです。FUZEONに関しては多少腫れてても許してやります。
 ということで、ますます今の時期に耐性を作らないことが重要になってきました。HAART中断で血中のウイルス量が大きく増えてしまう前に、なるべく早くHAARTを再開できるよう、今は硬結の場所を必死で冷やしています。がんばりまーす。




注1:HIV感染とエイズ発症の違い

 HIV感染とエイズ発症は違います。HIV感染とは、簡単にいえばエイズウイルス(HIV)には感染しているが、まだ症状が出ていない状態を指します。それに対しエイズ発症は、23の指定された日和見感染症のいずれかを発症している状態を指します。この日和見感染症は、大体CD4の量が200を切ると(通常の人は大体600以上あります)発症する可能性が高くなります。今は薬も進化し、エイズを発症しても治療によって大分回復させることもできるようになってきましたが、脳症などを起こすと致命的な結果になることがあります。
 すべてのHIV感染者がエイズ発症するわけではなく、最近ではきちんとした治療(HAART)によってエイズ発症を遅らせることができるようになりました。また、時折、無治療のHIV感染者の中に、血中のウイルス量が低く、ほとんどCD4の量が下がらない人もいます。このような人は long term surviver、long term non-progressor と呼ばれ、彼らは長い期間を無症候で過ごしています。

 ちなみに私sunburst2006の場合、CD4が200を切ってすでに10年以上経つのですが、日和見感染症を起こしていません。これはかなり珍しいことであり、long term surviver、long term non-progressor とも違いますが、まさに幸運の糸を織りなすようにして生きのびてきたのだと思います。
 私は、人間、気合いさえ入っていれば何とかなるもんだと思っています。みなさん、どんな状況だってあきらめちゃダメですよ。