アッレマンスレッテン (allemansrätten)
昨日書いたように、なぜ外国からたくさんの人がスウェーデンにやってきて森でベリーを採集できるのか、ちょっと説明が必要であろう。
アッレマンスレッテンは、スウェーデンに古くからある慣習法で、誰でも他人の所有する土地に自由に出入りでき、そこでテントを張ったり、キノコやベリーなどを採集できる権利を保証している。それを日本語では「自然享受権」というらしい(Wiki.)。
もちろん、常識・良識をはたらかせ、住まいがあればその邪魔をしないように心がけるべきだし、森を荒らしたり、ゴミをすてたりもしないのは当然のこととされている。
詳しくは自然保護庁のホームページに出ているので下をクリックされたい。http://www.naturvardsverket.se/sv/Start/Friluftsliv/Allemansratten/
この法の骨子は、自然の素晴らしさを享受できる権利を誰にでも、旅行者にまで提供していることだ。我々にとって素晴らしくありがたい法である。
しかし、この習慣法ができてから月日が経ち、社会は大きく変貌した。自宅用に必要なベリーなどの採集に近所の森に入るのがこの法ができた頃の常識であった。しかし、現状はもっと複雑だ。昨日書いたように集団で長期間テントで寝泊りをすると、ゴミがでるし、森が荒れる。たとえばベリー摘みに来た人たちが引き揚げたあとは、地元のコミューン(自治体)が掃除をしなければならず、かなりの費用がかかる。それに、ときには村で盗難事件なども発生する。
また、旅行会社が渓流をゴムボートでくだるグループ・ツアーなどを計画し、他人の森に入り込んであたりを荒らすので少し前に大問題となった。
このすばらしい個人を対象とする習慣法を、ビジネスに利用(悪用というべきか)する傾向がでているのである。法は環境法の一環として多少修正されているが、市民の権利を制約することなく、どの程度まで具体的に明文化できるかは、これから取り組むべかなり微妙で難しい課題であると思う。