ぼちぼち スウェーデン

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誰が一番長く休んでいるのか

2010-07-21 | 人々のくらし

いま、スウェーデンでは夏季休暇の最中である。ヨーロッパ大陸の方は8月が主流だ。
この時期に、
EU諸国の、休みの長短についての統計が発表された。数字は各国ともに、
有給休暇と祭日を合計したもので、日曜日は含まれていない。

それによるとドイツの休日が最長で、ルーマニアが最短となる。経済危機に陥っているギリシャは、EU内で「働かない」と非難を浴びているが、統計をみると12位で、中間に位置している。ただし、労働時間は短いのだそうだ。ついでだが、定年年齢も低いので、ギリシャ政府はそれの延長を図ろうとしている。

調査を行ったEurofond によると、有給休暇だけの統計だと、フランスとフィンランドが最長だそうだ。それと、ヨーロッパの状況の正確度を高めるために、EUに加盟していないノルウェーも統計に入れている。 

問題は、EU間で最長と最短国の差が、10日間、つまり2週間もあることだ。この差の是正が、これからのEUの課題の一つとなるだろう。  

     EU諸国における年間休暇日数(日曜日を除く)

  1. ドイツ        38,1     11. チェコ      33,3   20. スロベニア    31,0
  2. イタリア     37,1    ー 
EU平均       33,0   
20. ブルガリア  31,0
  2. ルクセンブルク  37,1     12. リトアニア  33,0   22. イギリス     30,5
  4. デンマーク    37,0     13. ギリシャ   33,0   23. ポーランド  30,0
  5. スウェーデン   36,0   
14. フィンランド 32,8   23. ハンガリー  30,0
  6. ポルトガル     35,8  15. アイルランド   32,2   25. オランダ   29,6
  7. マルタ         35,0     16. ラトビア    32,0    26. エストニア  29,0
  8. オーストリア  34,9   17. ノルウェー   31,9   27. ベルギー      28,2

  9. スペイン      34,5   18. フランス    31,5   28. ルーマニア   28,0
10. スロバキア          33,8   19. キプロス    31,4   

       
                                    (日刊紙DNの表を修正)
 
  みんな休暇をとるの?  

 
スウェーデンでは
1990年代に2日間、休暇の延長が法制化されたが、数年後には不況が原因で撤廃されている。この2日間は、現行の5週間にさらにもう1週間を追加するために、少しずつ、数回に分けて 延長していくための、第一歩であったのだが、途中で中止となった。これからも、当分、休暇 延長の法制化は見合されるようだ。

有給休暇については労使間の協定で決まる。国がそれに干渉したのは、公共と民間部門の差の是正だけで、最低日数を法制化した。

書類の上での休暇はいっぱいあっても、誰もがそれをとるの、とよく聞かれる。もちろん、全員が 100パーセントとる。有給休暇は、給料の一部のようなもの。誰でも2週間働けば、1日の有給が得られると、簡単に計算できる。 
 
社会には、誰でも有給休暇がとれるようなシステムが出来上がっている。最初からあったものではなく、少しずつ、市民と国家、それに産業界が協力して作り上げた社会システムだ。

働く者は誰だって少しでも良い生活がしたいと思う。リフレッシュできる職場の雰囲気は良く、働く人は高い充実感を得て、仕事にせいを出すので労働効率が上がる。人生が前向きに送れると、健康にも影響する。市民が健康だと、国家の医療コストの節減にも役立つ。それぞれが満足できる人生は、社会経済にもプラスに作用すると言いたい。という訳で、休暇は三位一体の意向が合致するという、良いことだらけのシステムなのだ。

自営業の人だって例外なくとる。消費者が支払う料金の中に、きちんと有給休暇や年金にかかる 費用が含まれている。そして
5週間の休暇を誰もが楽しんでいる。いつも行くパン屋や、理髪店などが一カ月店を閉めてしまうなど、この時期には少々の不便もあるが、それでも社会はちゃんと機能している。多少の不便は我慢して、全員が休暇を楽しもうという合意が社会にあるからだ。

休暇がなくなると、このおとなしい国の人たちでも革命をおこすだろう。いや、スウェーデンだけではなく、多分、ヨーロッパ中で・・。

                   (この記事は、DN2010-06-17を参考にしています)