
4月の非農業部門就業者数は予想以上に増加したものの、失業率は前月から上昇となった。
米労働省が6日に発表した4月の雇用統計では、非農業部門就業者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比24万4000人の増加と、2010年5月以来で最大の伸びとなった。増加幅は事前のエコノミストの予想中央値(18万5000人の増加)を上回った。
一方、家計調査に基づく4月の失業率は9%(前月8.8%)に上昇した。失業率の上昇は昨年11月以来初めて。事前予想では8.8%が見込まれていた。
事業所調査に基づく民間部門就業者数は26万8000人の増加となり、2006年2月以来で最大の増加幅となった。前月は23万1000人増。
政府関連機関の雇用は2万4000人減少。特に地方政府の雇用は1万4000人減少した。
製造業の雇用は2万9000人増加と、予想の2万人増を上回った。ヘルスケア関連では3万7300人の雇用増。建設も5000人増、小売りは5万7100人増加した。労働省によると、今年はイースター(復活祭)の祝日が4月にずれ込んだため小売り部門の雇用が上振れした可能性が指摘されている。
一方、自営業者を含む家計調査では、就業者数が前月から19万人減少、就業比率は58.4%(前月58.5%)の低下となった。
失業者に加え、経済悪化でパートタイム就労を余儀なくされている労働者や職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は4月に15.9%と前月の15.7%から上昇となった。
週平均労働時間は34.3時間で横ばい。平均時給は22.95ドルに増加となった。労働時間が伸びず、平均時給は僅かに0.1%の伸び。これでは個人消費を支える力にはならない。
賃金水準が高い多国籍企業が、雇用を海外にシフトしている影響が出ている。
非農業部門就業者数の伸びが事前予想を上回り、米景気減速懸念が後退したとのコメントも見られるが、失業率が5ヶ月ぶりに悪化するなど手放しでは喜べない内容で6日の米国株式相場は伸び悩みとなった。
2008年の金融危機で米国は約800万人の雇用を消失した。今回オバマ大統領が200万人の雇用を創出したと演説したが、米国の雇用回復のペースは緩慢なままである。また、広義の失業率も上昇しており、米国の雇用情勢は依然として力強さに欠けるとの見方に変更はない。

