映画と自然主義 労働者は奴隷ではない.生産者でない者は、全て泥棒と思え

自身の、先入観に囚われてはならない
社会の、既成概念に囚われてはならない
周りの言うことに、惑わされてはならない

はたらく一家

2013年01月26日 03時00分42秒 | 成瀬巳喜男
(1939/03/11 65min)

1937年7月、北支事変より日中戦争が始まり、1938年4月1日、国家総動員法により管理統制経済に移行し、戦時色を強めていった.社会問題を扱う映画の場合、軍国主義に傾倒して行く時代背景が、大きな影響を与えていることは、考慮しなければなりません.
そしてもう一点触れておけば、戦前は、高等教育よりも兵士、男の子の高等教育の学費は、べらぼうに高かったそうです.
----------------------------------------

さて、はたらく一家.
現在でも、子供が3人いたら、大学まで行かせようとすると至難の業.
こんなに沢山子供がいたら、満足に学校へ行かせることが出来ないのは、現在でも同じです.
一番にいけないのは、子供が沢山いすぎることなのですが、この映画、何が言いたいのでしょうか?
と考えると、小学生くらいの子供が小銭を貯めていたのだけど.
隣家の結婚祝いだったと思うのですが、親が子供のお金を借りようとしたら、その子は、兄弟を引き連れて食堂へ行き、皆で好きな物を食べて、お金を全部使ってしまった.
その時、家族が何か困ったことになったかと言えば、特に困ったことにもならなかったのですが.それはさておき、親が親が子供のお金を当てにすること、それが間違っているのだ、と、この点は明瞭に描かれていると言えます.
子沢山は置いておくとして、親が子供の稼ぎを当てにしている事、これが一番いけないことであり、その点は、現在でも何も変わることはありません.

なんとも中途半端で終わってしまう感が拭えない点は、やはり成瀬巳喜男の演出のせいだと、非難を受ける事になるのでしょうか?.
けれども、現実の問題として解決策がない問題は、このような終わり方しか出来ないのも、事実と言わなければなりません.自分たちが変わって行かなければ解決しない問題なのですから.
こう考えると、戦時色とは関係のない作品なのですが、体制批判と受け取られないように余計な苦労をするような、やはり表現としては戦争の影響を受けているのではないのか?、もう2年ほど前に撮られていれば、もう少し違った演出が出来たのではないのか、と思えます.
(へたくそと言ってしまえば、それまでですが)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。