『トニ』 (-Toni- 1934年 95分 フランス)
-----STAFF-----
監督・脚本・台詞 ジャン・ルノワール Jean Renoir
脚本・台詞 カール・アインシュタイン Carl Einstein
製作 フィルム・トシュルデュイ
製作主任 ピエール・ゴー Pierre Gaut
撮影 クロード・ルノワール Claude Renoir
音楽 ポール・ボッツィ Paul Bozzi
美術 マリウス・ブロキエ marius Brauquier
原作 ジャック・ルベール
編集 マルグリット・ウーレ=ルノワール Marguerite Houlle=Renoir
シュザンヌ・ド・トロワ Suzanne de Troye
助監督 ジョルジュ・ダルヌー Georges Darnoux
アントニオ・カール Antonio Canor
演出見習い ルキノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti
出演
トニ..........シャルル・ブラヴェット Charle Blavette
ジョゼファ....セリア・モンタルヴァン Celia Montalvan
マリー........ジェニー・エリア Jenny Helia
アルベール....マックス・ダルバン Max Dalban
フェルナン....エドゥアール・デルモン Edouard Delmont
よそ者を嫌う、セバスチャンでもトニは気に入っていた.誰にでも色目を使うジョゼファなので、トニも嫌いではなかったのだから、もっと早く話をすればよかったのだけど.みんなが嫌うアルベールに先を越されてしまったのだった.
『ごめん、トニ、成り行きなの』
『がっかりだよ.あんなげす野郎と』
ジョゼファはトニに成り行きだと言い訳をして、トニもそれを受け入れてしまったのだけど.けれども、ジョゼファはアルベールよりも前に、ギャビーとも関係があったのだから、成り行きなんでどうでもよい事だったはず.
『家の値段を議論してるわ.ぶどう畑も、鶏も、兎と私も入ってるわ』
『あんたも家畜か?』
『美人のね』
・・・・・
『うれしくはないが、慣習通り婚約の乾杯だ』
『決まりを守るのは、重要なことだからな』
セバスチャンもアルベールがろくでなしのならず者と知りながら、習慣に従って結婚させることにしたのだけれど.予想通り、アルベールがロクに働きもせず、どうも女遊びに金を使って、破産に近い事になってしまったらしい.
関係が明かになったからと言って結婚することにした、ジョゼファとセバスチャン.成り行きに従い、習慣に従うなんて、馬鹿げたことだった.
『ねえ、ジョゼファを責めないで.隣同士じゃないの』
『一緒に結婚式をしてもいいのよ、経済的でしょ』
・・・・・
『いい結婚式だ.いい葬式と同じだな』
トニはともかくとして、ジョゼファもアルベールと一緒になるのは嫌で、トニと一緒になりたかったらしい.
経済的だからと言って、何とも馬鹿げた結婚式でした.
『カフェで誰を見たと思う?』
『金髪女を連れたアルベールだ.あれはもう寝てる.間違いない』
『ひどい話だな.それでジョゼファは?』
『2年はうまくやってたが、子供ができてからは間男してる』
『アルベールと2年は、長すぎたとも言えるな』
『背の高いやせた郵便配達だ』
ドミニクは、見たことを街中に言い触らす人間だったけれど、人の噂話は、皆、興味を持つものらしい.でも、噂話の内容なんて、馬鹿げた話に過ぎないみたい.
フェルナンドとトニ
『もう2年も恋人を待っている.お前の精神は普通じゃない』
『お前はマリーを待っている』
・・・・・
『ジョゼファと南米に行けば、別の人生と別の星が待っているんだ』
『見果てぬ夢だ、トニ』
『興奮しているから、頭を打つまで気付かない』
『目を覚まして地上に戻れ.我々の丘がある』
フェルナンドは、確かに一緒になれないマリーを待ち続けていた.それは馬鹿げたことかもしれないけれど、けれども、マリー、トニ、二人に対して、『おまえたちは幸せになる努力をしていない』と言った、努力すれば幸せになれると、言ったのです.決して、二人が別れることを、人の不幸を待っていたのではなかったはず.
マリーが好きでマリーを待ち続けていても、二人に、幸せになる努力をしろと言ったフェルナンドは、自分が馬鹿な人間であるのと分っていたのではないでしょうか.
ギャビーとトニ
『彼女が、どうしてお前と?』
『俺の愛人だもの、2年前から寝ている.アルベールより前だ』
・・・・
『俺の愛人だと言うのに.アルベールや俺に気を使えよ』
『知るか、昔は他の男を気にした.もう気にならない』
ジョゼファがアルベールを殺してしまい、関わり合いになるのが嫌なギャビーは、別れ話もせず、金だけ持って逃げていった.
成り行き任せで、誰とでも寝てしまうジョゼファだったけれど、ギャビーに捨てられて、やっと少しは、誰とでも寝てしまう自分のバカさ加減に気がついたのでしょう.そして、トニの自分を思う気持ちを、はっきりと理解したのだったけれど.
『やるべき事をするの』
ジョゼファはトニが警察に追われていることを知って、自首することにした.
ギャビーが悪いとは言え、あの時も逃げようと考えなければ、アルベールを撃ち殺すことにはならなかった.
そして、トニが誘ったとは言え、やはり逃げようとしなければ、トニも撃ち殺されることはなかったはず.
『迷わず成仏しろよ.ジョゼファは俺のものだ』
死体に拳銃を握らせながら、トニは馬鹿げたことを言っていた.
そして、ジョゼファをかばうために、彼は嘘を言い、そして逃げたのだけど、やはり逃げたりしなければ、馬鹿な男に撃ち殺されることはなかったはず.
『通るとは思わんが.隠れて見張っていろ.奴が見えたら、空に向かって撃て』
『知らせるだけで十分だからな』
『心配ない.見のがさんよ』
隠れていろと言われたのに、線路の上に立っていたこの馬鹿は、空に向かって撃って知らせろ言われたのに、トニを撃ってしまった.どうしようもない馬鹿だった.
ジョゼファとトニが、死体を荷車で山へ運ぶシーンを検閲でカットされてしまい、ジャン・ルノワールは怒ったそうです.
トニが言い出して、すぐに死体に拳銃を握らせる場面になってしまうのですが、本当は、二人にどうするか考える時間が描かれていたのですね.
『興奮しているから、頭を打つまで気付かない』
『目を覚まして地上に戻れ.我々の丘がある』
南米に逃げると言うトニに、フェルナンドはこう言ったのだけど、馬鹿なことはやめろと言ったのですね.
『迷わず成仏しろよ.ジョゼファは俺のものだ』
死体にこんなことを言っているトニは、やっとジョゼファと一緒になれると、やはり、興奮していたのでしょう.
冷静になれば、ジョゼファは自首できる人間だったのですが.
全てが、馬鹿げた出来事でした.
Sukebe
安上がりの結婚式は
葬式と同じだった
ジョゼファは、ちゃんと正しい判断が出来た
幾ら悪い奴でも、死んだことを喜んではいけない
どうしようもない馬鹿に
ジョゼファは俺のものだ、逃げて自分のものに、馬鹿なことを考えた結果は、
どうしようもない馬鹿に、馬鹿な目に合わされることになった.
-----STAFF-----
監督・脚本・台詞 ジャン・ルノワール Jean Renoir
脚本・台詞 カール・アインシュタイン Carl Einstein
製作 フィルム・トシュルデュイ
製作主任 ピエール・ゴー Pierre Gaut
撮影 クロード・ルノワール Claude Renoir
音楽 ポール・ボッツィ Paul Bozzi
美術 マリウス・ブロキエ marius Brauquier
原作 ジャック・ルベール
編集 マルグリット・ウーレ=ルノワール Marguerite Houlle=Renoir
シュザンヌ・ド・トロワ Suzanne de Troye
助監督 ジョルジュ・ダルヌー Georges Darnoux
アントニオ・カール Antonio Canor
演出見習い ルキノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti
出演
トニ..........シャルル・ブラヴェット Charle Blavette
ジョゼファ....セリア・モンタルヴァン Celia Montalvan
マリー........ジェニー・エリア Jenny Helia
アルベール....マックス・ダルバン Max Dalban
フェルナン....エドゥアール・デルモン Edouard Delmont
よそ者を嫌う、セバスチャンでもトニは気に入っていた.誰にでも色目を使うジョゼファなので、トニも嫌いではなかったのだから、もっと早く話をすればよかったのだけど.みんなが嫌うアルベールに先を越されてしまったのだった.
『ごめん、トニ、成り行きなの』
『がっかりだよ.あんなげす野郎と』
ジョゼファはトニに成り行きだと言い訳をして、トニもそれを受け入れてしまったのだけど.けれども、ジョゼファはアルベールよりも前に、ギャビーとも関係があったのだから、成り行きなんでどうでもよい事だったはず.
『家の値段を議論してるわ.ぶどう畑も、鶏も、兎と私も入ってるわ』
『あんたも家畜か?』
『美人のね』
・・・・・
『うれしくはないが、慣習通り婚約の乾杯だ』
『決まりを守るのは、重要なことだからな』
セバスチャンもアルベールがろくでなしのならず者と知りながら、習慣に従って結婚させることにしたのだけれど.予想通り、アルベールがロクに働きもせず、どうも女遊びに金を使って、破産に近い事になってしまったらしい.
関係が明かになったからと言って結婚することにした、ジョゼファとセバスチャン.成り行きに従い、習慣に従うなんて、馬鹿げたことだった.
『ねえ、ジョゼファを責めないで.隣同士じゃないの』
『一緒に結婚式をしてもいいのよ、経済的でしょ』
・・・・・
『いい結婚式だ.いい葬式と同じだな』
トニはともかくとして、ジョゼファもアルベールと一緒になるのは嫌で、トニと一緒になりたかったらしい.
経済的だからと言って、何とも馬鹿げた結婚式でした.
『カフェで誰を見たと思う?』
『金髪女を連れたアルベールだ.あれはもう寝てる.間違いない』
『ひどい話だな.それでジョゼファは?』
『2年はうまくやってたが、子供ができてからは間男してる』
『アルベールと2年は、長すぎたとも言えるな』
『背の高いやせた郵便配達だ』
ドミニクは、見たことを街中に言い触らす人間だったけれど、人の噂話は、皆、興味を持つものらしい.でも、噂話の内容なんて、馬鹿げた話に過ぎないみたい.
フェルナンドとトニ
『もう2年も恋人を待っている.お前の精神は普通じゃない』
『お前はマリーを待っている』
・・・・・
『ジョゼファと南米に行けば、別の人生と別の星が待っているんだ』
『見果てぬ夢だ、トニ』
『興奮しているから、頭を打つまで気付かない』
『目を覚まして地上に戻れ.我々の丘がある』
フェルナンドは、確かに一緒になれないマリーを待ち続けていた.それは馬鹿げたことかもしれないけれど、けれども、マリー、トニ、二人に対して、『おまえたちは幸せになる努力をしていない』と言った、努力すれば幸せになれると、言ったのです.決して、二人が別れることを、人の不幸を待っていたのではなかったはず.
マリーが好きでマリーを待ち続けていても、二人に、幸せになる努力をしろと言ったフェルナンドは、自分が馬鹿な人間であるのと分っていたのではないでしょうか.
ギャビーとトニ
『彼女が、どうしてお前と?』
『俺の愛人だもの、2年前から寝ている.アルベールより前だ』
・・・・
『俺の愛人だと言うのに.アルベールや俺に気を使えよ』
『知るか、昔は他の男を気にした.もう気にならない』
ジョゼファがアルベールを殺してしまい、関わり合いになるのが嫌なギャビーは、別れ話もせず、金だけ持って逃げていった.
成り行き任せで、誰とでも寝てしまうジョゼファだったけれど、ギャビーに捨てられて、やっと少しは、誰とでも寝てしまう自分のバカさ加減に気がついたのでしょう.そして、トニの自分を思う気持ちを、はっきりと理解したのだったけれど.
『やるべき事をするの』
ジョゼファはトニが警察に追われていることを知って、自首することにした.
ギャビーが悪いとは言え、あの時も逃げようと考えなければ、アルベールを撃ち殺すことにはならなかった.
そして、トニが誘ったとは言え、やはり逃げようとしなければ、トニも撃ち殺されることはなかったはず.
『迷わず成仏しろよ.ジョゼファは俺のものだ』
死体に拳銃を握らせながら、トニは馬鹿げたことを言っていた.
そして、ジョゼファをかばうために、彼は嘘を言い、そして逃げたのだけど、やはり逃げたりしなければ、馬鹿な男に撃ち殺されることはなかったはず.
『通るとは思わんが.隠れて見張っていろ.奴が見えたら、空に向かって撃て』
『知らせるだけで十分だからな』
『心配ない.見のがさんよ』
隠れていろと言われたのに、線路の上に立っていたこの馬鹿は、空に向かって撃って知らせろ言われたのに、トニを撃ってしまった.どうしようもない馬鹿だった.
ジョゼファとトニが、死体を荷車で山へ運ぶシーンを検閲でカットされてしまい、ジャン・ルノワールは怒ったそうです.
トニが言い出して、すぐに死体に拳銃を握らせる場面になってしまうのですが、本当は、二人にどうするか考える時間が描かれていたのですね.
『興奮しているから、頭を打つまで気付かない』
『目を覚まして地上に戻れ.我々の丘がある』
南米に逃げると言うトニに、フェルナンドはこう言ったのだけど、馬鹿なことはやめろと言ったのですね.
『迷わず成仏しろよ.ジョゼファは俺のものだ』
死体にこんなことを言っているトニは、やっとジョゼファと一緒になれると、やはり、興奮していたのでしょう.
冷静になれば、ジョゼファは自首できる人間だったのですが.
全てが、馬鹿げた出来事でした.
Sukebe
安上がりの結婚式は
葬式と同じだった
ジョゼファは、ちゃんと正しい判断が出来た
幾ら悪い奴でも、死んだことを喜んではいけない
どうしようもない馬鹿に
ジョゼファは俺のものだ、逃げて自分のものに、馬鹿なことを考えた結果は、
どうしようもない馬鹿に、馬鹿な目に合わされることになった.