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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(4) トヨタ生産方式導入の奥義 青木幹晴

2016年01月31日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年6月18日(月)発行)(次回6月25日(月)予定)

今回の記事が100番目の記事になりました。祝!!100号。

 トヨタ生産方式のシリーズもいよいよ具体的になり、個別の本の紹介に入ることになります。
最初は、青木幹晴先生の、「トヨタ生産方式導入の奥義」になります。本のタイトルの中に「トヨタ生産方式」と「導入」という、そのものずばりの言葉がある唯一の本です。その点から、大変参考になると思います。一度お読みください。

1.タイプ
 (トヨタが生産方式を確立した手順をそのまま)トレース方式
2.内容
 基本的には、トヨタ自動車がトヨタ生産方式を確立していった手順どうりにトレースすれば、トヨタ生産方式の導入はうまく行くという内容です。
 その根拠は、著者のトヨタ自動車内での経験と、トヨタ自動車以外へのコンサルタント経験から、導かれています。
 導入に特に関連する部分は、「第2章 導入順序が成否を左右する」 (61p~115p)です。導入の順番は、
 段階1 設備の機種別配置
 段階2 設備の工程順配置(工程別配置と記載されている場所もあり)
 段階3 ニンベンのついた自働化(これ以降がトヨタ生産方式)
 段階4 目のない少人化
になります。
 なぜこの順番で行うのかは、トヨタ生産方式を勉強されれば理解できると思います。ですので、ニンベンのついた自動化(その本質は、人が設備から離れて作業を行う)や、目のない少人化(その本質は、生産量にあわせて人の数を増減する定員制の打破)の理解が不足されている方は、別途調べていただけたらと思います。
 この本の素晴らしさは、分かりにくいことを「絵解き」で解説(絵を描いてわかりやすく解説)されていることです。特に、
 63pのトヨタ生産方式城の築城
 96、97pのトヨタ生産方式導入から完成への進化順序
が関係する部分ですが、一目見てかなりのことが理解できます。
 その点からも、たいへんお勧めの本です。
3.読書後の感想
 トヨタ生産方式の本を多数読んでみて、トヨタ生産方式は平準化生産方式と呼んだ方が良いのではと感じるところが多い。かんばん方式は、最終組み立て工程の平準化が出来た後に実施することが出来る。平準化していないのにかんばん方式を導入することはむしろ害が多い。
 しかし、どれだけの企業が平準化が出来ているだろうかと考えると、トヨタ生産方式を導入できる企業は限られてくる。むしろ、個別の企業の環境・状況を考慮し
 ①リードタイムの短縮、
 ②コストの削減、
 ③品質の向上
などの目的で、
 ①-1段取り変え時間の短縮
 ①-2装置のレイアウト変更
 ①-3多能工化・多工程持ち
 ②-1仕掛品在庫の削減
 ②-2ムダをなくす
 ③-1ポカヨケの導入
 ③-2金のかからない全数検査
 ③-3次工程検査
を実施されるのも良いと思われる。

 個人的な感想になるが、私は新郷重夫先生の段取替えの改善考え方を高く評価しています。しかし、トヨタ出身の方が書かれた本を読んでも、新郷先生の名前や、段取替えの考え方などを詳しく書かれたものはないように思います。その点で、青木先生は新郷先生の段取替えを高く評価されており、共感するものがあります。
4.本の情報
 タイトル:【トヨタ式最強図解】トヨタ生産方式導入の奥義
 出版社:ナツメ社
 出版年:2009年
 定価:1980円
 ページ数:191p
5.著者略歴
 
1955年愛知県生まれ。1978年早稲田大学卒業後、トヨタ自動車工業に入社。2004年トヨタ自動車を退職。コンサルタント会社を経て、豊田生産コンサルティングを設立。
6.外観
Photo

                                       井上三右衛門<三>

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(3) 導入と展開

2016年01月24日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年5月21日発行)(次回5月28日予定)

いよいよ、トヨタ生産方式の導入・展開のやり方に関して記載していきます。
調査してみて、トヨタ生産方式の導入のやり方について記載した本は少なく、以下の本に記載されている内容について、今後は順次述べて生きます。

①新郷重夫: 
トヨタ生産方式のIE的考察 -ノン・ストック生産への展開-: 
日刊工業新聞社:
第2部第7章に「トヨタ生産方式の導入と展開」(299p~318p)の目次で記載あり:
②小谷重徳:
理論から手法まできちんとわかる トヨタ生産方式:
日刊工業新聞社:
第11章に「トヨタ生産方式の導入」(219p~238p)の目次で記載あり:
③若井吉樹:
御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか?:
技術評論社:
第6章に「本当のトヨタ方式の進め方」(163p~201p)の目次で記載あり:
④近江堅一他:
値引き要求・短納期に応える77の鉄則 中小メーカのためのトヨタ生産方式:
日刊工業新聞社
トヨタ生産方式の導入に関して明確に記載した章自体は無いが、トヨタの自主研(究会)を参考にした「一日改善会」などの記載があり。
⑤竹内鉦造:
すぐに使える トヨタ生産方式 導入・実践ノウハウ集:
日本能率協会マネジメントセンター:
トヨタ生産方式の導入にステップなどの記載は無いが、第2章に「モノづくり職場の自己診断」という、セルフチェックが出来る章がある。
⑥青木幹晴:
トヨタ生産方式導入の奥義:
ナツメ社:
本のタイトルにずばり、「トヨタ生産方式」と「導入」の文字があります。第2章「導入順序が成否を左右する」に詳細な記載があり。
⑦門田安弘:
トヨタプロダクションシステム:
プレジデント社

以上7冊について、今後、トヨタ生産方式の導入・展開に関してのみ詳細に紹介していきます。
敢えてこれらの本に記載されているトヨタ生産方法の導入方法にタイトル(なになに型)をつけてみると以下のようになります。
気になる本のみ読んでいただいても良いのではと思います。

新郷重夫: クッション在庫型(標準導入型): 現在の在庫をクッション在庫として運用してみて、結果を見ながら改善を進めるイメージ。何(方法)をどの順番で入れるかの表がある。
小谷重徳: モデルライン型: まず、モデルラインに導入をはかる。それから横展開をはかる。
若井吉樹: ジャストインタイム型: 社内の改善だけなら社内でクローズも出来ますが、ジャストインタイム生産は社外との関わりが出てきます。社外展開のところが他の本に比較してわかりやすかった。
近江堅一: いいとこ取り型: TOC・TQM・ISO・トヨタ生産方式のいいとこ取りをされています。その分、トヨタ生産方式を導入するというイメージは薄い。
竹内鉦造: チェックリスト型:  トヨタ生産方式をどのレベルまで導入できているかのチェックリストがあり。ただし、チェックリストの各項目の重要度とか、導入の順番が不明確のように思えました。
青木幹晴: トレース型
⑦門田安弘: 
(未記載)

近江先生の本は、TOC・TQM・ISO・トヨタ生産方式のいいとこ取りなのですが、同じように上記の5冊の本のいいとこ取りをしてみると、
LSKP法(先ほど自分で命名しました)が出来ました。
概略の内容を説明すると、
L:まず、ロット(Lはロットの頭文字)生産工程に注目し、段取り時間を短縮して小ロット化をはかる
S:その結果、組み立て工程の前の在庫(Sはストック(在庫)の頭文字)を減らし
K:次に、組み立て工程(組み立てと工程の両方の頭文字)は部品の集めに注意しながら、多能工化などにより短リードタイムで製造し
P:短リードタイムになっているので、生産計画(Pはプランニング(計画)の頭文字)を指示する工程に注意しながら、短サイクルの生産計画を作成する
となります。

                                                 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(2) 誤解・導入失敗

2016年01月17日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年4月30日発行)(次回5月7日予定)

GWに突入し、会社も休みとなり、毎日「トヨタ生産方式」関連の本を読み漁っています。
その中から、トヨタ生産方式への誤解と、トヨタ生産方式の導入の失敗例を上げて、論点を整理していきたいと思います。

以下のことを読まれて、ご意見のある方は、どしどし言っていただけないでしょうか。
また、以下の内容は必要により、適時修正・追加・削除などいたします。

■トヨタ生産方式への誤解
①トヨタ生産方式=かんばん方式
一番多い誤解が、トヨタ生産方式=かんばん方式という誤解のようです。これについては、大野耐一先生が「トヨタ生産方式」の本のまえがきにも記載されているように、かんばんはトヨタ生産方式の運用の手段の一つであり、・・・ということです。
かんばんがあまりにも目にとまり易いからだと考えます。
むしろ、トヨタ生産方式=平準化生産方式の方が正しいと考えられます。トヨタのこれでもトヨタ生産方式を正しく表しているわけではありませんが。
②在庫はゼロである
この誤解は製造メーカに勤める私でも、勉強を始めた最初のころはそのように思っていました。正しくは、不要な在庫やムダな在庫がゼロであるということと思います。7つのムダの中に「つくりすぎのムダ」「在庫のムダ」があるためそのような誤解を生むのかと思います。
③つくりすぎのムダ
多くつくりすぎるムダと誤解されているが、早くつくりすぎるムダのことを言っています。多くつくりすぎるムダは当然のことと考えられています。
④ジャストインタイム
つくりすぎのムダの意味からもわかるように、間に合っていたらいいわけではなく、ジャストオンタイムの意味です。

■トヨタ生産方式の導入失敗例
①トップの決意不足で
トヨタ生産方式を導入すれば儲かるといった、あまりトヨタ生産方式を勉強されていない経営者の方の導入決心の場合、その後の困難の克服が難しいそうです。欲に目がくらんでいる?一般的な生産方式はプッシュ式ですが、トヨタ生産方式はプル方式であり、まったくの逆になっています。その他、一般的な生産方式の考え方の逆を行っているところもあり、一般の従業員にもわかりずらい点がいくつもあります。
②かんばんだけを導入してトヨタ生産方式
トヨタ生産方式=かんばん方式と誤解されている方もおられるので、かんばん方式を導入したら成果が上がるのではと考えます。しかし、生産の平準化が出来ていないと、在庫が増える、部品メーカからの苦情が増えるなどの問題が出ます。
③いつまでたっても5S・ムダとり
世の中の大半の工場では、5Sができていない、7つのムダで溢れかえっているのではないかと思います。コンサルタントが見るとこれらの問題点はすぐ指摘が出来ますが、コストダウンに繋げるという点で困難があります。
④JIT導入で在庫が増えた
自社内での平準化生産が出来ていないとJITを導入しても在庫が増えることがあるようです。トヨタ生産方式にも記載されているように、部品メーカへのJITの拡張は社内での実績が出来てから実施されています。

                                                 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(1) 参考本

2016年01月10日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年4月23日発行)(次回4月30日予定)

 今年度の大きなテーマとして、「トヨタ生産方式」を考えています。
 昨年度は、円高とサムソンとの競争に日本企業は負けて、パナソニック・シャープが大赤字で、エルピーダは倒産(正確な表現ではありませんが)という散々な結果でした。かつてオイルショックがあった時、トヨタ生産方式が不況に強い生産方式として注目された時期がありました。今回も、トヨタ生産方式に再注目したい時期であると思います。
個人的な理由としても、
 ①トヨタ生産方式の、理念と体系と手法をより理解する
 ②トヨタ生産方式を採用したが経営改善できなかった事例が散見されるが、その理由を理解する
 ③トヨタ生産方式のコンサルタントの手法を理解する
ようにしたいと考えています。

 具体的には、現在以下の本を読み進めています。一冊一冊読んで書評(ブックレビュー)を書くという今までのスタイルで書くのではなく、数冊は読んで全体像の理解を深めてから書評を書き始めようと考えています。
 その中で、私自身の誤解も含めて、どのような誤解がトヨタ生産方式にあるのか明確にしていきたいと考えています。
 また、トヨタ生産方式の良さを再認識できたらと考えています。

■トヨタ生産方式
 ①大野耐一著 トヨタ生産方式 ダイヤモンド社
 ②新郷重夫著 トヨタ生産方式のIE的考察 日本工業新聞
 ③日本能率協会編 トヨタの現場管理 日本能率協会
 ④小谷重徳著 理論から手法まできちんとわかるトヨタ生産方式 日本工業新聞
 ⑤門田安弘著 トヨタプロダクションシステム ダイヤモンド社
 ⑥青木幹晴著 全図解トヨタ生産工場のしくみ 日本実業出版社
■トヨタ生産方式の導入失敗
 ①若井吉樹 御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか? 技術評論社
 ②中小企業診断協会生産革新フォーラム編著 ”JIT生産”を卒業するための本 日刊工業新聞
■トヨタ生産方式のコンサルタント
 ①竹内鉦造著 トヨタ生産方式導入・実践ノウハウ集 日本能率協会マネジメントセンター
 ②青木幹晴著 トヨタ生産方式導入の奥義 ナツメ社

先ほど書いたように本を読み進めていますが、数冊読んでからまとめる予定ですので、本日は本の紹介だけになります。
尚、本の追加・削除は随時行わせていただきます。

                                                 井上三右衛門

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