ぼちぼち スウェーデン

スウェーデンで見たこと、聞いたこと、考えたことを、同時代に生きるみなさまとシェアーを!

どちらがより悪いか、まだマシか

2012-03-09 | きいた話

 

しばらく会っていないPさんに、新しいパートナーができたと聞いた。

彼女の前夫は二人とも知っているが、今回のパートナーは女性だという。

それにしても興味深いのは、支持政党により異なる周りの反応である。

Pさんはわたしの知る限りずっと社会民主党畑でキャリアを積んできていて、今は総理府の要職に就いている。いわゆる社民党系である。ところが新しいパートナーも総理府の高級官吏なのだが、所属は国民党だ。

社民党系のpさんの友人連は、パートナーが同性なのには異論はないが、相手の所属党が気にくわない。「どうして社民同士でなく、保守系、ブルジョア党なの?」と、コメントする。

他方、pさんのパートナーの友人連は、所属党の相違は問題なしだが、同性なのが気にくわない。

この違いは、彼らの所属政党のカラーそのものを反映しているのである。社民党の信条は党に忠誠であることと、強い連帯意識である。他方の国民党は、社会規範に沿うことが大切であり、同性同士のカップルはそれに反するものだ。しかし、個人の自主決定権はこの党の中枢的信条であるので、それぞれの支持党がちがっても当然なのである。

ランチの間中、Pさんを知る人たちの間でひとしきりこの話でわいた。これもやはり「個人的なことは、政治的こと」なのである(ブログ3月1日付「独身の女性も人工授精が可能に」を参照してください)。

 


新小岩散歩

2012-03-03 | 新小岩ラプソディ

東京総武線沿線にある新小岩に、1月初から1ヶ月ばかり滞在した。

散歩を日課としたが、それがけっこう面白い。道が通りがかる人に語りかけているからである。

この下のようなのはかなり典型的で、歩行者の目をなごませてくれる。

 

 

 

次のタイプはストックホルムでよくみかけるのと同じだ。 

溺愛されていたらしいこの猫ちゃんは「男の子」で、「雄猫」ではないのに留意されたい。

 

 

 

しかし、次のはどうか?

何気ない顔をして、通りがかりにすっとごみを捨てていく女性に、歯軋りをして

怒っている人の顔までみえてくるではないか。

 

 

 

 

 

また、犬の排泄物に閉口している住民はこのように表現する。

 

 

 

 

 

 

人間さまには、ちゃんとしたトイレが公園然としたところに用意されているのには

感心した。お役所が人の生理にきちんと対応している。

 

ストックホルムには公共トイレはまずないし、もしあっても5クローネ60円

位)のコインを差し入れないと戸が開かないのと対照的である。街中のハンバー

ガー屋だって同様に、客からちゃんとトイレ代をとる。

 

 

 

 

小川に沿った散歩道にあるタイプ。「おんな色」と「おとこ色」である赤と青で

表示されているのがちょっと気になるけど、まあ、こんなものなのだろうか。

いかにも清潔そうだ。

  

 

 

 

ブランコなどがある小さな公園にあるタイプ。

 

 


独身の女性も人口受精が可能に

2012-03-01 | 人々のくらし

 

結婚または同居(サンボ)カップルは、合法的に人工授精を受けることができるが、独身女性には不可能である。

しかしそれも近々可能になるようだ。そうなると、妊娠したい独身女性は隣国デンマークまでわざわざ出かける必要がなくなる。

いったいに、スウェーデンの理想のライフスタイルによると、高校を卒業してからしばらくバイトをしたり、世界旅行をしたりしてから、高等教育を受ける。本格的に職業生活に入るのは28歳頃だ。そして、キャリアーの階段を登りはじめる頃には、理想的な人生の伴侶も見つかっており、その人と一緒に子どもをつくるという青写真だ。

だんだんと月日が経つうちに子どもが欲しくなるが、理想的な伴侶が見つからない場合、自分だけで生む独身女性は少なくない。誤解がないよう付けくわえておくが、各人が独立した経済力をもつスウェーデンでは結婚は社会的な規範でなく、別に気にしなくてもよい。「結婚を前提で付き合う」という感覚ではなく、一緒にいて楽しいからそうする。しかし、子どもは理想的な相手とつくりたいというのが実情だ。理想の家族像は、やはり パパ・ママ・子どもであることが心のどこかに潜んでいるのであろうか。とはいえ、親は二人いるほうが、仕事と育児を両立させやすいという事実は重い。

しかし、実際にはひとり親家族で育つ子どもが多いので、いっそうのこと法や規則を現実に沿ったものにしようということになったのだ。

政党のうちで独身女性の人工授精に反対しているのは、極右のスウェーデン民主党のほかに、伝統的な家族像を大切にしているキリスト教民主同盟だ。反対の両党合わせても国会議員数の10%ばかりで、大多数が賛成なのである。

社会民主党、環境党、左翼等の左派陣は、まえから独身女性の味方であったが、今回、穏健、国民、中央党からなる保守陣営が、政権を担う仲間であるキリスト教民主同盟を見限って左翼陣に同調することに決めた。今まで保守陣営はキ同盟の意向を尊重し、ずっと言い出せないでいたのだ。

しかし、昨今の世論調査によると、このかなりコンサバなキ同盟の支持率は4%を切っていて、次回の選挙では国会から消える可能性が大きい。そうなると保守陣は、代わりに今は左翼側にいる環境党を味方に取り入れればよいので、もうキ同盟に遠慮する必要がない、と計算しているのであろう。

一見、今回の法の改正への動きは、「独身女性にも子どもをもつ権利を」と、個人の人権擁護を謳っているようにみえるが、どっこい、時代遅れと見られて支持を失いたくない政党のお家事情のためが真相であろう。まさに「個人的なことは、政治的なこと」なのだ。