ぼちぼち スウェーデン

スウェーデンで見たこと、聞いたこと、考えたことを、同時代に生きるみなさまとシェアーを!

「ストックホルム・プライド」 ー ゲイやレズビアンたちの最大の祭典

2010-07-26 | イベント

今日から、「ストックホルム・プライド」の一週間が始まる。HBTQの祭典だ。HBTQは、H=ホモセクシュアル、B=バイセクシュアル、T=トランスセクシュアル、Q=クィアの頭文字で「今まで共有されてきた男性/女性という考え方・セクシュアリティでは、自分自身をすっきりと捉えることが出来ない人々」を指していう。このパレードは1998年に始まったが、いまでは北欧で最大の規模だ。

一週間の間、様々なプログラムが組まれている。講演、セミナー、コンサート、カラオケ大会などなど、総数は350にも達する。

プログラムをはじめ、「ストックホルム・プライド」の詳細については、英語ででも見られる。http://www.stockholmpride.org/2010/

クライマックスは、何といっても毎年、土曜日に開催のプライド・パレードである。趣向をこらした衣装をつけて何時間も、街の中心地を練り歩く。

この行事には、極保守系のキリスト教同盟を除く6大政党も、毎年きっちりと参加する。大抵、党首が政党グループの先頭に立って行進し、自党がいかに時代の動きに敏感であり、また、少数派の味方であるかを表明するのである。そんな場では、首相でも希望者と一緒に写真に納まったりして、支持者集めに余念がない。そういえば、カミングアウトしている性指向少数派や、別の少数派である外国出身者を、閣僚に加えるのは最近の政界の傾向である。

毎年、大量の見物人が集まり、好意的な声援をおくる。このパレードをみる限り、社会的な少数派をマジョリティーが受け入れているという意味で、スウェーデンの民主化は進みつつあるというような気がして、心強い。

下の写真は昨年のパレードで撮ったものです。参考にしてください。
ただし、本文同様、ブロブに掲載の写真も版権は著者に属していますので、ご利用希望の際は、当方までご連絡ください。


 
 オペラ座の人たち         ストックホルム交通局 
  
    
 ゲイ看護師たち             ゲイ医師たち


 
 警察官              連帯を表明する同僚たち

 
 防衛庁              同

 

 

 

 

 
 見物する人たち           「ホモセクシュアルの子どもをもつ誇り

                                                      高い両親たち」も行進
 


「動物」を食べるレストラン

2010-07-26 | 旅行・食べある記

ストックホルムで、最近話題になっているレストランを訪れる機会があった。旧市街ガムラ・スタンにあるが、”Djuret”という名前で「動物」、あるいは「けもの」と訳される。

 
飼育されている豚や牛の世話が行き届かず、見るに耐えない状態で放置されている家畜虐待の映像、豚のえさに同類の骨の粉などが混入されているというニュース、食肉を生産する膨大なエネルギー消費を回避し、食糧難に苦しむ国との連帯を考える等などの理由で、若い年代層、とくに女性に菜食主義者が多くなっている昨今、ふつうの私たちだって、少しは肉を食べることの是非を考えてしまう。

このレストランの出現は、菜食主義にたいする、肉サイドからの巻き返しを図る痛烈なカウンターパンチのように見える。内装も徹底して動物関連でまとめてあり、ランプはけものの頭を使い、コート掛け用にぶら下がっているのは肉の量りだ。肉を食べることが、カッコよいとのイメージを演出している。

レストランの肉や野菜などの食材は、吟味されたスウェーデン産のエコ製品とある。肉類はすべて、理想的な環境で育てられたものばかり。豚など「幸せな豚」(glad gris)カテゴリーで、えさはエコ製品(農家の自家製も多い)、屋外にも出られる畜舎で育てられている。バター一つにしても、ゴットランドからの取り寄せと凝っている。

このレストランのもう一つの特徴は、ご法度の一つである肉の脂身を思いっきり、ふんだんに使っていることだ。ちょっと前までは動物性脂肪は美容と健康の大敵とされていた。

なにしろ、一時はビン詰めのベビーフードからも脂肪分が一切排除されるという徹底ぶりで、子供の 正常な成長に弊害があると、問題になった程だ。

但し、いまは、脂肪はいっぱい取るが、炭水化物は避けるという別の説があらわれており、これも信者がふえつつある。つまり、この種のレストランはスウェーデンでのトレンドの最先端に位置しているのだ。

 

  メニューは少ない

レストランのメニューには、肉しかないが、それも一種類だけだ。一月交代だが、今月は豚の月であり、来月はラム肉の番となる。先月は牛肉だったそうだ。

メニューは実に短く、前菜2品、メイン4品、デザートはトルテか、チーズという感じで、選ぶのにあまり迷わないのが利点だ。

それ以外に、つまみ兼前菜としてイベリコ豚の生ハム、 Cecina de Leónというスペイン北西地方からの牛肉の生ハム、オリーブなど、ヨーロッパからの珍味と、豚の脂身のから揚げなどの盛り合わせがあるが、これは美味であった。これらのメニューは全部HPにある。

  

http://www.djuret.se/index.php?lang=eng


我々3名がメインに選んだ3品は、
 骨付き足の蜂蜜照り焼き。うっすらと温めた季節の野菜に、生卵の黄身と泡立てた白身がかかっている。

 

  

 

皮がかりかりに焼いてある骨付きバラ肉。新キャベツとエシャロット(玉ねぎの一種)のワインブレゼ。新ジャガのストンプ?(stomp)

 

     

 

肩ロースの炭火焼き。マッシュ・コーン付き。トリュフ(きのこ)赤ワインのデミグラスソース付き。季節の野菜、ジャガイモのボランジェリが付く。

おなかが空いていたせいか、写真に撮る前に、すでに肉の一部が胃袋に消えていた。切り口をみると、焼き具合が完璧なのが分かる。


  

ワインは、今月はトスカーナ産に決められている。2005年物のカルベネ・ソーヴィニヨンを勧められた。残念ながら、銘柄は覚えていないが、ふくいくとした香りで、口当たりがよい。飲みこんだ後に残る余韻も格別で、幸せな気分になる。それに自己主張が強くなく、料理にしっかりと伴走し、その味を一層引き立てる役目も立派にこなした。

なお、このレストランでは、給仕をする人が、ソムリエも兼ねている。地下のワイン蔵には
13,000本のワインが寝かされてあり、スウェーデン一の保有量が自慢だ。

  
     食後の感想

大抵のレストランのメニューは、家でも美味しく作れる(と自分では思っている)が、ここのはプロすぎて、まず無理。とにかく美味しかった。

難を言えば、塩辛いこと。スウェーデンは、食材の獲れる時期が偏っているため、伝統的に食文化は塩漬け貯蔵食である。それで食事は今でもかなり塩気がきつい。


   パブに駆けつける

それで喉の渇きをしずめるため、30メートル位南にあるアイリッシュ・パブへくりこむ。アイルランドは勿論のこと、その他、チェコ、オランダ、アメリカ製などの生ビールが多く取りそろえてある。雰囲気は気取らなく、客層は幅広い。土曜日だったのでライブ、地下にバンドが入っている。

ただ、びっくりなのは、あまり広くないパブの一番奥の部屋が、おしっこの臭いで満ち満ちていることだ。部屋のすぐ横が男性用のトイレだとはいえ、こんな場所があっていいの?保健局から文句はでないのかなー。ここはお勧めできないので、名無しのパブとする。