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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

石油を食べる細菌

2004-12-21 10:26:38 | バイオレメディエーション

石油を食べる細菌を利用して、海に流れた石油を浄化する技術が紹介されていました。
油流出事故汚染をバクテリアで浄化
(Hot Wired-2004.12.14)

細菌などの生物を利用して環境を浄化することを「バイオレメディエーション」と言いますが、5~6年前にブームして、その後は研究を続けられるところは続けているという技術です。
ちなみに、植物で環境を浄化する技術は「ファイトレメディエーション」です。
それにしても石油があれば増える細菌、全く凄いことをやってくれるものですね。

記事では、微生物が他の場所に移行する危惧を回避するための研究や、最適条件を模索する研究が行われていることが書かれているし、微生物が大量に増えた場合に海洋系の環境が逆に悪化してしまう危惧があることなどが書かれています。
この技術で問題になる点は、海洋という開放的な自然界に細菌をまく、という点です。
実際にシミュレーションをパソコン上で行った結果は、昔に比べたら格段にレベルが上がっているのでしょうが、人間の手がかかった生物を人間の手で意図的に増やしたり添加したりするのは、予想し得ない問題を生む可能性が大きいです。
私の前の職場では環境ホルモンだけあれば増える細菌がいましたが、培養を何代も重ねるとともに更にバージョンアップしていったので、細菌の進化の早さにかなり恐怖を感じました。そんな変異が自然界でおきてしまったらどうするのかと不安になります。

12月10日に紹介した「細菌が燃料を作り出す」という技術については、それを行う場所を閉鎖系にしてしまえば問題のない技術です。こういう技術研究は安心して応援できますが、今回の記事については、ぜひとも慎重に進めて欲しいものだなと思います。

かつての遺伝子組み替え技術のような、半開放系で遺伝子組み替え作物を栽培したら周囲にも変異が現れたというような先走り試験は避けて欲しいものです…。


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