プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

『紫外線の勝手』

2007-11-23 | プロコフィエフ短編
プロコフィエフの短編小説『紫外線の勝手』(仮題)をざっと翻訳。これまた荒唐無稽なお話です。なにしろエジプトのピラミッドが、アメリカ(おそらくニューヨーク)の摩天楼のどまんなかに現れるのですから! 内容的には、パリのエッフェル塔がバビロンの塔に引き寄せられて突如歩き出す『彷徨える塔』に非常に近いものがあり、この当時、作曲家が古代文明に並々ならぬ関心を抱いていたことがうかがわれます。

この作品は、日本に向かうシベリア鉄道の車中で書き始められ、完成したのはニューヨーク。文中、主人公のアメリカ人に対する痛烈なまでの皮肉が随所に散りばめられ、プロコフィエフのアメリカ観も垣間見られる一作となっています。

さて残すところあと一作。そして来年はプロコフィエフ来日90周年です!

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2 コメント

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ご無沙汰です (たろう)
2008-02-01 12:58:09
なんだか、シュールなお話ですね。阿部公房もびっくり!? 楽しみに待ってま~す。
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そうなんです。 (訳者)
2008-02-04 12:10:00
たろうさま、おひさしぶりです。
ほんとにシュールなお話で、ロシア人の若い研究者に冒頭をちらりと読んでもらったところ、ひと言「ザウム」だそうです。難解、不可解、未来派的といった意味でしょうか。
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