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「作業の出来映え」で品質管理 遠藤勇 /ものづくり・経営改善 品質管理(4)

2019年07月21日 | ものづくり・工場改善 品質管理

 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第381回(2019年1月7日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「作業の出来映え」で品質管理 近藤勇 / ものづくり・経営改善 品質管理(4)

この近藤先生の本では、従来から用いている出来映え品質の代わりに、行為保証(聞きなれない言葉ですが、著者の近藤先生の造語で、目的意識を持った動作の保証)について書かれています。出来映え品質とは製品の出来映えを検査する方法ですが、検査の前の工程となる製造工程での製造・確認に関する動作を100%確実に行うことで不具合が低減されます。実際に不具合件数を十分の一まで低減された事例があるそうです。

本来、作業者は不具合を作りたいわけでもなく、不良を流したいわけでもありません。たまたま不具合の状態が見えていない瞬間や状態が存在し、このことが不具合につながることがありえます。例えば、作業の途中で管理者・監督者が声を掛けたので確認がおろそかになったり、目線が離れたりすることが考えられます。また、昼休みのチャイムが鳴り作業が途中で中断されれなどの例も考えられます。それは、何かの外乱で意識が目線がどこかに行っている状態です。

著者は行為保証をするための7つの原則を上げられています。(28p)
 ①管理者は守ることを決める
 ②管理者は守ることを伝える・教育する
 ③作業者は守ることを、意識をもって守る
 ④管理者は守っているか確認する
 ⑤管理者は(作業者が意識なく)守っていれば叱り、守らせる
 ⑥管理者は、守れない決まり事であれば守れる決まりに変える
 ⑦管理者は、守れない環境であるなら環境を改善する
そして、この行為保証をする7つの原則を理解したうえで、
原則に基づく(不具合発生の)真因6つのパターンを認識する必要があります。(97p)
 「①、②、③、④」暗黙知の形式化(が不足)
 「②、④」管理監督者の決まり事の管理・運用徹底(不足)
 「③、⑤」作業者の意識向上+管理監督者の看過防止(が必要)
 「②、③、④、⑥」机上で書いた製造技術標準の運用(不足)
 「①、②、③,④、⑦」守れない環境の改善(不足)
 「⑦」決まりを守る環境の確保(不足)

では、具体的にはどんなことをすればよいのでしょうか。その点は3ステージで考えられています。(170p)
Ⅰ.ステージが「仕組み」をつくる、Ⅱステージが「運用する土壌」をつくる、Ⅲ.ステージが「文化」をつくる になります。
それぞれを少し具体的に説明していきます。
Ⅰ.ステージ 「仕組み」をつくる
 まず、作業に関するノウハウ(「何を、どこで、どんなふうに、どのタイミングで、どんな基準で」)をインデックスシートにまとめます。ネジ締め作業について具体的に書くと、「ネジの着座を、目視で、45度の角度から・・・」となります。それから、製造技術標準にまとめます。この時、文字による説明文がないことと、良い見本と悪い見本を絵で示すことがポイントです。
 また、行為保証の考え方が従来からある出来映え管理の考え方から大きく異なりますので、行為保証の考え方を管理監督者者や作業者が理解し、考え方のパラダイムシフトすることが大切です。
Ⅱステージ 「運用する土壌」をつくる
 Ⅰステージで作製した製造技術標準を用いて工程の品質パトロールを行います。品質パトロールが中止されたり、形骸化する可能性がありますので注意が必要です。品質パトロールは対策の徹底にあたる部分になるかと思います、真因の追求については真因究明ストーリーが準備されています。
 このステージではノウハウが共有され、不良を造らない環境に変えていきます。
Ⅲ.ステージが「文化」をつくる
 最後のステージでは、不具合品をつくらない環境を文化のレベルまで上げることになります。そのためには、(思想がずれた時に注意を喚起する)トレーナーの育成や協力・関係会社への横展開が必要になります。また、トレーナーがさらにトレーナーを育成することと、新たに異動してきた工場長が行為保証の考え方を理解することも大事です。
                                                        井上 直久

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