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1年で結果を出す経営改善のツボ / 野村宜功 丸山直明 / 経営の本棚(2)

2024年06月23日 | 経営の本棚(2)


タチアオイの花。神鍋高原にて。目に染みるような赤です。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第496回(2024年6月17日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 1年で結果を出す経営改善のツボ / 野村宜功 丸山直明 / 経営の本棚(2)
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1.はじめに
 久しぶりの「経営の本棚」での投稿になります。
 京都の診断協会の事業承継研究会でご一緒させていただいている、丸山直明が本を出されています。「ツボ」と「1年で」というキーワードが入ったタイトルが興味が沸き、興味深く読ませていただきました。
 結果として、そのとおりですねという点が多く、皆さんのご参考になる点が多いと思い、ご紹介させていただきます。

2.目次
 いつものように、他の本と同様に、目次から入ります。
 第1章 お金と時間をかけても結果が出ない
     経営改善が頓挫する理由
 第2章 急所をつけば一気に変わる!
     経営改善には「ツボ」がある
 第3章 ツボを押さえた対策を講じれば企業経営は
     1年で立て直せる

3.ポイント
 読ませていただいて、ご経験からくる中小企業の経営改善のポイントを的確に抽出し書かれているように思われます。ポイントとしていつものように3つに絞らせていただきました。
 ひとつ目のポイントは、経営改善の内容を探すときに、便宜的に分けたととのことですが6つのジャンルに分けておられます。①社長、②戦略・ビジネスモデル、③経営管理・マネジメント、④人と組織、⑤営業、⑥財務。この6つの分野に、全部で35項目のツボが書かれています。30pのツボ探しのチェックリストを使い各項目が該当するか否かを明らかにすることで、自社の問題点のありかを明確化できます。
 さらに各項目にはA、B、Cの優先順位が付けられていて、優先的に取り組むべきものが明らかになります。
 ポイントの2つ目として挙げたいのは、「大企業とは勝手が違う「中小企業の経営改善」」でしょうか。14p。中小企業であるだけに、経営改善の成果が出にくい点がある点は認識しておくことが必要と思われます。
 ポイントの3つ目として挙げたいのは、記載されているいくつかのツールです。私が知らなかったために気になります。1つ目のツールが「年計グラフ」(114p)です。月次単位で過去1年間の売上を集計して、その推移をグラフにすることで純粋に売上高の上昇や下降のトレンドを知ることができます。2つ目のツールが(というより、やり方に近いですが)、営業関係のプロセスを顧客のリストアップ→訪問→情報収集→提案→クロージング→受注と分けて、それぞれのステップで行うべきことや注意すべきことが違いますので。153p。収集すべき情報や整理すべき情報や営業ノウハウについてのまとめ表(いわいるツール)は162pや164pにフォーマットの記載が有ります。

4.最後に
 読ませていただいて、いくつかの気付きを得ました。皆さんも読まれれば必ずいくつかの気付きを得られる本であると思いますので、ご一読をお勧めします。

データ
著者  :野村宜功 丸山直明
出版社 :幻冬舎
出版年 :2018年
ページ数:226p
定価  :本体1500円+税
外観

 
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私的整理による事業再生の実務 / ものづくり・工場改善 事業再生

2024年05月19日 | ものづくり・工場改善 事業再生


石清水八幡宮への道のお家の玄関にて

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第494回(2024年5月20日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 金融機関が行う私的整理による事業再生の実務:日本政策金融公庫 / ものづくり・工場改善 事業再生
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1.はじめに
 今回の記事が「事業再生」シリーズの5回目の記事になります。私的整理による「事業再生」に係る人・組織を整理してみると、①経営者、②事業再生支援者、③金融機関に主に分かれます。3回目の記事の洲山先生は経営者出身、1回目の記事の植田先生と2回目の記事の三枝先生はコンサルタント出身、4回目の記事の八木先生は金融機関出身になります。「事業再生」を果たすためにはいくつもの課題がありますが、最初の大きな課題は金融機関に事業再生計画書を納得いただき、債権放棄などを実施してもらうことです。なぜなら、債権放棄をすれば金融機関の利益が減るのでなかなか同意いただけません。しかしなぜ同意いただけるかというと、債権放棄をせず企業を倒産させて債権を回収できない場合と、債権を(一部)放棄して企業を存続させ業績を回復させることで回収額を増やせる場合を比較した場合、最終的には回収額を増やせるほうが損出が少なくなります。結局は、事業再生計画にどれくらいの信頼性・確実性があるかが判断の分かれ目になります。この点にについて私はなかなか理解が進みませんでした。最終的に融資した金額のどれだけが戻ってくるかの判断になります。
 今回の記事は金融機関が書かれた「事業再生」の本で、お読みいただけるとなぜ金融機関が債権放棄等に応じる場合があるのかが理解いただけると思います。
 
2.目次
 Part1 抜本的な再生支援における金融機関の役割と支援のポイント
 Part2 事業再生の基礎知識(Q&A)
  第1章 事業再生と私的整理についての基礎知識
  第2章 私的整理による事業再生における主な金融支援手法
  第3章 金融機関による事業再生支援の流れと再生計画書の検討
 Part3 私的整理による事業再生事例

3.ポイント
 ポイントの1つ目は、金融機関が行う金融支援方法としてはどんなものがあるかです。Part2第2章(61p~125p)に記載が有ります。項目だけを列挙します。
   第二会社
   DES
   不等価譲渡
   DDS
   再建放棄
   新規融資
 ポイントの二つ目は破綻寸前の企業を分析する場合の分析点です。(この点については、金融機関が行う経営改善支援マニュアルの第Ⅳ章経営改善支援の実務Step2ー根本原因/真因の究明(53p~117p)からの記載になります。著者は同じ日本政策金融公庫系の方になります。分析をツリー状に記載すると以下のようになります。
 分析・・・・・財務分析
     ・              
     ・・・定量的な企業活動分析・・・財務以外の分析
     ・             
     ・・・定性的な企業活動分析・・・・・外部環境分析
                    ・
                    ・・・内部環境分析
定量的な企業活動分析では、製造業にかかわりが多い「リードタイム/不良率/返品率」や「原単位/歩留り」などの分析項目が挙げれており参考になると思われます。

4.データ
タイトル:金融機関が行う私的整理による事業再生の実務
著者  :日本政策金融公庫 中小企業事業本部企業支援部
出版社 :一般社団法人 金融財政事情研究会 / 株式会社 きんざい
出版年 :2019年
ページ数:253p
外観  :


井上直久

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「倒産寸前の会社を甦らせる法」 八木宏之 / ものづくり・工場改善 事業再生

2024年04月07日 | ものづくり・工場改善 事業再生


今年は3月に入り寒い日が続き、桜の開花が遅れているようです。
4月1日の配信ということで、開花した桜の花を探してきました。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第491回(2024年4月1日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「倒産寸前の会社を甦らせる法」 八木宏之 / ものづくり・工場改善 事業再生
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今回は「ものづくり・工場改善 事業再生」シリーズの4回目になります。
実は4冊とも2011年以前の出版の為、少し古いと思われるかもしれませんが、
事業再生はそのころからたいへん問題になっていたと考えていただいていいのではないでしょうか。
今回の本の、「倒産寸前の会社を甦らせる法」(八木宏之)はその中でも一番古い2004年で、
民事再生法などの倒産法制がちょうど変わる時期に出された本ですが、その本質的な部分は変わらないと思われます。

1.はじめに
本の正式なタイトルは「2000社を救ったプロが教える 倒産寸前の会社を甦らせる法」と書かれているように、2004年の時点で多数の会社を救済されています。その後に出版された本のタイトルでは「7000社を救ったプロの事業再生術」となっており、その数は急拡大しています。

「2000社を救ったプロが教える 倒産寸前の会社を甦らせる法」と「7000社を救ったプロの事業再生術」では共通する点もありますが、片方の本にしか書かれていないこともあり、2冊を項目について網羅的にまとめてみると、
 ・事業再生に向けて 冷静に現状を分析
 ・再生計画をたてる ゴールを明確に
 ・自宅を守る
 ・金融機関との交渉
 ・税金への対処
 ・資金調達
 ・経営者も自分自身を変革しよう
 ・めざせL字回復
となるでしょうか。ほぼこれで事業再生のポイントを網羅しているように思われます。

2.目次
いつものように、目次をまず紹介します。
 序章 中小企業を再生させるターンアラウンド・マネジメント
 第1章 まず、冷静に現状を分析しよう
 第2章 ゴールを明確にして再生計画を立てる
 第3章 債務を整理し、赤字部門を切り離す
 第4章 自宅を競売から守る方法
 第5章 経営者も自分自身を改革しよう
 第6章 不動産を守ってくれる再生基金
 第7章 資金調達の新しい流れ
 第8章 中小企業は「L字回復」をめざせ!
 第9章 再び銀行と取引できる企業となる
 終章  事業再生と敗者復活が可能な社会を実現するために
2冊の本を網羅的にまとめた項目の中で上記に無いものは、「7000社を救ったプロの事業再生術」に記載が有るものと考えていただいたら良いと思います。

3.ポイント
ポイントはいくつもあるのですが、第1章に出てくる「どんなに大きな債務でも、必ず解決できると信じよう」と、第5章に出てくる「これからの経営者に必要な五つの力」と、第8章に出てくる「「L字回復」という新しい再生概念」についてまとめてみたいと思います。
・「どんなに大きな債務でも、必ず解決できると信じよう」
 ターンアラウンド・スペシャリストはまさに”駆け込み寺”と言えます。事業者の方は、弁護士などに相談しても自己破産・倒産を勧められることが多く、それでも藁にすがる気持ちで、ターンアラウンド・スペシャリストを訪ねてこられるとのこと。「解決できない債務問題はありませんよ」と八木さんは励まされるそうですが、債務問題を解決する四つのポイントである「カネ」、「法律」、「実務的方法」、「(経営者の)心」の中で一番大切なポイントが「(経営者の)心」と言われています。債務のプレッシャーに負けず、『どんな債務でも乗り越えられないものはない』と開き直れるようになると、債務問題は半分解決したも同然とのことです。
・「これからの経営者に必要な五つの力」
 経営が悪化したのは経営者自身に至らない点があったのも事実ですが、事業再生を行いその後の経営を行っていくには、「知識」、「数字分析力」、「金融機関対策能力、「税務署対策能力」、「人間力」が必要とのことです。知識は財務と法律と不動産に分かれますが、財務については、①「試算表」をつくる、②「資金繰り表」をつくる、③そしてこれらを毎日見て、数字を見て数字になれることが大切だと書かれています。
・「「L字回復」という新しい再生概念」
 「V字回復」という言葉を聞かれたことはあっても、「L字回復」という言葉を聞かれたことは少ないのではないでしょうか。筆者の八木さんの造語です。「L」という字は、下に向けて引いた線が止まったところから横ばいになっており、業績が落ち続けていたのが止まり、止まったところから現状を維持することで、業績の落ち込みを止めて現状を維持しながら目指す再生になります。日産のゴーンさんが行った事業再生は「ビッグ・バス方式」と言われるもので、体力的に劣っている中小企業には向かないもので、中小企業には「L字回復」を勧めるとのことです。

4.データ
著者  八木宏之
出版社 日本実業出版社
出版年 2004年
ページ 238p
大きさ B5の半分
外観  

                              井上直久

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あなたの会社をお救いします ~事業再生総合病院~ 洲山 / ものづくり・工場改善 事業再生

2024年03月24日 | ものづくり・工場改善 事業再生

2024年3月10日4時4分、母が息をひきとりました。
享年95歳でした。
下記の写真は、現在祭壇に飾っているお花の写真になります。



〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇

そんなことがありまして、少し忙しくしていますので、
今回の記事は、2022年7月に掲載したいました記事が、
事業再生に関係しますので、そのコピーを貼り付けさせていただきました。

〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇


これが、今回の記事で紹介する本です。

〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇

4月だったでしょうか。家に帰るために駅前のバス停でバス待ちをしている時に、タクシー乗り場のある異変に気が付きました。
「今まではタクシー会社2社の車が客待ちをしているのに、1社の車が全くいない。」
時間によってはありえることですが、どうもおかしい。もしかしたら。そう思い、後日、駅近くのタクシー会社さんの本社を訪れてみました。玄関には以下の張り紙が。

             告示書

その張り紙には「事実上倒産」「自己破産」の文字が。コロナ禍でどの会社も経営的に厳しい中で、悪戦苦闘されていますが、最悪の事態が発生してしまいました。このタクシー会社さんとは一時支援金・月次支援金の申請のお手伝いをさせていただき、経営状態は何となく感じていましたが・・・。

そんなことがあったものですから、今回は以下でご紹介する、「事業再生」に関する本をピックアップしました。著者の方は「事業再生」に関する経験が豊富で、本の中では事業再生についての手順・ステップが大変わかりやすく書かれていると思います。ご一読をお勧めします。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第455回(2022年7月18日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「あなたの会社をお救いします ~事業再生総合病院~」 洲山 / 経営の本棚
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はじめに
事業再生はどんな手順・ステップで進めるかについて、目次を見ていただくとわかりやすいので、まず目次を記載します。
第1章 「洲山再生総合病院」があなたのお命をお救いします!
第2章 ようこそ、洲山再生総合病院へ
    ~受付問診・初回診断
第3章 緊急止血で、「一命とりとめ」
    ~応急処置室で「とにかく止血」
第4章 社長さん、即、「入院」してください!
    ~あなたの会社を徹底ドック
第5章 内科での「総合治療」で完全治癒を目指す!
    ~効果絶大の輸血・点滴、投薬、食事療法
第6章 ヤバイ会社の手術開始
    ~外科・ICU治療室での復活劇
第7章 「おめでとうございます!」リハビリも順調に、いよいよ退院
第8章 銀行に、笑ってお金を返そう!
    ~事業再生「成功へのゴールデン・ルール」
病める会社を病人に例えて書かれていますので、ポイントとなる点を太字にして、会社の場合はどんなことをするのか説明します。
緊急止血⇨会社から社外に流出する現金(主に銀行への利子や借入金元本)の返済をやめる
徹底ドック⇨会社の状況を精査する、財務・事業DDなどを実施する
輸血・点滴⇨特に輸血は残されている資金調達方法で、資金を調達する
手術⇨不採算部門撤退やM&Aや人員削減等に相当します。

書かれている4つのポイント
書かれている内容を4つのポイントにまとめてみました。
一つ目のポイントは、緊急止血に関係することですが、倒産するのは「返せない金」「払えない金」を払おうとして、手持ちのお金が無くなるからです。返せない金を返そうとして倒産されてしまうと、銀行も迷惑なのです。その点から、銀行も相談にのってくれる(いわゆるリスケの相談にのってくれる)可能性があります(61p~64p)。(ただし、利益を出していない場合などは、危ない会社と思われるので、自分で自分の首を絞めることになることもあります。)止血方法としては、主に以下の4つがあります。①銀行への返済を止める、②リースの支払いを止める、③家賃の支払いをストップする、④社会保険・税金の納付を待ってもらう。
二つ目のポイントは、緊急止血に関係することですが、リスケをやるならバッサリです(71p)。中途半端なリスケなら、しないほうがよいということです。出血量を少なくするだけの処置では、遅かれ早かれ出血多量に至るのですから、中途半端なリスケでは、ほとんど意味がありません。棚上げする元金の額を大きくすれば、「返済を減額する」ことが、「新規融資」を受けるのと同じ効果を生みます。これがリスケの奥義になります。
三つめのポイントは、病気やけがを治すのは、実はドクターではなく、患者さん本人なのです(42p)。患者さん本人に治る気、治す気がなければ、治る病気やけがも治りません。実際、経営改善計画が作成されても、実行できなければ、治癒(健全な会社への復帰)はありませんので(238P)。必ず救われる患者さんのタイプは以下になるそうです。①踏まれても蹴られても「あきらめない」タイプ、②専門家であるドクターの意見を「素直」に聞き入れるタイプ、③「隠し事をしない」タイプ、④「実行力」のあるタイプ、⑤「判断力・決断力」のあるタイプ。これらの5つを全てかねそなえた社長さんなら、病院に来た時にはかなりの重症でも、とんとん拍子に治療が進み、完治するケースがほとんどだそうです。
四つめのポイントは、リハビリ時(経営改善計画実行時)、資金繰表を作成し、常にお金の出入りをチェックすることです。(202p)資金繰りについては、4つのポイントが202pに書かれていますので、記載します。①「利益がある=お金がある、という考えを捨てる」、②「資金繰表を作成し、常にお金の出入りをチェックする」、③月ごとの入金期日を、支払い期日より前に設定する」、④「現金決済に徹する」。ここまでやれば、まず「資金ショートはあり得ない。」そうです。

データ
著者  :洲山(希望大地会長)
出版社 :幻冬舎
出版年 :2011年
定価  :本体1100円+税
ページ数:254p
外観  :記事の先頭に写真があります。

井上 直久・・・大変参考になる本でした

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V字回復の経営 / 三枝匡 / ものづくり・工場改善 事業再生

2024年03月04日 | ものづくり・工場改善 事業再生


今年の冬は短そうですね。
スキー場は既に閉鎖したところがあります。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第489回(2024年2月19日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 V字回復の経営 / 三枝匡 / ものづくり・工場改善 事業再生
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 今回は、「事業再生」の第二弾として、三枝先生の「V字回復の経営」という本をご紹介したいと思います。三枝先生は著名なコンサルタントで、現在はミスミという会社経営者をされています。複数の会社での事業再生の経験から、成功する事業再生のポイントがわかりやすく書かれています。というより、成功する事業再生のポイントが実に生々しく書かれています。他の方の事業再生の本を読んで思うのは、経営関係の指標や再生計画の作成がメインで、個人的にはなぜこれで再生計画が成功するのかよく分からない実感できないという感想を持っていましたが、この本を読むとこうすれば事業再生の成功の確率が高くなることを強く感じます。

1.目次
 プロローグ 不信事業をいかに蘇らせるか
 第1章   見せかけの再建
 第2章   組織の中で何が起きているのか
 第3章   改革の糸口となるコンセプトを探す
 第4章   組織全体を貫くストーリーをどう組み立てるか
 第5章   熱き心で皆を巻き込む
 第6章   愚直かつ執拗に実行する
 エピローグ 事業変革の成功要因
 あなたの会社でもこうした症状が見られませんか
 変革を成功に導くための要諦50

2.ポイント
 文庫本ですがページ数は458ページにも及び、大変読み応えのあるものになっています。短時間で読もうとすれば、「エピローグ 事業変革の成功要因」と「あなたの会社でもこうした症状が見られませんか」と「変革を成功に導くための要諦50」を読まれればいいのですが、第1章から第6章のストーリーの中に特に「「変革を成功に導くための要諦50」が埋め込まれており、最初から読まれるのが良いと思います。
 前回紹介した植田先生の本では、事業再生の「7つの鉄則」を記載しましたが、記載されている鉄則は全て重なると思われます。変革のリーダーの選定、経営危機の原因究明、明確なビジョン・戦略の明示、専門家を活用する、組織整備と人事を行う、社員の意識を改革する。しかし、この本では、具体的にどの順番でやっていけばよいのか、どれとどれを並列に進めたらよいのかがわかりやすくなっています。
 不振企業の症状50として、「あなたの会社でもこうした症状が見られませんか?」が記載されていますので、自社の状態のチェックリストにも使えると思われます。数点挙げてみますと、症状14 会議の出席者がやたらと多い、症状19社内では顧客の視点や競合の話がなく、内向きの話ばかり、症状23 商品別損益がボトムラインで語られていない。

3.データ
 著者   三枝匡
 出版社  日本経済新聞出版社(日経ビジネス文庫)
 出版年  (2001年)
 ページ数 458p
 外観
  

 最後に、再度になりますがストーリー仕立てで大変面白く読めますので、興味のある方は一読ください。

井上直久

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