京都が好き 写真が大好き by たにんこ

長く写真をやってると 
聞こえないものまで 
聞こえてくるんだな

宝物

2006年06月30日 20時39分39秒 | Weblog
写真上「手乗り猫」
写真仲「猫のトイレ」
写真下「お出かけ用キャリー」

ドンキーに行って 色々見て来た。
勿論猫用グッズだけど。
最初トイレは 発泡スチロールだったけど 良いのが有ったので買って来た。
トイレ入り口の前に有る ティッシュケースがひっくり返っているのは 猫用階段だ。
猫がちっちゃいから 階段を付けてやった。
キャリーは…明日土曜日 待ちに待った病院の日なんだ。
予約制だから予約していた。
で 病院に行く為のキャリーだ。
これ一種類しか売ってなかったけど 仕方が無いよな…
家の近くに 動物病院が有るのを発見したので そこに行くんだ。
診察料金表を見て…おんちゃんは「………何だそれ!?そんなに高いの?」とか言っている。
当たり前の話し 猫や犬が小さいからと言って 一匹あたり500円は無いだろう。
二匹で2万円近くかかるようだ。
電話予約の時に 症状を詳しく説明しておいた。
しかし もう既に5万円近くもかかっているけど これも覚悟の上だから。
ある人と その話をしたら「えぇ~~~!!!???そんなにかかるんですか?」
驚くんだったら 飼わなければいいだけの話だ。

以前 向こうで暮らしをしていた時に(20年前くらい前)黒い猫が交通事故で入院した事が有る。
その時健在だったお袋は「お前…楽にしてやれ…可愛そうで見ていられない」と涙声で言うんだ。
楽にしてやれ…と言う事は おれが命を奪う…と言う事で つまり殺せ とお袋は言っている。
切れた…完全に切れちゃった。
お袋に向かって「てめ~!自分が何を言っているのか 分ってるのか!」と怒鳴った記憶がある。
黒い猫の「くろ」は おれの腕の中で薄目を開け「ひゃぁ~ひゃぁ~」と 元気無く鳴いているだけだ。
もうその時は車のドアを開けて お袋に「さっさと乗れ!」と怒鳴っていた。
病院に着いて説明をしたら 先生は「助からないのを覚悟していて下さい。
これから手術をします」と言った。
待つ事数時間 手術が終わって説明を受けた。
今日明日が山場だと言う。
先生は「朝昼晩と電話をかけ 容態を説明してあげます」と言ってくれた。
しかし「くろ」は順調に回復して 20数日目には退院した。
かかった金額は 20万円くらいだった。

お袋は「これで当分…おかゆかうどん…だな」と小さい声で しかし おれに聞こえるように言ったんだ。
不思議と後悔はしなかった。
金額の事じゃあない 入院させて助けてやった事をだ。
その後お袋は「脳梗塞」で倒れ おれには 一般世間で言う「姉」と言うものが 三人居るが
口々に「あたしは忙しいから」「あたしは用事があるから」と言い 
植物状態になったお袋を 誰一人として看ようとはしなかった。
おれはその当時 バンドで飯を食っていた。
希望の有る将来性も有るバンドを 自ら捨てた。
結婚を予定していた恋人とも 別れた。
24時間病院で暮らす事を強いられ その条件を受けないと 出て行かなければいけなかったんだ。
ICUに入ったきりのお袋を 24時間看ていた。
ICUから出て一般病棟に移り 意識が戻った時…最後の会話になっちまった…
その時「女三人」も偶然にも来ていたんだ。

お袋のベッドの下にいたおれを 三人が「お母さんが あんたを呼んでいるよ」と言うんだ。
「何だよ!?我侭か?」と言ったらお袋は そんな力がどこから出て来たのか…
部屋中に聞こえるように こう言った。
「あんたの事…○○○を生んで 本当に良かった…」と言った。
これを聞いた「女三人」は さっさと帰ってしまった。
それからお袋は口を閉ざしてしまい 二回目の梗塞を最後に 約2年間植物状態になったんだ。
地獄だったよ。
あぁ言う事を 生き地獄と言うんだ。
お袋の首を絞めて 自分も自殺しようとした事は 数え切れないほどだった。
おれに かすかな希望と勇気を持たせてくれたのは 誰有ろうお袋だった。
「あんたを生んで 本当に良かった」
その言葉だけを 生きがいとしたんだよ。

弱ったお袋が高熱を出し 又ICUに入ってしまった。
病院側から「今度は覚悟をしていて下さい」と言われ 数時間だけ家に戻る事が出来た。
何のことは無い 親戚中に「もう駄目だ」と電話を掛ける為だ。
知り合いに餌を頼んでいて 結構元気な「くろ」は おれとの久しぶりの再会を嬉しがっていた。
部屋中を片付け 親戚中に連絡をし「くろ」と別れなければ行けない時間に 事故は再び起きた。
「くろ」が交通事故で逝ってしまった。
さっきまで おれの傍にいたのに…
泣きながら庭にお墓を作ってやり 神を恨んだよ。
庭から戻ってきたら 病院からの電話が有った。
「お母さんの熱も下がり 意識も安定しています」との事だった。
神のイタズラ…とさえも思ったんだ。
「くろ」が…お袋を助けた…と思った。
「くろ」を 一番可愛がってたお袋を 「くろ」が自らの命と引き換えに…
力が抜けてしまったのを 今でも覚えている。
病院に戻るまでは 約1時間くらいあった。
「くろ」に感謝の言葉を言うには 十分に有った。

おれは お袋の言葉を「宝物」としている。
子供として最大級の言葉を 最後の最後に言ってくれた。
「あんたを生んで 本当に良かった」
これ以上の言葉 今も見つからない。
おれは「子猫を育てて 本当に良かった」と 言えるようにしたいんだ。
お袋がおれに言ってくれたように おれはこの猫達に言いたいな。