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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(10) 値引き要求・短納期に応える77の鉄則 近江堅一

2016年03月13日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

第116号(2012年10月15日(月)発行)
      (次回10月22日(月)発行予定)

この本はトヨタ生産方式などについて書いてあるのか正直よくわからないなというのが感想です。
ちなみに、本のシリーズ名、本のタイトル、本のサブタイトルは以下になります。
シリーズ名:トヨタに学びたければトヨタを忘れろ
タイトル:値引き要求・短納期に応える77の鉄則
サブタイトル:中小メーカのためのトヨタ生産方式
シリーズ名では、「トヨタを忘れろ」とあり、タイトルには「トヨタ」の文字は出てきませんが、サブタイトルではしっかり「トヨタ生産方式」とあります。
本の中を読んでいると、著者は「トヨタ生産方式の真の伝道者」から教えを受けたと書いてあるのですが、その真の伝道者の名前は書いてありませんし、なぜ書かれていないのか理由も書かれていません。
でも、まあそんなことはどうでも良いじゃないですか。とにかく値引きに、短納期に、その他のことにいろいろと苦しんでおられる中小企業に、今後の解決の糸口が他の本よりもよりストレートに見つかればとの思いで取り上げています。
ですので、取り上げたポイントは、工場改善という視点から挙げています。

他の本とは違い、頭をガーンと殴られる思いの方もおられるかもしれません。一度読んでみてください。

1.タイプ
 
 いいとこ取り型: TOC・TQM・ISO・トヨタ生産方式のいいとこ取りをされています。その分、トヨタ生産方式を導入するというイメージは薄い。

2.内容
 トヨタ生産方式の導入の進め方記載はありません。

3.読書後の感想
 
本の全部が参考になリますが、気に入ったところを1ヶ所紹介しておきます。
114pに以下の様なタイトルの記載があります。
 「4-1 1日1時間、時間をつくり改善に使おう
 この習慣が多くの発見と成果を出させる」
 記載文を少し紹介しますと、「経営者は部下へ「不良を減らせ」と指示するだけでなく、自ら、不良を発生させている作業を観察し、その作業に潜んでいる不良をつくっている原因を追究していく。この姿勢が大切である。
もっともですね。

 
 

 
4.本の情報
 タイトル:値引き要求・短納期に応える77の鉄則
 出版社:日刊工業新聞社
 価格:2000円
 出版年:平成22年
 ページ:182p

5.著者略歴
 著者は、近江堅一さんと近江良和さんの2名ですが、近江堅一さんがシリーズの本を主に書かれているので、近江堅一さんの略歴を記載しておきます。
 大手電気メーカにて、32年間工場管理に従事。この間、トヨタ生産方式の真の実践者より7年間(月1回)現場指導を受ける。また、TQMの指導も受ける。これらをベースに工場改善を重ねFL法(中小メーカ向けトヨタ生産方式)を確立し協力会社に適用。

 
6.外観
Photo

                                            井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(9) 御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか 若井吉樹

2016年03月06日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年10月1日(月)発行)(次回10月8日(月)予定)

トヨタ生産方式の導入の本では、6冊目になります。
タイトルの 「御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか?」 が衝撃的で、思わず手にとってしまいました。
(タイトルの 「なぜ」 の部分はわざわざ赤字にしてあるので、そのまま再現しています。)
しかも、サブタイトルが 偽りの「かんばん」 となっています。
また、本の帯には、 まったく新しいトヨタ生産方式の入門書 と書いてありました。

ただし、本は、現在は在庫が無く、増刷の予定も無く、手に入りにくい状態になっています。
近くの図書館などにあれば借りて読んでいただけると、
大変参考になるのではと思います。

1.タイプ
 
ジャストインタイム型

2.内容
 第6章 本当のトヨタ生産方式の進め方 (163p~201p) の中の、
 3 トヨタ方式導入のステップ 以下 (182p~201p)に記載があります。
 項目は以下になります。
  3.トヨタ生産方式導入のステップ
  4.トヨタ生産方式の導入ステップ1 「モノづくりの流れづくり」
  5.トヨタ生産方式の導入ステップ2 「ジャスト・イン・タイムのしくみつくり」
  6.トヨタ生産方式の導入ステップ3 「永遠に続く絶え間ない改善」
 
 になります。

3.読書後の感想
 社内の改善だけなら社内でクローズも出来ますが、ジャストインタイム生産は社外との関わりが出てきます。社外展開のところが他の本に比較してわかりやすかった。

 

 
4.本の情報
 タイトル:御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか?
 出版社:技術評論社
 価格:1580円
 出版年:平成19年
 ページ:205p

5.著者略歴
 NEC系の会社で、システムエンジニアとして、十数年に渡り製造業・装置向けに生産管理情報システムパッケージ開発などをされていたようです。
 その後、トヨタ生産方式導入コンサルタントの支援メンバーとして活躍されたようです。

 
6.外観
 Photo_3

                                           井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(8) トヨタプロダクションシステム 門田安弘

2016年02月28日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年9月17日(月)発行)(次回9月10日(月)予定)

トヨタ生産方式の導入の本では、5冊目になります。
とっても有名な先生の書かれた本のようで、海外でも有名なようです。
ただ私は浅学なので、最近お名前と本の存在を知りました。
また、本全体としては約550pあり、トヨタ生産方式について一番詳細に記載・説明がされているように思います。
ただ、ページ数が多く、読みきれておらず、紹介の内容もかなり省かせていただいています。

1.タイプ
 門田形
 (かつての記事では「未記載」としていました。まだ特徴付けた名前を付けられていないのでこのようにしています。)
2.内容
 第5章 トヨタ生産方式の導入 (525p~538p) に記載があります。
 目次の内容からすると、
 (1)導入に先立ち4つのステップが必要
 (2)現場改善のテクニックの適用
になります。
3.読書後の感想
 省略
4.本の情報
 タイトル:トヨタプロダクションシステム
 出版社:プレジデント社
 価格:不明
 出版年:2006年
 ページ:約550p
5.著者略歴
 
調べてみると愛知大学助手・講師、大阪府立大学助教授、筑波大学教授、筑波大学大学院経営・政策科学研究科長、筑波大学社会工学系長、筑波大学名誉教授などをされています。
 2012年10月15日に行われる大野耐一生誕100年記念フォーラム 21世紀の「ものづくり思想」の探求では、パネル・ディスカッションのパネリストとしても登場されます。(他のパネリストは、張富士夫(トヨタ自動車株式会社会長)や藤本隆宏(東京大学経済学部教授)などです。)
6.外観
 Photo_2

                                                 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(7) トヨタ生産方式 導入・実践ノウハウ集 竹内鉦造

2016年02月21日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年7月30日(月)発行)(次回8月6日(月)予定)

さて、今回はトヨタ生産方式の導入の本の4冊目になります。これ以降紹介する本はそれほどページ数が割かれていなかったり、導入のステップが記載されていなかったりします。この本は、項目毎のチェックシート方式で、導入のステップが明確には書いてないように思います。しかし、チェックシート部は約30pにもなり、トヨタ生産方式を理解するのに役立つ本と考えます。一度トライください。

1.タイプ
 チェックシート型

2.内容
 第2章のモノづくり職場の自己診断の、p36~p67に記載があります。
 記載の項目は、
 (1)仕掛品の状況
 (2)時間当たりの出来高のばらつき
 などなど15項目に及びます。著者も少し項目が多いかなとは書かれていますが、それだけ色々な点でチェックができるかと思います。
 多すぎれば、自分で選択されたら良いと思います。

3.読書後の感想
 
トヨタ自動車株式会社でTPS主査という役職を経験され、さらにパナソニック株式会社でも改善活動のアドバイザーを経験されています。自動車と電気製品の製造現場それぞれの豊富な経験を著作にされているように思います。

4.本の情報
 タイトル:すぐに使える トヨタ生産方式 導入・実践ノウハウ集
 出版社:日本能率協会マネジメントセンター
 価格:2800円
 出版年:2011年
 ページ数:285p

5.著者略歴
 1971年トヨタ自動車株式会社入社。TPS主査を経験。その後、パナソニック株式会社にてアドバイザー。現在、ティー・エス・コンサル(ムダ取り研究所)代表取締役社長。

6.外観
 Photo


井上三右衛門<三>

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(6) トヨタ生産方式 小谷重徳

2016年02月14日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年7月16日(月)発行)(次回7月23日(月)予定)

いやー暑いですね。九州地方では梅雨の豪雨で被害が出ていますが、雨が降らないところは空梅雨状態のように思われます。
九州の梅雨の被害では、よく訪問していた会社は、最大の雨量を記録した阿蘇市乙姫の近くにあります。そのため、会社の関係者の方に被害はなかったかなと心配します。一昨日は京都市北部・亀岡市が豪雨に遭ったようで、京都縦貫道が一部閉鎖され、亀岡市内を抜けるのに2時間ほどかかりました。被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

さて、今回はトヨタ生産方式の導入の本の3冊目になります。といっても、記載があるのは20pのみですが。正式な本のタイトルが「理論から手法まできちんとわかる トヨタ生産方式」ですので、トヨタ生産方式の導入だけでなく、トヨタ生産方式全体を理解するのに役立つ本と考えます。一度トライください。

1.タイプ
 モデルライン型

2.内容
 第11章のトヨタ生産方式の導入の、p219~p239に記載があります。
導入のステップは、
 (1)トップマネジメントのリーダシップの発揮と目標の設定
 (2)導入の進め方の決定
 (3)従業員の意識改革と人材育成
 (4)プロジェクトチームの編成
 (5)モデルラインへの導入
 (6)導入の拡大
となっています。ポイントを整理してみると、
 ①トップマネジメントのリーダーシップ
 ②従業員の意識改革
 ③モデルラインへの導入(限定的な導入)
ということになると考えます。
 ③のモデルラインへの導入の部分に注意すべき記載がありましたので以下に記載しておきます。
 「まずはプロジェクトチームのメンバーが導入計画を自主的に立案して指導を受けるようにし、最初からコンサルタントの指示に従って行動するようなことは避けなければいけない。」

3.読書後の感想
 従来型の工場では、トヨタ生産方式を一気に導入することは出来ないので、手法の個別の導入と、生産ラインの改善がある程度進んだ場合後の、各工程間のどのようにつないでいくかについても記載がされている。
 その点から、従来型の工場での導入のステップとして参考になる部分が必ずあると思われる。

4.本の情報
 タイトル:理論から手法まできちんとわかるトヨタ生産方式
 出版社:日刊工業新聞社
 価格:2200円
 出版年:2008年
 ページ数:269p

5.著者略歴
 名古屋工業大学大学院工学研究科修了後、トヨタ自動車入社。現在、首都大学東京教授。

6.外観
 Photo


                                                井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(5) トヨタ生産方式のIE的考察 新郷重夫 

2016年02月07日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年7月2日(月)発行)(次回7月9日(月)予定)

 今回は、トヨタ生産方式の導入の本の2冊目になります。1冊目は、トヨタの歴史に基づき、トヨタが生産方式を確立していった順番に導入をしていけば良いとの結論と理解しました。2冊目は、トヨタ生産方式の構成要素的なものから、この順番で導入されるのが良いと記載されていると理解しました。どちらも同じ結論に最終的になっていると考えます。そのため、両方の本を読み、読み比べられると、より理解が進むのではと思います。
 トライ(本を読むこと)をお願いします。

1.タイプ
 クッション在庫方式
2.内容
 第2部「トヨタ生産方式のIE的考察」の、第7章「トヨタ生産方式の導入と展開」に関連の記載があります。299p~318p。
 ステップとしては、
 ①徹底的なムダ排除の空気作り
 ②生産方式の改善
 ③カンバン制度への展開
になります。
 すぐに生産方式を改善するのではなく、非原価主義を理解する(=意識革命が必要)ことが必要になります。つまり、生産に関する風土の変革が必要になります。そのためには、”トヨタ生産方式”を実施している工場の実態を見学するすることが極めて有効と記載されています。また、個々の手法のみではなく、それらが”どのように関連を持っているか?”ということを明確に理解することが大切です。さらに、経営者の決心が必要です。
 生産方式の導入では、ジャストインタイムの点からは、①シングル段取りの採用、②レイアウトの改善、③多工程持ちへの改善により、流れ作業化・小ロット生産化を図ります。また、自働化の点からは、ポカヨケなどの導入を図ります。
 以上の準備がしっかりできても、心配な点はいくつもあるので、現在の在庫を無いものと思って仕事を進める「クッション在庫方式」を実施されたらどうですかと記載されています。
 生産方式の導入後に、カンバン制度の導入に踏み切ります。
3.読書後の感想
 結論を一言で言え言われると、317pの図41「トヨタ生産方式とカンバン制度の導入計画」になります。注意いただきたいのは、「トヨタ生産方式の導入」に「カンバン制度の導入」が追加されていることです。つまり、世間一般の方の中には、トヨタ生産方式とカンバン制度を同じものと誤解をされている方もあるようですが、”トヨタ生産方式”は”製造の方式”であり、”カンバン制度”は”運用の手段”ですので、別々に記載がされています。
 新郷重夫先生の本は、ページ数が多く、同じような記述が何度も何度も出てきます。そのため読む時間が大変長くなります。しかし、これらを咀嚼して読んでいくことで、効率的な生産方法やトヨタ生産方式の基本が体の中に染み渡り、理解が深まり、力が付いてくるように思います。
 今から約30年前に出版された本ですが、今でも違和感なく読めるのは、それほど生産方式についての本質が変わっていないためではないかと想像します。
4.本の情報
 タイトル:トヨタ生産方式のIE的考察-ノン・ストック生産への展開-
 出版社:日刊工業新聞
 価格:2500円(当時)
 出版年:昭和55年
5.著者略歴
 昭和5年に山梨高等工業学校卒業後、台湾総督府交通局や日本能率協会に奉職。
 昭和34年に経営管理改善研究所を設立し、所長。
 昭和45年黄綬褒章を受ける。
6.外観
 Photo

                                                 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(4) トヨタ生産方式導入の奥義 青木幹晴

2016年01月31日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年6月18日(月)発行)(次回6月25日(月)予定)

今回の記事が100番目の記事になりました。祝!!100号。

 トヨタ生産方式のシリーズもいよいよ具体的になり、個別の本の紹介に入ることになります。
最初は、青木幹晴先生の、「トヨタ生産方式導入の奥義」になります。本のタイトルの中に「トヨタ生産方式」と「導入」という、そのものずばりの言葉がある唯一の本です。その点から、大変参考になると思います。一度お読みください。

1.タイプ
 (トヨタが生産方式を確立した手順をそのまま)トレース方式
2.内容
 基本的には、トヨタ自動車がトヨタ生産方式を確立していった手順どうりにトレースすれば、トヨタ生産方式の導入はうまく行くという内容です。
 その根拠は、著者のトヨタ自動車内での経験と、トヨタ自動車以外へのコンサルタント経験から、導かれています。
 導入に特に関連する部分は、「第2章 導入順序が成否を左右する」 (61p~115p)です。導入の順番は、
 段階1 設備の機種別配置
 段階2 設備の工程順配置(工程別配置と記載されている場所もあり)
 段階3 ニンベンのついた自働化(これ以降がトヨタ生産方式)
 段階4 目のない少人化
になります。
 なぜこの順番で行うのかは、トヨタ生産方式を勉強されれば理解できると思います。ですので、ニンベンのついた自動化(その本質は、人が設備から離れて作業を行う)や、目のない少人化(その本質は、生産量にあわせて人の数を増減する定員制の打破)の理解が不足されている方は、別途調べていただけたらと思います。
 この本の素晴らしさは、分かりにくいことを「絵解き」で解説(絵を描いてわかりやすく解説)されていることです。特に、
 63pのトヨタ生産方式城の築城
 96、97pのトヨタ生産方式導入から完成への進化順序
が関係する部分ですが、一目見てかなりのことが理解できます。
 その点からも、たいへんお勧めの本です。
3.読書後の感想
 トヨタ生産方式の本を多数読んでみて、トヨタ生産方式は平準化生産方式と呼んだ方が良いのではと感じるところが多い。かんばん方式は、最終組み立て工程の平準化が出来た後に実施することが出来る。平準化していないのにかんばん方式を導入することはむしろ害が多い。
 しかし、どれだけの企業が平準化が出来ているだろうかと考えると、トヨタ生産方式を導入できる企業は限られてくる。むしろ、個別の企業の環境・状況を考慮し
 ①リードタイムの短縮、
 ②コストの削減、
 ③品質の向上
などの目的で、
 ①-1段取り変え時間の短縮
 ①-2装置のレイアウト変更
 ①-3多能工化・多工程持ち
 ②-1仕掛品在庫の削減
 ②-2ムダをなくす
 ③-1ポカヨケの導入
 ③-2金のかからない全数検査
 ③-3次工程検査
を実施されるのも良いと思われる。

 個人的な感想になるが、私は新郷重夫先生の段取替えの改善考え方を高く評価しています。しかし、トヨタ出身の方が書かれた本を読んでも、新郷先生の名前や、段取替えの考え方などを詳しく書かれたものはないように思います。その点で、青木先生は新郷先生の段取替えを高く評価されており、共感するものがあります。
4.本の情報
 タイトル:【トヨタ式最強図解】トヨタ生産方式導入の奥義
 出版社:ナツメ社
 出版年:2009年
 定価:1980円
 ページ数:191p
5.著者略歴
 
1955年愛知県生まれ。1978年早稲田大学卒業後、トヨタ自動車工業に入社。2004年トヨタ自動車を退職。コンサルタント会社を経て、豊田生産コンサルティングを設立。
6.外観
Photo

                                       井上三右衛門<三>

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(3) 導入と展開

2016年01月24日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年5月21日発行)(次回5月28日予定)

いよいよ、トヨタ生産方式の導入・展開のやり方に関して記載していきます。
調査してみて、トヨタ生産方式の導入のやり方について記載した本は少なく、以下の本に記載されている内容について、今後は順次述べて生きます。

①新郷重夫: 
トヨタ生産方式のIE的考察 -ノン・ストック生産への展開-: 
日刊工業新聞社:
第2部第7章に「トヨタ生産方式の導入と展開」(299p~318p)の目次で記載あり:
②小谷重徳:
理論から手法まできちんとわかる トヨタ生産方式:
日刊工業新聞社:
第11章に「トヨタ生産方式の導入」(219p~238p)の目次で記載あり:
③若井吉樹:
御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか?:
技術評論社:
第6章に「本当のトヨタ方式の進め方」(163p~201p)の目次で記載あり:
④近江堅一他:
値引き要求・短納期に応える77の鉄則 中小メーカのためのトヨタ生産方式:
日刊工業新聞社
トヨタ生産方式の導入に関して明確に記載した章自体は無いが、トヨタの自主研(究会)を参考にした「一日改善会」などの記載があり。
⑤竹内鉦造:
すぐに使える トヨタ生産方式 導入・実践ノウハウ集:
日本能率協会マネジメントセンター:
トヨタ生産方式の導入にステップなどの記載は無いが、第2章に「モノづくり職場の自己診断」という、セルフチェックが出来る章がある。
⑥青木幹晴:
トヨタ生産方式導入の奥義:
ナツメ社:
本のタイトルにずばり、「トヨタ生産方式」と「導入」の文字があります。第2章「導入順序が成否を左右する」に詳細な記載があり。
⑦門田安弘:
トヨタプロダクションシステム:
プレジデント社

以上7冊について、今後、トヨタ生産方式の導入・展開に関してのみ詳細に紹介していきます。
敢えてこれらの本に記載されているトヨタ生産方法の導入方法にタイトル(なになに型)をつけてみると以下のようになります。
気になる本のみ読んでいただいても良いのではと思います。

新郷重夫: クッション在庫型(標準導入型): 現在の在庫をクッション在庫として運用してみて、結果を見ながら改善を進めるイメージ。何(方法)をどの順番で入れるかの表がある。
小谷重徳: モデルライン型: まず、モデルラインに導入をはかる。それから横展開をはかる。
若井吉樹: ジャストインタイム型: 社内の改善だけなら社内でクローズも出来ますが、ジャストインタイム生産は社外との関わりが出てきます。社外展開のところが他の本に比較してわかりやすかった。
近江堅一: いいとこ取り型: TOC・TQM・ISO・トヨタ生産方式のいいとこ取りをされています。その分、トヨタ生産方式を導入するというイメージは薄い。
竹内鉦造: チェックリスト型:  トヨタ生産方式をどのレベルまで導入できているかのチェックリストがあり。ただし、チェックリストの各項目の重要度とか、導入の順番が不明確のように思えました。
青木幹晴: トレース型
⑦門田安弘: 
(未記載)

近江先生の本は、TOC・TQM・ISO・トヨタ生産方式のいいとこ取りなのですが、同じように上記の5冊の本のいいとこ取りをしてみると、
LSKP法(先ほど自分で命名しました)が出来ました。
概略の内容を説明すると、
L:まず、ロット(Lはロットの頭文字)生産工程に注目し、段取り時間を短縮して小ロット化をはかる
S:その結果、組み立て工程の前の在庫(Sはストック(在庫)の頭文字)を減らし
K:次に、組み立て工程(組み立てと工程の両方の頭文字)は部品の集めに注意しながら、多能工化などにより短リードタイムで製造し
P:短リードタイムになっているので、生産計画(Pはプランニング(計画)の頭文字)を指示する工程に注意しながら、短サイクルの生産計画を作成する
となります。

                                                 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(2) 誤解・導入失敗

2016年01月17日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年4月30日発行)(次回5月7日予定)

GWに突入し、会社も休みとなり、毎日「トヨタ生産方式」関連の本を読み漁っています。
その中から、トヨタ生産方式への誤解と、トヨタ生産方式の導入の失敗例を上げて、論点を整理していきたいと思います。

以下のことを読まれて、ご意見のある方は、どしどし言っていただけないでしょうか。
また、以下の内容は必要により、適時修正・追加・削除などいたします。

■トヨタ生産方式への誤解
①トヨタ生産方式=かんばん方式
一番多い誤解が、トヨタ生産方式=かんばん方式という誤解のようです。これについては、大野耐一先生が「トヨタ生産方式」の本のまえがきにも記載されているように、かんばんはトヨタ生産方式の運用の手段の一つであり、・・・ということです。
かんばんがあまりにも目にとまり易いからだと考えます。
むしろ、トヨタ生産方式=平準化生産方式の方が正しいと考えられます。トヨタのこれでもトヨタ生産方式を正しく表しているわけではありませんが。
②在庫はゼロである
この誤解は製造メーカに勤める私でも、勉強を始めた最初のころはそのように思っていました。正しくは、不要な在庫やムダな在庫がゼロであるということと思います。7つのムダの中に「つくりすぎのムダ」「在庫のムダ」があるためそのような誤解を生むのかと思います。
③つくりすぎのムダ
多くつくりすぎるムダと誤解されているが、早くつくりすぎるムダのことを言っています。多くつくりすぎるムダは当然のことと考えられています。
④ジャストインタイム
つくりすぎのムダの意味からもわかるように、間に合っていたらいいわけではなく、ジャストオンタイムの意味です。

■トヨタ生産方式の導入失敗例
①トップの決意不足で
トヨタ生産方式を導入すれば儲かるといった、あまりトヨタ生産方式を勉強されていない経営者の方の導入決心の場合、その後の困難の克服が難しいそうです。欲に目がくらんでいる?一般的な生産方式はプッシュ式ですが、トヨタ生産方式はプル方式であり、まったくの逆になっています。その他、一般的な生産方式の考え方の逆を行っているところもあり、一般の従業員にもわかりずらい点がいくつもあります。
②かんばんだけを導入してトヨタ生産方式
トヨタ生産方式=かんばん方式と誤解されている方もおられるので、かんばん方式を導入したら成果が上がるのではと考えます。しかし、生産の平準化が出来ていないと、在庫が増える、部品メーカからの苦情が増えるなどの問題が出ます。
③いつまでたっても5S・ムダとり
世の中の大半の工場では、5Sができていない、7つのムダで溢れかえっているのではないかと思います。コンサルタントが見るとこれらの問題点はすぐ指摘が出来ますが、コストダウンに繋げるという点で困難があります。
④JIT導入で在庫が増えた
自社内での平準化生産が出来ていないとJITを導入しても在庫が増えることがあるようです。トヨタ生産方式にも記載されているように、部品メーカへのJITの拡張は社内での実績が出来てから実施されています。

                                                 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(1) 参考本

2016年01月10日 | ものづくり・経営改善 トヨタ生産方式

(2012年4月23日発行)(次回4月30日予定)

 今年度の大きなテーマとして、「トヨタ生産方式」を考えています。
 昨年度は、円高とサムソンとの競争に日本企業は負けて、パナソニック・シャープが大赤字で、エルピーダは倒産(正確な表現ではありませんが)という散々な結果でした。かつてオイルショックがあった時、トヨタ生産方式が不況に強い生産方式として注目された時期がありました。今回も、トヨタ生産方式に再注目したい時期であると思います。
個人的な理由としても、
 ①トヨタ生産方式の、理念と体系と手法をより理解する
 ②トヨタ生産方式を採用したが経営改善できなかった事例が散見されるが、その理由を理解する
 ③トヨタ生産方式のコンサルタントの手法を理解する
ようにしたいと考えています。

 具体的には、現在以下の本を読み進めています。一冊一冊読んで書評(ブックレビュー)を書くという今までのスタイルで書くのではなく、数冊は読んで全体像の理解を深めてから書評を書き始めようと考えています。
 その中で、私自身の誤解も含めて、どのような誤解がトヨタ生産方式にあるのか明確にしていきたいと考えています。
 また、トヨタ生産方式の良さを再認識できたらと考えています。

■トヨタ生産方式
 ①大野耐一著 トヨタ生産方式 ダイヤモンド社
 ②新郷重夫著 トヨタ生産方式のIE的考察 日本工業新聞
 ③日本能率協会編 トヨタの現場管理 日本能率協会
 ④小谷重徳著 理論から手法まできちんとわかるトヨタ生産方式 日本工業新聞
 ⑤門田安弘著 トヨタプロダクションシステム ダイヤモンド社
 ⑥青木幹晴著 全図解トヨタ生産工場のしくみ 日本実業出版社
■トヨタ生産方式の導入失敗
 ①若井吉樹 御社のトヨタ生産方式はなぜ、うまくいかないのか? 技術評論社
 ②中小企業診断協会生産革新フォーラム編著 ”JIT生産”を卒業するための本 日刊工業新聞
■トヨタ生産方式のコンサルタント
 ①竹内鉦造著 トヨタ生産方式導入・実践ノウハウ集 日本能率協会マネジメントセンター
 ②青木幹晴著 トヨタ生産方式導入の奥義 ナツメ社

先ほど書いたように本を読み進めていますが、数冊読んでからまとめる予定ですので、本日は本の紹介だけになります。
尚、本の追加・削除は随時行わせていただきます。

                                                 井上三右衛門

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