あちらこちら命がけ

血友病、HIV、B/C型肝炎等を抱えて生きる人のブログ。薬の体験記、海外の最新医療情報、サルベージ療法から日常雑感まで。

五年半待ったんだ!

2006年09月25日 10時52分42秒 | 私の原点
 9月22日、金曜日の朝からHAART治療(私の場合はFUZEON,Prezista,ノービア、ツルバダによる抗HIV治療)を中断して、今日で4日目。少しかゆみと、小さい湿疹がでてきた。
 HAART治療開始直後から、薬疹のような湿疹が体にでき、かゆみが強かったため、プレドニンというアレルギーを抑える飲み薬を使ったり止めたりしながらやってきた。きっと、FUZEONかPrezistaかの薬疹ではないかと思っていた。
 金曜日にFUZEONを含めたHAART治療を止めるため、プレドニンも切った。薬剤を使わなければ、湿疹は出ないだろうということで。

 そして、今日、少しかゆい。

 残っていた湿疹がでてきたのか。もしくは体内に薬剤が残っているのか。
 湿疹自体が薬剤と関係ない可能性も大きく、これは1つの仮説に過ぎない。しかし、つい考えてしまうのが、このようなことだ。
 例えばFUZEONが硬結を起こしている場所に残っているとして、薬を止めてもじわじわと体内にしみ出し、体を回っているとする。前に書いたように、効き目の弱い薬を単剤で使っていると、HIVのウイルスは耐性化することがある。耐性化すれば、その薬は二度と効かなくなってしまう。
 また、FUZEONは耐性化するのがかなり早く、一週間単位で耐性化する可能性もあると言われている。 もしこのような状態であるなら、ウイルスの耐性化のことを考えると怖い。
 
 私は五年半ほど前、ある医師から「このまま何の治療もしなければ、一年後の生存を保証できない」と言われた。
 それから五年半、私は薬を待ち続けた。

 五年半、徐々に悪くなっていく検査結果と向き合いながら、できることを全てやってきた。それでも、今年の初めには体調を崩して、二月から今まで、入退院を繰り返している。

 肝臓と免疫が特に悪い。

 肝臓の調子を表わすAST(GOT)、ALT(GPT)という数字があるのだが、これはそれぞれ30以下、60以下くらいが正常範囲。私は、今年の初め、この数値が300を越えたり越えなかったりというところまできてしまった。HAART開始前は、ありとあらゆる肝臓の治療をし、やっと150近くまできたが、正常範囲はまだ遠い。
 また、造血器官がやられているのか、白血球は1000台に減り、CD4という免疫細胞は1桁、貧血の所見も見られた。

 そんななか、この薬が届いた。
 ある医師は「よくここまで耐えた。薬が間に合ったぞ」と言った。

 この薬を使って2週間、肝臓の数値は70近くまで落ちた。これなら正常範囲も見えるかと、喜んだ。
 白血球は、倍くらいに増えた。貧血の程度も改善した。

 五年半、ウイルスの総攻撃を受けながら、この体はよく戦ってきた。一日も休まず、泣き言も言わず、防戦一方の戦いを見事にしのぎきってきた。
 9月5日、薬の援軍を得て、体は反転攻勢を開始した。どこにそんな力があったのか。驚異的な回復を見せた。細胞の1つ1つが、全てが全力だった。

 来る日も来る日も、圧倒的な戦力差をしのぎきってくれた体。薬が来た瞬間に、爆発的な力を見せてくれたこの体。体の声が聞こえるようだ。

  「まだまだ戦える。甘く見てもらっちゃ困る」

 そして今、抗HIV治療は中断された。しかし、五年半を耐え抜いた体のことを考えたら、負けるわけにはいかない。耐性ウイルスを作らせるわけにはいかない。




 私には、ありがたい恩師がいる。恩師は、常に私を励まし続けてくれている。私がもう死んでしまいたいと思っていたときには、生きろと叫んでくれた。その叫びは、私の心を震わせた。私の体を揺さぶった。
 そして、私の恩師は、私にこう教えてくれた。

 「戦いは、気迫で決まる! 臆すな! ひるむな!」

 私は、恩師が放ってくれた、強くあたたかな光を、烈々たる気迫を、生涯忘れることはない。恩師への恩を返したい、今度は自分が強くあたたかな光を放つ人間になっていきたい、そう思って私はsunburst2006と名乗り、このブログを開設した。

 これだけありがたい恩師がいて、しぶとい体がついている。さらには多くの仲間がいる。

 弱気になる必要がどこにある?
 希望を捨てる必要がどこにある?

 私は、今の体の硬結を治し、もう一度治療を再開する。そして、必ず勝つ。大丈夫だ。全く、負ける気がしねえ。

   sunburst2006