一ヶ月前の事。
おんちゃんが仕事から帰って来て 開口一番「大切な話があるんだけど 聞いてくれるか?」と言った。
おれは黙って居たんだ。
二階に上がり 着換えを済ませたおんちゃんは「あの…小猫達 あげちゃうのか?」
おれは即座に「当たり前だ。いくら生活が安定して来たからって おめぇ~自分の事も禄に出来ないのに…」
と良い掛けた時 おんちゃんは「お願いします! 小猫が居なくなる寂しさは沢山なんだ。
おうちで飼うべ。頼むから」と 何度も頭を下げた。
暫らく考えた。
その時小猫達は 御飯を食べ終えて おれの膝にそれぞれ両手を乗せ「何を話しているの?ぼく達の事?」
とでも言っているかのように 不思議そうに小首をカシゲ おれを見ていた。
おんちゃんに「2~3日考える」とだけ言った。
事件は起きた。
相変わらず 大運動会をする。
それに小鉄が加わるから 物凄い迫力だ。
20~30分くらい経った時だった。
おれは寝ようとして 二階に上がりかけた時 しろが階段の途中で寝そべっていた。
うずくまり 一生懸命両頬を引っ掻いている。
気にもせず 二階に上がり 布団に潜り込んだ。
眠りに入りかけた時に 小鉄が鳴きながら部屋に入って来たんだ。
小鉄がおれの部屋に入ってくるのは めちゃくちゃ珍しい事だ。
鳴き続けている。
時計を見たら 布団に潜り込んでから まだ20~30分しか経ってない。
「ウルサイ!」と怒鳴っても 小鉄は鳴き続けている。
枕をぶつけようとして起きたんだ。
小鉄は おれを見ながら…おれの顔と入り口を 交互に見て鳴いている。
「何なんだ?! 小鉄 良い加減にしろよ!」と怒鳴っても…
小鉄は鳴きながら部屋を出て行き 又戻って来ては 同じ動作をするんだ。
マサカと思ったけど「しろか?」と言うと 小鉄は猛烈な勢いで階段に行った。
飛び起きて 階段の途中まで行くと しろの様子がおかしい。
しろは 必死で両頬を引っ掻いている。
両脇には 兄弟の小次郎とたまが 悲しそうな顔で座っている。
しろを抱き上げ 階下の部屋に行き 膝の上に仰向けにすると しろは苦しそうに寝返りをうち ウズクマル。
両頬を ずっと引っ掻いている。
再び仰向けにした。
しろは泣いていた。
目から涙をこぼし…???…???…
おれの顔を見ながら 悲しそうな顔をして 両手を合わせるんだ。
震えている。
全身痙攣だ。
両手を合わせながら 又両頬を引っ掻く。
「お願い助けて 助けて 苦しい」と言ってる。
その時しろは 口を開けた。
又閉じて 又開ける。
痙攣しながら 何度も同じ動作をするんだ。
「ちきしょう!口だったんだな!?」と言い しろの口を手で思い切り開けた。
何も無い…どうしてだ???
しろは凄い力で口を閉じ…又口を開けて震える。
おんちゃんが帰って来た。
おれは「早く入れ!」と怒鳴ると おんちゃんは「何で???…どうしたんで?」と言いながら 部屋に入って来た。
「ニッパーと工具類出せ!」って怒鳴り しろの口を開け よくよく見た。
綺麗なピンク色の上顎と下顎以外 何も無いんだ。
口を閉じる瞬間 おれは見逃さなかった。
茶色い物が 一瞬だけど 目に入ったんだ。
おんちゃんに手伝ってもらいながら 口を開けて 上顎を見ると…
ピンク色のヒダヒダの隙間に 茶色い細い物が隠れていて 横一直線に挟まっている。
小さいニッパーを出して来たおんちゃんに ニッパーを返した。
小さいニッパーでも無理だからだ。
指を突っ込んだ。
そ~~~っと指を入れ その細い謎の物体に指が届くと 掴んで一気に引っ張り出した。
その物体は 爪楊枝位の細さの 木の枝だった。
しかも めちゃくちゃ硬い木の枝だ。
一瞬で楽になったしろは 暫らく仰向けになり 相変わらず両手を合わせて ぽかんとしている。
おんちゃんは「あぁ~~~???!こんなもの挟まっていたのか!」と 驚いてる。
しろは起き上がり 膝から降りると おれの目の前にきちんとお坐りして おれを見つめてる。
おれはしろを見つめながら おんちゃんに言ったんだ。
「おめぇ~覚悟は出来てんだろうな?」
小猫達に おんちゃんは「よかったなぁ~!ちょっと待ってろ」と言いながら 冷蔵庫からビールを出した。
ジョッキに注いだビールを しろは不思議そうに見てる。
3人の小猫達が増えた。
誰も見向きもしない 気にもさえしない 小さい小さい木の枝一本と
3人の小猫達の運命と 引き換えだった。
おんちゃんが仕事から帰って来て 開口一番「大切な話があるんだけど 聞いてくれるか?」と言った。
おれは黙って居たんだ。
二階に上がり 着換えを済ませたおんちゃんは「あの…小猫達 あげちゃうのか?」
おれは即座に「当たり前だ。いくら生活が安定して来たからって おめぇ~自分の事も禄に出来ないのに…」
と良い掛けた時 おんちゃんは「お願いします! 小猫が居なくなる寂しさは沢山なんだ。
おうちで飼うべ。頼むから」と 何度も頭を下げた。
暫らく考えた。
その時小猫達は 御飯を食べ終えて おれの膝にそれぞれ両手を乗せ「何を話しているの?ぼく達の事?」
とでも言っているかのように 不思議そうに小首をカシゲ おれを見ていた。
おんちゃんに「2~3日考える」とだけ言った。
事件は起きた。
相変わらず 大運動会をする。
それに小鉄が加わるから 物凄い迫力だ。
20~30分くらい経った時だった。
おれは寝ようとして 二階に上がりかけた時 しろが階段の途中で寝そべっていた。
うずくまり 一生懸命両頬を引っ掻いている。
気にもせず 二階に上がり 布団に潜り込んだ。
眠りに入りかけた時に 小鉄が鳴きながら部屋に入って来たんだ。
小鉄がおれの部屋に入ってくるのは めちゃくちゃ珍しい事だ。
鳴き続けている。
時計を見たら 布団に潜り込んでから まだ20~30分しか経ってない。
「ウルサイ!」と怒鳴っても 小鉄は鳴き続けている。
枕をぶつけようとして起きたんだ。
小鉄は おれを見ながら…おれの顔と入り口を 交互に見て鳴いている。
「何なんだ?! 小鉄 良い加減にしろよ!」と怒鳴っても…
小鉄は鳴きながら部屋を出て行き 又戻って来ては 同じ動作をするんだ。
マサカと思ったけど「しろか?」と言うと 小鉄は猛烈な勢いで階段に行った。
飛び起きて 階段の途中まで行くと しろの様子がおかしい。
しろは 必死で両頬を引っ掻いている。
両脇には 兄弟の小次郎とたまが 悲しそうな顔で座っている。
しろを抱き上げ 階下の部屋に行き 膝の上に仰向けにすると しろは苦しそうに寝返りをうち ウズクマル。
両頬を ずっと引っ掻いている。
再び仰向けにした。
しろは泣いていた。
目から涙をこぼし…???…???…
おれの顔を見ながら 悲しそうな顔をして 両手を合わせるんだ。
震えている。
全身痙攣だ。
両手を合わせながら 又両頬を引っ掻く。
「お願い助けて 助けて 苦しい」と言ってる。
その時しろは 口を開けた。
又閉じて 又開ける。
痙攣しながら 何度も同じ動作をするんだ。
「ちきしょう!口だったんだな!?」と言い しろの口を手で思い切り開けた。
何も無い…どうしてだ???
しろは凄い力で口を閉じ…又口を開けて震える。
おんちゃんが帰って来た。
おれは「早く入れ!」と怒鳴ると おんちゃんは「何で???…どうしたんで?」と言いながら 部屋に入って来た。
「ニッパーと工具類出せ!」って怒鳴り しろの口を開け よくよく見た。
綺麗なピンク色の上顎と下顎以外 何も無いんだ。
口を閉じる瞬間 おれは見逃さなかった。
茶色い物が 一瞬だけど 目に入ったんだ。
おんちゃんに手伝ってもらいながら 口を開けて 上顎を見ると…
ピンク色のヒダヒダの隙間に 茶色い細い物が隠れていて 横一直線に挟まっている。
小さいニッパーを出して来たおんちゃんに ニッパーを返した。
小さいニッパーでも無理だからだ。
指を突っ込んだ。
そ~~~っと指を入れ その細い謎の物体に指が届くと 掴んで一気に引っ張り出した。
その物体は 爪楊枝位の細さの 木の枝だった。
しかも めちゃくちゃ硬い木の枝だ。
一瞬で楽になったしろは 暫らく仰向けになり 相変わらず両手を合わせて ぽかんとしている。
おんちゃんは「あぁ~~~???!こんなもの挟まっていたのか!」と 驚いてる。
しろは起き上がり 膝から降りると おれの目の前にきちんとお坐りして おれを見つめてる。
おれはしろを見つめながら おんちゃんに言ったんだ。
「おめぇ~覚悟は出来てんだろうな?」
小猫達に おんちゃんは「よかったなぁ~!ちょっと待ってろ」と言いながら 冷蔵庫からビールを出した。
ジョッキに注いだビールを しろは不思議そうに見てる。
3人の小猫達が増えた。
誰も見向きもしない 気にもさえしない 小さい小さい木の枝一本と
3人の小猫達の運命と 引き換えだった。