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相場博士(ファンドマネージャーのテクニカル分析)

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米第2四半期GDP改定値の下方修正に思うこと

2011-08-27 18:15:29 | 主な経済指標
米第2四半期(4-6月)GDPは速報値から下方修正され、上期の経済成長は2009年半ばから始まった景気回復サイクルで最も弱い伸びに止まる形となった
 米商務省が26日に発表した2011年第2四半期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)改定値は前期比年率+1%と、速報値の+1.3%から下方修正された。在庫投資と純輸出の下方修正が影響する結果となった。市場の事前の予想値では+1.1%が中心だった。
 個人消費は年率+0.4%と、約1年ぶりの低い伸びだったが、速報値の+0.1%からは上方修正された。
 企業利益は前四半期比で+3%と第1四半期の+1%から伸びが加速した。昨年第2四半期は+8.3%だった。
 在庫の寄与度は-0.2ポイント。純輸出の寄与度は0.1ポイントとなった。

 柔らかい言い方をすれば、米国景気は確実に減速傾向が見られる。減速傾向で済めばよいが、実は米国のインチキ経済が既に破綻状態にあり、世界が恐慌に向かっていかないように祈るばかりである。QE3をやっても、末期症状の患者にモルヒネを打って延命させるだけでしかない。しかし、米国は財政出動ができず、ドル安か量的緩和策しか打つ手がないように見える。



4月米国雇用統計:24万人増も失業率は9%に上昇、就業率が低下

2011-05-07 22:52:19 | 主な経済指標
 4月の非農業部門就業者数は予想以上に増加したものの、失業率は前月から上昇となった。
 米労働省が6日に発表した4月の雇用統計では、非農業部門就業者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比24万4000人の増加と、2010年5月以来で最大の伸びとなった。増加幅は事前のエコノミストの予想中央値(18万5000人の増加)を上回った。
 一方、家計調査に基づく4月の失業率は9%(前月8.8%)に上昇した。失業率の上昇は昨年11月以来初めて。事前予想では8.8%が見込まれていた。
 事業所調査に基づく民間部門就業者数は26万8000人の増加となり、2006年2月以来で最大の増加幅となった。前月は23万1000人増。
 政府関連機関の雇用は2万4000人減少。特に地方政府の雇用は1万4000人減少した。
 製造業の雇用は2万9000人増加と、予想の2万人増を上回った。ヘルスケア関連では3万7300人の雇用増。建設も5000人増、小売りは5万7100人増加した。労働省によると、今年はイースター(復活祭)の祝日が4月にずれ込んだため小売り部門の雇用が上振れした可能性が指摘されている。

 一方、自営業者を含む家計調査では、就業者数が前月から19万人減少、就業比率は58.4%(前月58.5%)の低下となった。
 失業者に加え、経済悪化でパートタイム就労を余儀なくされている労働者や職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は4月に15.9%と前月の15.7%から上昇となった。
 週平均労働時間は34.3時間で横ばい。平均時給は22.95ドルに増加となった。労働時間が伸びず、平均時給は僅かに0.1%の伸び。これでは個人消費を支える力にはならない。
賃金水準が高い多国籍企業が、雇用を海外にシフトしている影響が出ている。

 非農業部門就業者数の伸びが事前予想を上回り、米景気減速懸念が後退したとのコメントも見られるが、失業率が5ヶ月ぶりに悪化するなど手放しでは喜べない内容で6日の米国株式相場は伸び悩みとなった。
 2008年の金融危機で米国は約800万人の雇用を消失した。今回オバマ大統領が200万人の雇用を創出したと演説したが、米国の雇用回復のペースは緩慢なままである。また、広義の失業率も上昇しており、米国の雇用情勢は依然として力強さに欠けるとの見方に変更はない。


米第一四半期GDPは予想を下回る1.8%増に減速

2011-04-29 21:15:06 | 主な経済指標
  2011年今年第1四半期(1-3月)の米国GDPは市場予想を下回る結果となった。政府支出が大幅に縮小したことが影響した。

 米商務省が28日に発表した第1四半期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値は前期比1.8%増。エコノミストなど、市場関係者野の予想は2%増だった(昨年第4四半期は3.1%増)。
 GDPの約7割を占める個人消費は2.7%増と、前四半期の4%増から減速。市場予想では2%増となっていた。GDPへの寄与度は1.91ポイント。
 政府支出は5.2%減。1983年以来で最大の落ち込み(昨年第4四半期は1.7%減)。国防費は11.7%減と、2005年以来で最も大幅な減少幅。
 在庫投資は438億ドルと、昨年第4四半期の162億ドルから増加。在庫を除く最終需要は0.8%増と、2009年第3四半期以来で最も小幅な伸びとなった。
 食品とエネルギーを除く個人消費支出(PCE)価格指数は前期比1.5%上昇。
輸出は4.9%増に対し、輸入は4.4%増。純輸出は成長率を押し下げる結果となった。
 住宅投資は4.1%減で、住宅市場の低迷を継続していることが確認された。
GDPデフレータは1.9%上昇となった。


米第4四半期GDPは3.2%増 -事前予想下回り、株安、債券高、円高

2011-01-29 20:51:15 | 主な経済指標
 28日に発表になった2010年の米国第4四半期GDPは、個人消費の増加や純輸出の赤字縮小に支えられて、前期比で拡大。
 米商務省が発表した第4四半期(10-12月)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値は前期比3.2%増だった。エコノミストの予想中央値3.5%増は下回る結果となった。第3四半期は2.6%増だった。在庫投資を除いた最終需要は7.1%増と、1984年以来の高い伸びだった。
 実質GDPは13兆3800億ドルと、リセッション(景気後退)突入前のピークをつけた2007年第4四半期の水準を上回った。 2010年は2.9%増。2010年通年での米GDPは2.9%増。前年は2.6%の縮小だった。
 第4四半期のGDPを項目別にみると、個人消費は4.4%増。2006年第1四半期以来の高い伸びを示した。GDPへの寄与度は3ポイント。
貿易赤字の縮小が影響し、純輸出は3.4ポイントのプラス寄与となった。内訳は、輸入が前期比13.6%減少したことの影響が大きい。輸入の減少に伴い、GDP寄与度は2.4ポイントとなった。輸出は前期比8.5%増加し、寄与度は1.0%。
 一方、在庫投資は72億ドルと、前四半期の1214億ドルから大幅に縮小し、3.7ポイントのマイナス寄与に転じた。これは1988年以来最大のマイナス。
 食品とエネルギーを除いたコアPCE(個人消費支出)価格指数は0.4%上昇と、同指数の記録が開始された1959年以降で最も低い伸びとなった。

 28日の金融市場は、予想を下回るGDP(事前様相+3.5%に対し、3.2%)を受けて、株式相場が下落し、債券相場は上昇。外国為替相場は対円を除く主要通貨でリスク回避のドル高から、クロス円が下落し、ドル円は下落となった。


8月も調査開始以来の低水準となった米新築住宅販売

2010-09-26 19:27:54 | 主な経済指標
8月の新築住宅販売は前月から変わらず、市場予想を下回る結果となった。住宅市場はローン金利の低下にもかかわらず、需要を喚起する力がなく、低迷状態を継続している。
 米商務省が発表した8月の新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比変わらずの28万8000戸。これは5月の28万2000戸に次いで、1963年の調査開始以降2番目に低い水準。エコノミストなど市場関係者の予想中央値は29万5000戸だった。前月は速報値27万6000戸から修正された。
 新築住宅の中間価格は前年同月比で1.2%低下して20万4700ドルと2003年末以来の最低となった。

 市場関係者の話では、「住宅市場に上向きの勢いはまったく見られない」と述べ、「失業率は非常に高く、消費者信頼感はかなり低い。家計の富も減少し、消費者心理は今もネガティブだ」と言及した。
全米4地域のうち2地域で新築住宅販売が減少。特に最大市場の南部では前月比11%減の14万8000戸と過去最低だった。中西部では26%減少した。一方、西部では54%と急増し、北東部でも17%の伸びを記録した。
 販売に対する在庫比率は8.6カ月と、前月の8.7カ月から低下した。新築住宅在庫は8月末で20万6000戸と、1968年8月以来の最少だった。


日銀の追加金融緩和で円買い一服感から円売りに発展するか?!

2010-08-29 19:44:17 | 主な経済指標
日本銀行は週明けの30日にも臨時の金融政策決定会合を開催し、追加の金融緩和を議論する可能性があると報じられている。年0.1%で3カ月の資金を貸し出す新型オペについて、期間や資金供給量を拡大することなどを検討するとしている。

これを契機に円買いのポジション調整で円売り圧力が一時的に高まり、27日金曜日の米国株式相場の上昇を受けた日本株の上昇も加わり、円安・ドル高に振れる局面が想定される。しかし、金曜日発表の雇用統計では相変わらずの雇用低迷が確認される見通しでこの円安・ドル高局面が長続きする可能性も限定的である。

短期的には、ドル売りシグナルの消滅ポイントとして指摘していた東京市場終値ベースの85.00 以上が重要である。27日のNY市場では85.25で終えているが、このまま86.00以上で東京市場を終えることができるかが次の焦点である。86.00を上回れば短期的には“向き”が変わり、88円台後半から89円台も期待できると考えられる。ただし、株高に伴うリスク選好(リスク回避姿勢の緩和)はドル安であり、クロス円の上昇に伴ったドル円の上昇に繋がるかどうかはそのときの雰囲気、流れ次第と考えられる。

日銀が緩和政策をとっても、FRBも追加緩和姿勢をとれば日米金利差の拡大とはならず、金利面からの支援も限られると考えられる。
米国のドル安政策の下では、円安も限界があるだろう。




欧州ストレステストの対象は91行、多くの詳細はなお不明な点が多い

2010-07-19 11:41:35 | 主な経済指標
 欧州銀行監督者委員会(CEBS)は7日、銀行ストレステスト(健全性審査)の実施要綱を明らかにした。対象となったのは欧州91行で、市場の懸念が強い地方銀行なども含まれた。ただ、審査の詳細は多くが不透明なままとなった。

 CEBSは「ストレステストは合意されたマクロ経済シナリオを使用し、銀行ごとに実施する」とし、「リスクプレミアムの上昇による影響を審査するため、金融市場の状況悪化や金利ショックも想定する」と表明。シナリオの影響は国ごとに異なるとした。
 CEBSによると、対象行はドイツ銀行からマルタのバレッタ銀行まで、欧州銀行セクターの65%を網羅。フランスBNPパリバ、イギリスHSBC、サンタンデール、ウニクレディト、INGなどが含まれている。複数の国で展開する大手行の大半に加え、健全性をめぐる市場の懸念が強いドイツ州立銀行やスペインの貯蓄銀行の多くも含まれている。
 
 ただ、市場が期待したほどの詳細は明らかにされず、CEBSは2つの基本的な想定を示すに留まった。それによれば、景気悪化のシナリオでは、経済成長率が欧州当局の公式予想を3%下回ることを想定する。国債ショックについては、2010年5月上旬に類似した状況を想定する。
しかし、市場関係者によれば、「国ベースで厳密にどの程度の失業率やGDPの悪化を想定しているかという情報がない」と指摘し、「恐らく後から公表されるだろうが、それでは市場の失望を誘うかもしれない」と述べている。
 SEBFの文書では、国債に適用するヘアカット(担保の掛け目)などの詳細も明らかにされなかった。
ドイツを拠点とする銀行関係筋は、ギリシャ国債に対する16-17%のヘアカットが査定に織り込まれると明らかにした。また、ドイツ連邦債にはヘアカットが適用されないとする一方、フランスの国債に対するヘアカットは0.7%とした。ポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランドの国債にはこれより大幅なヘアカットが適用されるという。市場関係筋の情報では、スペイン国債には3%のヘアカットが適用されると報じている。
 これまでのところ、市場では欧州のストレステストが、米国が実施した審査に準じたものになるかは不透明。対象銀行の関係者によると、質問事項は5日に送付され、各国当局者に15日までに回答することになっている。各国当局者はこれを見直し、銀行による評価を修正する可能性があると考えられる。




米国 - 失業保険申請件数、第1四半期1GDP(確報値)

2009-06-28 18:35:33 | 主な経済指標
○失業保険申請件数
 6月20日終了週の失業保険申請件数は、前週分が4千件上方修正(60.8万件→61.2万件)され、1.5万件増加して62.7万件となった。2週連続の増加。降水などの悪天候が季節労働者の雇用に悪影響を与え、一時的に押し上げ要因となった可能性がある。しかし、雇用削減のペースがさほど鈍化していないことを示唆しているものと考えられる。
 4週移動平均は61.675万件から61,725万件に増加。
 継続受給者数は前週分が668.7万人から670.9万人に上方修正され、2.9万人増加して673.8万人となった。継続受給者数は5月23日終了週の678.8万人まで17週連続で過去最高を更新していたが、5月30日終了週で675.7万人(翌週に673.5万人から675.7万人に上方修正)と1月2日以降で初めて増加がストップ。しかし、6月6日終了週は681.6万人(+5.9万人)に増加。そして6月13日終了週は670.9万人(翌週に668.7万人から670.9万人に上方修正)に再度減少となっていた。
 米国の経済指標は一部に改善が見られるものの、雇用情勢については依然として低迷状態が続いており、これが個人消費の抑制や貯蓄率の上昇と相俟って景気回復を遅らせるマイナス要因として作用することが懸念される。

○第1四半期GDP(確定値)
第1四半期GDP(確定値)は改定値の-5.7%から-5.5%に上方修正された。純輸出の寄与度が2.18%から2.39%に上方修正された一方、個人消費の寄与度は0.1%ほど下方修正された。


12月のADP民間雇用者数は69万3千人減少、2001年の統計開始以来で最大の落ち込み

2009-01-08 21:18:57 | 主な経済指標
7日に発表になった12月のADP(Automatic Data Processing Employer Services、給与明細書作成の代行会社が給与名簿に基づく集計調査を行っている)民間雇用統計では、前月比で69万3千人の減少となった。これは2001年の統計算出開始以来で最大の落ち込みで、11月の47万6千人の減少、10月の32万8千人の減少、9月の22万4千人の減少から一段とマイナス幅が拡大した。

ADPは事業会社からサンプルを抽出して調査、民間企業のみを対象とするもので政府機関による雇用は含まれない。従来、政府の雇用統計とのズレが大きいとの指摘があったが、昨年12月に算出方法が変更され、過去の計数は大きく下方修正された(11月分は25万人→47万6千人に下方修正となる)。今回の集計方法の変更・改善により政府の非農業部門就業者数との相関は88%程度まで向上したという。

今回の発表を受けて9日(金曜日)発表の雇用統計では非農業部門就業者数(11月実績は53万3千人の減少)の市場予想は50万人の減少から60万人の減少に下振れる可能性が高くなったことが指摘されている。ちなみに失業率(11月実績は6.7%)も上昇が予想され、7.0%がコンセンサスとなっている。


厄介なCMBS問題(Commercial Mortgage Backed Securities)

2008-12-01 22:35:19 | 主な経済指標
グローバルな金融危機の発端となったサブプライムローン問題。BNPパリバのヘッジファンド破綻、ベアスターンズの破綻、モノライン問題、GSE問題、リーマンブラザーズの破綻、バンカメのメリルリンチ買収、ビッグ3の経営難、シティグループの経営難と公的資金の注入など次から次に深刻化する米国を基点とした金融危機。このサブプライムローン問題と同じマグニチュードの爆弾が新たに表面化してきている。CMBSと呼ばれるショッピングセンター、ホテル、オフィスビルなどの商業用不動産向けローンを裏づけとした証券化商品である。
ポールソン財務長官がTARP (Troubled Asset Relief Program)の7000億ドルを使って不良資産の買い取りを行う金融安定化策を棚上げにし、資本注入に限定したことから11月の20日はCMBSの売りが加速。結果的に米国株式相場の急落に繋がり、外国為替市場ではリスク回避のキャリートレード解消に発展した。
米国の雇用市場の悪化から小売売上高は大きく落ち込み、高級ホテルの稼働率も急速に低下している。また、ウォール街の大規模な人員削減もオフィスビルの稼働率の低下となり、CMBS市場には追加的な売り材料となる。エコノミストの指摘では金融業界の人員削減、コスト削減が投資対象であるCMBSの市場価値を引き下げ、株価の下落に繋がるという悪循環になっているという。
サブプライムローン問題だけではなく、このCMBS市場も証券化され、投資対象として散らばっているだけに新たな腐ったダンボール肉まんが見つかることになり、資本注入だけでは今回の金融危機は乗り越えられず、不良資産の買い取りも同時に行わなければならないことがさらに明白になってきている。先週FRBが発表した合計8000億ドル(最大6000億ドルのGSE(政府住宅金融公社)の債券、GSEが保証した住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れプログラム、および最大2000億ドルのターム資産担保証券貸出制度の創設)の資産凍結緩和策だけでは依然として十分ではなく、矢継ぎ早に政策を打ち出していかなければならず、米当局が後手に回っている感が否めない。金融危機の本流は終わったという楽観論は時期尚早の可能性があり、新たな金融危機からさらなる株安・円高・債券高に繋がるリスクを帯びていると考えられる。


ケースシラー住宅価格指数の下落進行とFRBの追加的政策措置

2008-11-26 23:01:50 | 主な経済指標
9月のケースシラー住宅価格指数(20都市)は前年比17.4%の下落となり、8月の前年比16.6%の下落からさらに悪化。マイナス幅が拡大してきた。また、9月には前月比で住宅価格が上昇した都市は皆無であった。6月の11、7月の14、8月の18と増加傾向にあった下落した都市は、9月には全20都市で下落することになった。
前月比では9月の下落率は1.8%となり、7月の0.9%、8月の1.0%から下落ペースが加速。これは4月1.3%、5月0.8%、6月0.5%と鈍化しつつあった下落ペースが最加速し始めたことを意味し、住宅差し押さえと競売の増加が原因と考えられる。
住宅市況の下落の継続が、金融機関のバランスシート悪化や金融市場の混乱、景気低迷の長期化に繋がることが懸念される。

FRBは25日、合計で6000億ドルの新たな政策措置を発表した。GSE(政府住宅金融公社)の債券、およびGSEが保証した住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れる。
GSEの債券の買い入れは最大で1000億ドルで来週から実施。また、MBSの買い入れは最大5000億ドルで年末までに実施する。これはGSE債券とMBSのスプレッドが大幅に拡大したことに対応する措置。これらの措置は住宅ローンの金利を低下させるとともにローンの資金量を増加させることを意図したものである。この買い取りプログラムがワークすれば住宅市況を下支え、結果的に金融機関のバランスシート改善や金融市場の安定に繋がると指摘するエコノミストもいる。

今回の措置はポールソン財務長官が、金融機関の不良資産(住宅ローン関連資産)の買い取りを目的としたTARP(Troubled Asset Relief Program)を一旦棚上げし、クレジットカードローンや資本注入にシフトしてしまったことで株式相場が暴落したため、その後の追加的措置をFRBが発表せざるを得なかったものと考えられる。ポールソン長官は、AIGやノンバンクにまで予算を使い切り、肝心の不良資産に使う資金がなくなってしまったのである。今回の追加措置により、FRBはさらに信用リスクを抱え込むことになったと考えられる。